[Chap. 16 / 14] |
<コンスタンチノープル>
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テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
オノリア
テオドシアス
オノリア
テオドシアス
プルケリア
オノリア
プルケリア
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
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エイティアス、東方へよく来たな。
有り難うございます、陛下。
そちのやって来ることは内密にしてある、要請通りにな。
わたしの目的に適います。有り難うございます。
そして、オノリア、そなたが6歳の時以来会っていないな。長じて大逆を行なう者になるとは、辛いことだ。幸い、我が姉プルケリアがそなたを受け入れてくれ
るそうだ。
何に受け入れてくださるのですか?
禁欲と神の御業に捧げた生活にだ。
ご冗談でしょう。
冗談かどうか、今にわかる。
悪魔がそなたの中に入り込んでいます。
わたしは馬鹿げたことには加わらないわ・・・。
でも、わたしたちが悪魔を追い出しますよ。
これから沢山やることがありますね。
そちは部隊を連れてくるだろうと期待していたのだが、エイティアス。アッチラが我が軍を壊滅して以来、我らは城壁の背後に身を潜めて震えている。
我々には割くだけの部隊はありません、陛下。
では、金は?
残念ながら、それも足りません。
では、どうしてわざわざ来たのだ?
策を練るためです、陛下。ですが、それには時間がかかります。
我らには時間はない。貴族たちは、アッチラの要求に応ずるために、自分たちの家具を売っている。一方、難民は街に溢れ返っている。金持ちは、暴動を防ぐた
めに連中に仕事を与えている。見ての通り、余は我がすべきことをしている。
そちは、策のことを申していたな。正確にはどのようなものだ?
あまりにも早く築かれた帝国は、弱点があるでしょう。
どうやって見つけ出す?
わたしがアッチラの領土に行きます。
随分曖昧だな。余にはもっとはっきりしたのがあるぞ。暗殺だ。
[短剣がエイティアスの前に飛んでくる] ふふふふふ。
すまぬな、エイティアス。そちにこの者の腕を直に見てもらいたかったのだ。これはライガスだ。姿を見られずに見ることが達者で、武器の腕は確かだ、見ての
通りな。それに、一番良いことは、舌が無いのだ。だから、たとえ捕まっても、余を売り渡すことは出来ぬ。
アッチラは我らと同様に間諜を持っています。やつは陛下の策を耳にして、裏をかくでしょう。
そうかもしれぬし、そうではないかもしれぬ。あの娘が気に入ったか?
難民ですか?
家族はフン族に虐殺された。そちの許に遣わそうか?
ええ、もし1つ変更をお願いできますなら。
好きにせよ。そちのものだ。
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<エイティアスの部屋>
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エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
エイティアス
イルディコ
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名前は?
イルディコです。
フン族を憎む理由があるそうだな。
父は集落の長でした。父が死ぬのを目にしました、母も同様に。骨が残されました・・・ハゲワシのために。
だが、おまえはどうにか逃げ延びた。
悲しいことに。
おまえが復讐できるようにしてやるとしたら?
どうやって?
やつらの王を殺して。
アッチラ自身を? どうしたらそんなことができます?
わたしの問いが先だ。もしできるとしたら、やるか?
ええ、やります。
たとえ、死ぬことになるとしても?
アッチラを先に送り込めるなら、喜んで地獄に参ります
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<女子修道院>
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プルケリア
オノリア
見習い修道女
オノリア
見習い修道女
オノリア
見習い修道女
オノリア
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1時間したら、中庭に集合です。今日は聖キャサリンの教区の貧民に施し
をします。
あなたは、わたしと同じくここを嫌っているわね。目でわかるわ。
もしそうだとしたら? わたしもあなたと同じくここに閉じこめられているの。
違うわ。外に友達はいる?
[頷く]
手紙を書いたの。この指輪と一緒に届けさせて。取って頂戴、そうすれば手紙はわたしからだと指輪が証明してくれるわ。あなたのお友達に、これらをわたしが
名指す人に届けさせて。そうすれば、あなたとわたしは永遠に自由よ。
どういう人です?
アッチラよ、フン族の・・・王。
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<アッチラの村>
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アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
イルディコ
エイティアス
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我らは都市を征服し、世界を支配している。だのに、風呂すら作れない。
陛下、もっと差し迫った事柄があります。東ローマ皇帝が暗殺者を雇ったと間諜が報告してきました。
ローマにあるような風呂が欲しいのだ。
陛下・・・。
間諜はこんな噂を毎週もたらしている。
この噂には実体があります。我らの中にはよそ者がとても沢山います。
おまえを含めてな。それとも忘れたのか?
