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2006年11月15日
スコット・コルラ

『300』:スパルタ王ジェラード・バトラー万歳
近日公開のグラフィック・ノベルの翻案について役者が語る


ジェラード・バトラーは、『オペラ座の怪人』から『タイムライン』、『トゥーム・レイダー2』から『サラマンダー』まで、大予算のハリウッド製映画に主演 したり、共演したりする非凡さをもっているのだが、今の所まだ大スターの地位には至ってはいない。だが、それも彼の次の映画、フランク・ミラーのグラ フィック・ノベル『300』の翻案が3月に公開されたら変わりそうだ。

IGN ムービーズは、去る月曜日(13日)にニュー・ヨークでの『300』の記者会見に出席した。その席上この役者は、映画とスパルタ王レオニダスの役について 長々と論じた。
(ミラーと監督のザック・スナイダーによる、先週のL.A.での記者会見での記事はこちら*)どのようにしてレオニダスの役を手に入れたのかと聞かれ、バ トラーは詳しい(願わくばもっと本当の)話を語る前にこう明かした。「フランク・ミラーと一緒にありったけのキャスティング・カウチを経めぐらなくてはな らなかったんだよ」
[*ここには訳出していません]

「ぼくに申し出があったときに(「300」について)聞いたんだ」と彼はミラーを見やる前に笑って、こう言った。「ごめんね、(ぼくの)これまでになく好 きになったコミックだよ! 300、ぼく、ママ、クリスマス、誕生日だ! 300、300、300さ! バットマンだよ! まだ書かれてもいなかったん だ! いや、そのコミック・ブックのことは知っていたけど、読んではいなかったんだ。それに、実は(ワーナー・ブラザーズの重役の)グレッグ・シルヴァー マンと他のことについて話をしていて、グレッグがこう言ったんだ。『うちがこの実にカッコいい「300」の企画を手に入れたんだよ』って。そして、 「300」の名を聞いた時こう思ったんだ。『なんてカッコいい名前の企画だろう』ってね。そこで彼がそれがどういうものか説明してくれて、ザックと会う手 はずを整えてくれ、ぼくと彼はヴァリーで猛烈に気違いじみた会見をして、ふたりともそこで跳ね回っていたんだ。人はきっとぼくたちが精神病院から出たばか りだと思っただろうね、2人とも肉体のことやストーリー全体についてあれこれ述べて、意気投合していたんだから」

『300』は、300人のスパルタ人兵士がテルモピラエの戦いでとうてい太刀打ちできない圧倒的なペルシャ軍に立向かった古代の実話を詳細に語っている。 その話を、トーガを着た汚い言葉の応酬物語として描くこともできるが、バトラーの目にはもっとそれ以上のものが映っている。

「脚本は・・・とても詩的に書かれていた、『どうやってこれを映画にできるんだろう?』って感じるような風にね」と彼は回想する。「こんな風なんだ。『瀕 死のうめきが肉体からほとばしり出た』とか『・・・からほとばしり出た』ってね。ああ、くそっ、たとえ何を言っていたって! OK、どうやって映画にする んだい? 同時に、それは脚本に本当に並外れた、痛烈で美しい詩的な感じを与えているんで、その会見の後では、そんな肝っ玉の坐った感じがするのがわかる んだ。ぼくは色々な異なる企画にわくわくしているけど、これには何かがあるんだよ。そして、撮影した触りを見せてくれたんだけど、それはぼくの心をぶっと ばして、もちろんすぐさまパニック・モードになってしまった。ぼくは(製作者の)マーク・カントンの事務室のカウチを跳び越えて、また飛び乗り続けた。 『ぼくにこれをやらせなくちゃだめだよ!』ってね」

明らかに、彼にそれをやらせたのだ。そしてその結果はーー質疑応答で上映された30分ばかりの触りから判断するとーー実に驚くべきものだ。ロバート・ロド リゲスの『シン・シティー』と似たようなスタイルで撮影され、映像は全てグリーン・スクリーンのセットで撮影され、仕上げでディジタル処理した背景が演技 に付け加えられている。その過程で、スナイダーは高度に様式化された現実性を表現することができたが、それだけがこの映画で魔法のように働いている技術で はない。このイヴェントで見られた1場面は、見た所は1回の撮影で、レオニダスが部隊を率いて戦いに行き、王が先頭や中央で突撃し、一度に6人ものペル シャ人を片づける。実にカッコいい場面だが、バトラーはほとんど参加せずにいなくてはならなかった場面なのだ。