わたしの忠誠心は証明済みと思いますが、陛下。
その通りだ。何度もな。[ため息] オレスティス、死ぬのが余の運命なら、余は死ぬ。そうでないなら、いかなる暗殺者も余を害することはできぬ。
それでもなお、用心なさるようお願いいたします、陛下。
そこで、尋ねるが、どうしてこの風呂は完成しないんだ?
陛下、大理石は1,000リーグも運んでこなくてはなりませんし、導管は曲がっているし、かまどは・・・
もういい。3日やる。
3日ですか? しかし、陛下・・・はい、大王さま、もちろんです、3日ですね。
あれが、アッチラね。
そうだ。やつに会う時は、目から憎しみを取り除くようにしろ。
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<アッチラの寝室>
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アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
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[刺客が襲って来たのを捕える]
おまえの名はライガスだな。東ローマ皇帝テオドシアスに送り込まれた。そうではないのか?
[格闘] オレスティス!
やつが姿を現したら、呼ぶことになっていたではありませんか。
その必要はなかった。
磔にしてやります。
勇敢な男だ、それに主人に忠実だ。無事に送り返してやれ。
陛下・・・
こいつはいくら貰うことになっていた?
間諜によれば、金で50ポンドです。
その金額を袋に入れ、こいつの首から下げて、それを身につけて皇帝に返してやれ。皇帝には屈辱だろう。責めは命令を出した彼にあり、この男ではない。
またやるでしょう、陛下。ローマの間諜は街中にいます。
暗殺されるのは、余の運命ではない。
ローマに情報を売る奴隷や商人、傭兵までいます。今朝早く、行商人と称する者が、陛下が西ローマを侵略する口実についてわたしの召使いに尋ねていました。
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<エイティアスの隠れ家>
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イルディコ
エイティアス
イルディコ
オレスティス
召使い
オレスティス
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浴場の近くに仕事を見つけます、もし必要であれば、奴隷としてこの身を
売りましょう。早晩、彼はわたしに気がつくでしょう。
やつは、おまえが思っているような者ではない。もう1人の女の村が、おまえの村と同じように破壊された。彼女も彼を憎むことから始まったが、憎しみは愛に
変
わった。
では、彼女は弱かったのです。
[
オレスティスが部下を率いてやってくる]
こいつが、おまえが話していた男か?
そうです。
捕えろ。
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[Chap.17]
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<アッチラの広間>
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オレスティス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
エイティアス
アッチラ
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フン族の王の御前で跪け。
2人だけにしてくれ。
1時間ほど前、余を殺そうという企みがしくじった。おまえはそれに噛んでいるのか?
もしそうなら、おまえは死んでいただろう。
だが、おまえは農民に身をやつしてやって来た。どうして大ぴらに来ないのだ、友として?
わたしが見たいものを見るためだ、おまえが見せたいものではなくな。
それと?
よくやった。
余が治めている地はおまえたちの帝国を両方合わせたほど広大だ。
ふふ、帝国は土地だけではない。フォルム(公広場)はどこだ? コロッセウムは? 大競技場は? 劇場は? 水道橋は?
時間をくれ、エイティアス。ローマが今の姿になるには何世紀もかかったんだ。
で、おまえが学んでいる間に、我々はどうなる? 渾沌と破滅か?
もし我らに抵抗するならな。
文明化した人間は征服しやすい。だが、それでも文明は、文明化した者たちのものだ、野蛮人のものではない。
それを取るに足る強者のものだ。
エイティアス、余と組まないか。かつておまえは余をローマに招いてくれた。我らは共に偉大なることをできると言ったではないか。まだできる。ただ、今回は
ここに留まるようにと余
がおまえを招こう。
おまえに仕えるために?
余は、おまえが今仕えている皇帝たちよりはましな人間だ。
わたしはローマに仕えている。
率直に言ってくれ。西ローマ帝国を襲う計画はあるのか?
今の所、そのような計画はない。
だが、将来は?
だれにも将来のことはわからない。
ここで今すぐ交渉をしよう。おまえの民と我らの民との間の平和条約だ。
それはおまえが見せた初めての弱さの印だな。
条約を結ぶか?
帝国は、それを食い止めるほど強力なものが現われるまで拡大し続ける。ローマはそうだったし、我々もそうだ。そして、人が地上を歩く限りそうなのだ。
では、ここでの我らの用はすんだ。
そのようだな。
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[Chapter15]
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<アッチラの浴場>
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アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
オレスティス
アッチラ
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よくやった、オレスティス。今夜使おう。余の妻たちを連れてこい。
どのお方でしょう、陛下?
全員だ。それが喧嘩を避ける唯一つの方法だ。
はい、陛下。
[アッチラは外へ出る]
陛下?
あの娘。誰だ?
奴隷です。
いつからここにいる? どこから来た?
新しく来たばかりです。どこの者か存じません。探り出します。
頼む。彼女について何もかも探りだし、今夜余の許に連れてこい。
ですが、お妃さまたちは、陛下、それと風呂は。
まだ出来ていないと言え。妻たちの感情を思いやるのだ、だがおまえの好きなように言うがいい。
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[Chap.18]
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<アッチラの部屋>
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アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
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近こう寄れ。怖がらなくてもよい。傷つけたりせぬ。何を脅えている?
わたしの部族では、結婚前に身を奪われた女は永遠に不名誉を被ります。
おまえは不名誉を被ることはない。
ではどうして王が奴隷を自分の部屋に連れてこさせるのです?
おまえが不名誉を被ることはない。誓う。
おまえの名はイルディコだな。北の村の出身だ。
わたしの村は破壊されました。
で、家族は?
殺されました。
気の毒に。そういうことは戦の中では起きるものだ。だが、おまえの慰めになることは何でもしよう。
どうしてです?
おまえが気に入った。
わたしを御存知ですらないのに。
だが、知るようになる・・・おまえは余を知るようになる。
お望みのままに、大王さま。
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<森の中>
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イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
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わたしの村が破壊された時、わたしは何日も森に留まっていました。とう
とう道に出てくると、次の日旅人がわたしを引き取ってくれたのです。
その者たちに報いてやろう。
彼らは強盗に殺されましたが、幸いわたしはまた逃げました。
おまえをここに連れてきたのは幸運ではない。神々は不思議なやり方をなされる。片手で奪い、もう一方の手で返してくれる。
理解できません。
まだ余に脅えているか?
大王さま、わたしは・・・
名前で呼んでくれ。
よろしいのですか?
命ずる。
では、いいえ、わたしは今もまだあなたに脅えてはいません・・・アッチラ。
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<東ローマ>
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テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス |
パノニアからの知らせだ。アッチラがまた結婚する。
そうですか?
そうだ、突然やつの気を惹いた奴隷の娘とだ。すでに余から絞り取った財産に加えて、王の結婚の贈り物を送ることを期待されているんだろう。
それがやつを殺そうとして得たものです。
そんなに取りすますのは止めて、自分の計画を練ったらどうだ? そのためにここにいるのだろう?
折よくわたしは計画を練りましたよ。そして、アッチラの結婚が結局は幸せなものとはならないと信じるに足る十分な理由があります。
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<イルディコの部屋>
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イルディコ |
父の神々よ、この根を呪い、致命的なものとせよ。そして、それを飲むも
のを呪え。そして、父の死の復讐をするまで憎む力を与え給え。
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<アッチラの館の廊下>
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使者
アッチラ
使者
アッチラ
使者
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
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陛下、オレステス殿。
何だ?
コンスタンチノープルからの手紙です。
皇帝からか?
いいえ、陛下。 オノリアというローマの姫君です。
これは彼女の指輪だ。よく嵌めていた。読んでくれ。
弟の命令で、捕らわれの身になっているそうです。救ってくれれば、結婚すると。
もう1人妻は必要ない。
持参金として、西ローマ帝国の半分を約束しています。
口実があったか。
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<東ローマ>
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エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
エイティアス
テオドシアス
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彼女には帝国の半分の権利はない。
法律家に相談するべきではないか? アッチラはすでに軍を集めている。
奴隷の娘との結婚は?