「ぼくが突撃するような場面は、ほとんどやっていないんだ」と彼は言う。「この特別な場面のために物凄く訓練して、15人相手で、ジムでは上手く行ってい て、ジョニーがかかってきて、次はデイヴィッドで、それからチャドだった。ところが、いきなりみんな同じペルシャ人の衣装を着けたら、誰もが同じに見え る。『こいつ一体誰だよ? あああ!』って訳。そこで、土壇場になって時間がせっぱ詰まってきたら、ザックがぼくの所へ来てこう言ったんだ。『なあ、スタ ントを使うべきじゃないのかな』ってね。そこで、彼はぼくがどんなにワルかまだ知らなかっただけなんだと思う。それでがっかりした。すると、彼が言ったん だ。『準備運動をしに行ったらどうだい』って。それで、ぼくには何が起きたのかわからないんだ。多分(彼は)あそこでぼくを見て、こう言ったんだろうね。 『いいかい、我々はこれに賭けるんだ』ってね」

しかし、カメラの技術的な問題が起きて、(実際は、2回の長い撮影で出来上がり、編集で継ぎ目なく切って繋ぎ、1回の撮影のように見せるはずだった)その 場面が使い物にならず、撮り直すことになった。

「とにかく、何もかもおじゃんだよ」とこの役者は笑う。「で、それはクリスマスの後で、ぼくはスコットランドに帰って、クリスマス・プディングを食べるか ら、それほど訓練を続けないんだよ。だからぼくは『今やってくれ! クリスマス前にやってくれよ!』って感じだった。それで、(最終版は)実際にクリスマ スの後、クリスマス・プディングを幾つか食べた後だった。すごく効いたよ、だけど最初の時は何かがあった、特にぼくには起きないはずだったからだと思う ね・・・それは、皆が関わった大戦闘の初日で、皆の男臭さと興奮と情熱は信じられないようなものだった」

バトラーは監督を称えるばかりだ。彼は、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のリメイク作品でその先鋭な視覚的感性をすでに示している。(ミラー作で、リン・ ヴァーレイによる彩色の)元のコミック・ブック作品から作り、スナイダーはストーリー・ボード用に「各場面の膨大な画」を描き、それをチームは参照し、バ トラーによればーー役者も含めてーーしばしばそこからもインスピレーションを得たのだった。

「彼は控えめ過ぎるからあれこれ言わないんだ、でもザックは信じられないくらい準備しているんだ」とバトラーは言う。「(ぼくたちは)この信じられないよ うな素材からやっていたんだ・・・だって、このコミックのたった3枚の絵から、この連中がどんな奴なのか、どんな風にでき上がっているのか、彼らの生きる 世界はどんなものか、連中はどんな人間なのかがわかると思うからね。だから、各瞬間がとてつもなく色々なことを表わしているんだ、肉体的な状態とか姿形を 含めてね。そして、しばしばぼくたちはそれを参照してみた。特にぼくにとっては、レオニダスだっていう感じがしたからね、彼が描かれたり表わされたりして いる様々なやり方がさ。・・・それは、ザックがストーリー・ボードにしたみたいな感じがして、鼓動の中でこれが何についてのものなのかという絶対的な精髄 を彼は理解し、それを完全に豊かにして膨らませ、とてつもなく映画的なものにしたのだということがわかる。ぼくたちは皆、すばらしいものをやっているんだ とわかっていた」

レオニダスの役を引き受けるということはまた、バトラーが本当にああだこうだと言わせないような見かけでなくてはならないということだったので、彼はスナ イダーと製作者たちに、その役をくれたなら肉体的に最高の状態にすると誓った。もちろん、彼が回想するように、一旦役を得るとこう言った。「よーし、さ あ、やらなくちゃな・・・その手順はわかっている、その日はベッドから出て、どっさりやることがあるのはわかっている、だけど、これが8ヶ月に渡ることに なったんだ」彼は1日6時間訓練した。自分の代役のスタントと毎日セットで重量挙げをしたが、また撮影に向けて4,5ヶ月映画のトレイナー及び彼の個人的 なトレイナーともロサンジェルスで訓練したのだった。

「ぼくの個人的な野心の1つは、本当にタフなスタント連中の一団と一緒にただ突っ立っている役者になることではなく、スタントの連中が『おい、あいつを見 ろよ』っていうような奴になることなんだ」と彼は言う。「そして、ぼくにとってまずすべきことは、いつだって肉体的なことだ。モントリオールのあのセット には、ぼくがこれまで経験したこともないような力と体力と男臭さがむんむんしていて、王はいささかいかれている・・・スパルタ人であるということを越える ような瞬間があって、そこではどれほど強烈で情熱的であるかということを実感する、そして、いいかい、この連中がどんなに馬鹿かよくわかるんだよ」

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