無期限延期だ。ライン川の北方のあらゆる民族が、西ローマの不正な軍に対して強大な聖戦をおこなうためにフン族に合流することになる。
では我らも軍を併合して、共同戦線を張るべきだ。
アッチラは十分長い間我々を叩きのめしてきた。今度はおまえの番だ、フラビウス・エイティアス。余はオノリアを次の船でローマに送り返す。そして、おまえ
に幸運を祈るぞ。やつは今月中にローマに進軍する。
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<イルディコの部屋>
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アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
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この数日おまえをないがしろにしてきた。謝る。することがたくさんあっ
たのだ。
ローマの姫君を救いに戦いに行くそうね。
彼女にはたぶん会いもしないだろう。大事なのは、それがローマを侵略する理由となるということだ。
で、わたしたちの結婚は?
余が戻るまで延期しなくてはならぬ。少なくとも数ヶ月。
そして、あなたが戻った時わたしがここにいなかったら?
召使いたちに、おまえがいつ去ろうとも自由だと言っておこう。
待って下さい。何かお気に召さなかったのでしょう。でなければ、出発前に結婚できるでしょう。
余の結婚は国事だ、多くの国から王族が来る。時間がないのだ。余の方が急いていると思っていたのだが。
たぶん、わたしは変わったのです。
嬉しいぞ。
あけすけに話してもよろしいですか?
かまわぬ。
ンカーラという名のもう1人の女性のことを聞きました。
余の最初の妻だ。お産で亡くなった。
わたしは、彼女に生き写しだとか。
そうだ、とてもよく似ている。
では、あなたが結婚するのは誰です? わたしですか、ンカーラですか?
彼女に似ているだけの者が欲しいなら、とっくにおまえに手をつけている。だが、そうではないだろう?
ええ。
では余が戻るのを待っていよ、そして、ンカーラではなくおまえが世界の王妃となるのだ。
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[Chap.19/16] |
<アッチラの攻撃>
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<西ローマ帝国>
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エイティアス
元老
エイティアス
皇太后
エイティアス
皇帝
エイティアス
元老
エイティアス
皇太后
エイティアス
元老
エイティアス
元老
エイティアス
元老
エイティアス
皇太后
エイティアス
元老
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やつは、東ガリアの30の街を手に入れた。降伏したのもあれば、破壊さ
れたのもある。
その間我らは何もしていない。
我らの防衛には不要な街です。
それでも、彼らはローマ人です。
気落ちはわかります、ですが危機の時にあっては、不要なものは省くべきです。アッチラは彼の側面を防衛するに足る広い道を切り開いていますが、それ以上で
はない。明らかに、彼は更に西へ進む意図だ。
もしやつがローマを征服したいのなら、どうして南に進軍してイタリアに来ないんだ?
もしやつが南に向かえば、すぐさまガリアの自由な部族が彼の後背を脅かすでしょう。
では、ガリアを先に征服する計画か?
わたしがやつの立場ならね。
では、どこで彼を食い止めるのです?
ここ、オルレアンです。この街を迂回する訳にはいきません。
もうすでに近くにいるに違いない。
実際、攻城は2日前に始まっています。
追加の部隊を派遣するべきだ。
暫く前に派遣しました。それと、城壁を補強して街が数ヶ月持つようにしました。
それで?
やつの本拠地から500リーグで、冬が迫っていますから、退かざるをえない。
来年戻ってくるでしょう。
その時までには、わたしの別の計画が効果を現しています。
フラヴィウス・エイティアス、またもそなたはローマに素晴らしい勤めを果たしてくれた。
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<西ローマ:宮殿の外>
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皇太后
エイティアス
皇太后
エイティアス
皇太后
エイティアス
皇太后
エイティアス
皇太后
エイティアス
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もしオルレアンが陥落したら?
落ちないと確信しています。
万一の場合に備えておくべきです、それは西ゴートとの同盟であるべきだとおわかりね。
テオドリックはわたしを嫌っています。それは考えないでしょう。
ふさわしい代価でやるでしょうよ。あの娘は彼の子よ、エイティアス。取り戻したがっているのを責められないわ。
あの娘はわたしの子だ、何があろうとも。
血の繋がり以外はね。
それはあの娘が有難いことに全く何も知らない事実だ。知らせた者は誰であれ・・・死ぬ。
わたくしは家庭の問題には立ち入りませんよ。でも、あなたはいつも帝国のために犠牲を払うということを口にしていたのよ。
その犠牲は必要ないでしょう。我らはテオドリックを必要とはしていませんから。アッチラはオルレアンで食い止めます。
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<アッチラの攻撃>
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アッチラ
オレステス
アッチラ
アッチラ
オレステス
オレステス
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あの梯子を戻せ、今すぐに!
進め!
破城槌を持ってこい!
投石機を全て集めて、門の右側のここを狙わせろ。
かしこまりました。
陛下、すべて位置に着きました。
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[Chap.20]
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<エイティアスの館>
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エイティアス
使者
エイティアス
使者
エイティアス
使者
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
エイティアス
リディア
|
確かか?
はい、閣下。この目で見ました。
部隊は?
戦いに生き残ったものは処刑されました、閣下。
住民は?
奴隷にされ、建物は全て灰燼に帰しました。
行ってよい。
彼、わたしを愛してるわ、お父様、まだそうとは言っていないけど。
誰が?
リヴィウスよ。他に誰がいて?
ああ、そうだな、もちろん。
どうしたの?
アッチラがオルレアンを奪った。
そんなことにはならないと言ってらしたのに。
わたしは間違っていたようだ。
どうするの?
ガリアに行く。おまえに来て欲しい。
今? ちょうどリヴィウスが・・・。わたしが必要だと思うのでしたら。
そのようだ。
用意します。
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<西ローマ:浴場>
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皇帝
皇太后
皇帝
皇太后
オノリア
皇帝
オノリア
皇太后
皇帝
皇太后
オノリア
皇帝
皇太后
皇帝
皇太后
皇帝
皇太后
皇帝
皇太后
皇帝
皇太后
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う〜ん、ふふふふふ。[オノリアを連れて皇太后が入ってくる]・・・こ
こで何をしているんだ。すぐに牢へ戻せ。
ヴァレンティニアン、あなたの姉なのよ。
では、そう言ってやってくれ。まず、余に対して執事と大逆を企み、次に野蛮人に余の帝国の半分を提供した。
あなたの許しを乞いに来たのです。そうでしょ、オノリア?
姉として、忠実なる臣下として、慎ましくお許しを乞います。
ふふん、感動したぞ!
言ったとおりじゃない、お母様!
オノリア、どうか。ヴァレンティニアン、彼女を永遠に牢に入れておく訳にはいきませんよ。
出来ないだと! どうだかな。守衛、独房に連れ戻せ!
ヴァレンティニアン!
お母様!
母上、教えていただきたい。どうして一方の子はそれほど心配し、もう一方にはこんなにも無慈悲なのか?
何を言っているのです?
見せかけはやめましょうよ。あなたがコロナ庭園でぼくを殺そうとしたことを言っているんですよ。知らないと思っていたんでしょう。あれが起きた日から知っ
ていますよ。
どうかしています。
エイティアスがいなかったら、ぼくは死んでいただろう。
エイティアスですって?
刺客はあなたの印章さえ持っていた。
ありえません。
自分で見たんだ。
あなたが皇帝になってから、わたくしは1人の人にしか印章を渡していません。エイティアスです。
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[Chap.17]
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<ローマ軍>
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エイティアス
テオドシウス
エイティアス
テオドシウス
エイティアス
テオドシウス
エイティアス
テオドシウス
エイティアス
テオドシウス
リディア
テオドシウス
エイティアス
テオドシウス
エイティアス
|
やつはここから3日の行程の所にいて、素早く移動している。
わしは山に退くか、もしくは降参して、やつの軍に加わり、おまえを1人置き去りにするかもしれん。
そうなれば、おまえはやつの召使いだ。
ローマが壊滅されるのを見るかもしれぬ。それをとても楽しむだろうよ。
わたしとおまえは、土地を争って戦ったが、また分けあってもきた。我々は宗教のことで戦ったが、共にキリスト教徒だ。
これは単にわたしとおまえが、アッチラに向かっているのではない。我々の世界がやつの世界と対しているのだ。
条件を言え。
わしの部下がわしの旗の下で戦うこと。わしとおまえと共同で指揮を執ること。すぐさま娘をわしに返すこと。
他のことを頼め。
娘が欲しい。
あの娘はおまえの娘だということを知らない。ローマ人として過ごしてきた。
同盟者としてわしがいなければ、ローマなど存在しなくなる。
あら、お父様。どなた? お父様? お父様?・・・お父様! お父様・・・!
山を越えてスペインへ連れて行く。2度と会うことはないだろう。
さあ、これで自分の子を盗まれるというのがどういうことかわかっただろう。
軍を集めろ。夜明けと共に退かねばならぬ。
そして、わしの村を無防備なままにすると?
村は、燃やせ。作物は燃やせ、旅ができないものは何でも燃やせ。アッチラは多くの民族を指揮しているが、最上の部隊はやはりフン族だ。やつの馬を奪えば、
勝てる。
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[Chap.21]
|
<森の中>
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アッチラ
|
ゲイリン・・・おまえの幻視をからかったこともあったが、今おまえがこ
こにいてくれたなら。
戦の神よ、嘉したもうた徴として、この剣をかつて下賜された。必要な時には、徴を送り導いて下さった。
今なお、あなたの選ばれしものであるなら、世界を支配することが我が運命なら、今徴を送り給え。
徴を送り給え!
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<天幕>
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オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
|
陛下、皆心配しておりました。
どうした?
エイティアスが撤退をやめました。ここから10リーグの所に位置しています、シャロムという村の傍です。
戦の神は徴を拒まれたと思ったが、間違っていた。敵が戦いの準備をする以上の徴があろうか?
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<ローマ軍>
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エイティアス |
西ゴート族よ、我らが戦っている地はおまえたちのものだ。しっかり戦
え、さもないとアッチラのものになるぞ。妻や娘はやつの奴隷となる。
ローマ人よ、諸君も国のために戦うのだ。我らがしくじれば、アッチラがローマに進攻する。やつに立向かうものは誰もいない。祖先を思い出すのだ。父祖の力
を諸君の力に加えるのだ。さもなくば、1千年間人の命を灯してきた炎は、地上から消え去るだろう!
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<アッチラの軍>
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アッチラ
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やつらは撤退し、自分たちの畑を焼き、注意深く陣地を選んでいる。やつ
らは弱いので策略を使う!
我らは強い、だからやつらは我らを怖れるのだ。
フン族よ、我らは多くの戦をし、負けたことがないということを思い出せば十分だ。
我らと共に戦う民族と部族よ、諸君は精神においてフン族だ! 諸君は無敵だ!
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<ローマ軍>
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エイティアス
ヴァロルス
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ここからの撤退はないぞ、ヴァロルス。なんとしてもこの丘を守らねばな
らぬ。
用意は整っております、閣下。やつらが丘の上に達することはないでしょう。
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<丘での攻防>
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オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
エイティアス
ヴァロルス
アッチラ
オレステス
オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
|
ひどい湿地帯です、陛下、しかも、穴を掘ってある。
下馬して、徒歩で進もう。
下馬!
射手、前へ! 全員、攻撃!
予備隊を戦列に送れ。
第2隊、前進!
オレステス! オレステス! 退け!
退け! 退け! 退け!
よく塹壕で囲まれています、陛下。
半分は残しておけ。残りの半分を西ゴートを襲う援護に送れ。
側面にですか?
そうだ。エイティアスはやつらに援軍を送るために自分の陣を弱体化せざるを得ない。そうしたら、やつらを襲う。
かしこまりました。
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[Chap.18]
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男
オレステス
ヴァロルス
テオドシウス
ヴァロルス
エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
ヴァロルス
オレステス
アッチラ
オレステス
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進め!
やりました、陛下。
やつらは西ゴートを襲っています。
この丘を守れ!
援軍だ! 側面攻撃だ! さらに襲ってきたぞ!
わたしに3隊を率いて援軍に行かせてください。将軍、われらは側面に回り込まれます。
牽制かもしれん。
牽制ではありません。全軍攻撃です。
どうしてアッチラが率いていない?
将軍、どうかおねがいします、手遅れにならないうちに。
連れて行け。
第3隊同行せよ。
うまくいきました、陛下。やつら、中央部隊を弱体化しました。
予備隊を繰り出せ。
予備隊、前線へ!
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[Chap.22]
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エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
西ゴート兵
オレステス
アッチラ
オレステス
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持ちこたえられぬ。
お許し下さい、留まるべきでした。
わたしが命じたのだ。責めはわたしにある。
まだ逃げられます。
いや。ローマを救うために、愛するただ1つのものを渡した。今やローマも失った。ここで死ぬ。だが、最後に1つ命令する。テオドリックを殺せ。
はい、将軍。
全部隊・・・前線へ。
王が亡くなった! 突撃!
[アッチラの剣が折れる]
陛下、撤退せねばなりません!
いいや。
四方八方から攻められています!
全員、ここへ、今すぐだ!
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<エイティアスの陣>
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エイティアス
ヴァロルス
エイティアス
テオドリックの息子
エイティアス
息子
エイティアス
息子
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ヴァロルス、よくやった。西ゴート族は、矢がフン族から飛んできたと思
い、復讐し、我らのために今日は勝ってくれた。神にはユーモアがないなどと言わせてはならん。
神はあなたが考えている以上にユーモアがあります。西ゴート族は野営地から去っていきます。
父上は決して去りはしなかっただろう。
父は亡くなりました、そしてわたしは王冠に気を配らなくてはならないのです。弟たちが、葬式が終わらないうちにわたしに謀をするかもしれません。
1日で何がちがう?
もうたくさんだ、フン族と戦って過ごすなら。弟たちに対して必要な良い部下を失うだろう。
戦いが終わったら、一緒に弟たちに目に物を見せてくれよう。
ローマ人にわたしの王位の恩を受けたくない。朝出発する。決意は最終的なものだ。
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<アッチラの野営地>
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オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
アッチラ
オレステス
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ローマ人は守備陣を張りました。
それで、西ゴートは?
去りました。おそらく、テオドリックの喪に服したか、ローマ人ともめたのでしょう。いずれにしても、相手はエイティアスだけです。1人で我らを攻撃できる
ほどの力はありません。
我らもやつを攻撃できるほどの力はない。
では、隊形を整えて退却し、春に戻りましょう。
そのようだな。
それでしたら、陛下、贈り物を差し上げることをお許しいただけますか?
贈り物?
はい。今朝剣が折れた所に部下をやりました。この破片を見つけてきました。スキタイにはこれを前と同じように強く鍛え直すことの出来る鍛冶たちがいます。
もし、お許しいただけるなら。
許そう。
よろしいですか、陛下、あなたの運命は終わっていません、ただ新しい始まりなのです。
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<西ローマ>
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皇帝
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エイティアス、そちの叡知と勇気がまたもローマをこの上ない危機から
救った。
この月桂冠を、感謝に満ちたそちの国から、受け取ってくれ・・・そして皇帝から。
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[Chap.23/19]
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<アッチラの結婚>
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アッチラ
オレステス
アッチラ
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オレステス、我らは引き上げる。客たちが必要なものは何でも得るように
配慮してくれ。
はい、陛下。そして、心からのお祝いを申し上げてもよろしいでしょうか?
おまえは忠実な家来だ、オレステス、そして友に数えている数少ない者の1人だ。
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<アッチラの寝室>
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アッチラ
イルディコ
アッチラ
アッチラ
イルディコ
アッチラ
オレステス
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おいで、ンカーラ。時間だ。
わたしの国では、1つの習慣があります。花嫁と花婿が婚礼の床に入る前に最後の乾杯をするのです。よろしいでしょうか?
もちろんだ。
[苦悶]
アッチラ。
[苦悶] ンカーラ・・・。
<翌朝>
大王様? 大王様? 陛下?
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[Chap.24]
プルケリア
テオドシアス
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<エイティアスの館>
[手紙が届く]
<東ローマ>
死にました。
わははははは・・・!
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<西ローマ:宮殿>
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エイティアス
皇帝
エイティアス
皇帝
エイティアス
皇帝
エイティアス
皇帝
皇太后
皇帝
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わたしにお会いになりたいとか、陛下?
そうだ、アッチラの死を祝っているのだ。当然、そちにはいてもらいたい。
光栄です。
やつの墓を見つける機会はあるだろうか?
どうでしょうか。やつを埋めた奴隷たちは、場所を秘密にするために殺されます。フン族の古い慣習です。
残念なことだな。やつの首をフォラムに晒し物にしたかったのだが。
それだからこその慣習なのです。
いずれにしろ、おまえの仕事は終わったようだな。
アッチラに対処するために自由にされたのよ、そして彼を始末してくれました。
おまえは言ったな、「必要のないものは省くべきだ」と。
アッチラがいなくなれば・・・おまえはもう必要ない。
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ナレーション |
アッチラの死により、ローマの国境の外側のさまざまな民族を束ねる能力
のある者は誰もいなくなった。エイティアスの死により、ローマを守れるものは誰もい
なくなった。
1世代のうちに、西ローマ帝国は崩れ、歴史には暗黒時代として知られる渾沌の世紀が西方世界に降りかかってきた。
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