トロント
国際映画祭 ーー『ベーオウルフとグレンデル』記者会見
2005年9月14日 サットン・プレイス・ホテルにて
(ロジャースTV)
予告編
[スクリーンには「 "Beowulf & Grendel"
同名の有名なアングロ・サクソン語の詩に基づき、この物語はデーン人のベーオウルフが人殺しのトロール、グレンデルと対峙する様を追う」と出る]
[卓の前に出演者と監督が現われ、写真家たちが写真を撮る。皆でポーズを取る]
サラ: もっと高くしてくれない?
[イングヴァール・シグルドソンが彼女を持ち上げようとする。ジェリーも同様にす
る]
司会:よろしいですか?
ストゥーラ・ガナーソン:いいよ。
司会:はい、どうも。
ストゥーラ:よし。
司会:結構です。(ジェリーに)よろしいですか?
ジェリー:水いいかな?
[ジェリーが水を取ってくれとか言って、水がたっぷり入った水差しを持って席に戻
る]
司会:こんにちは、ようこそ。私たちがここにいるのは、特別上映の
『ベーオウルフ [ここで司会は「ビーオウル
フ」と発音] とグレンデ
ル』の記者会見のため
です。今晩ご覧になるでしょう。私はジェイン・ペルデュと申しまして、この記者会見の司会をいたします。昨日映画を拝見しましたが、なかなか素晴らしかっ
たです。ここで、この記者会見の司会をするのが大変嬉しいです。『ベーオウルフとグレンデル』は中世の冒険譚で、伝説の部分もありぞっとする部分もありま
す。これは、9世紀のアングロ・サクソン語の叙事詩に基づいており、大抵の方はご存知と思います。戦士ベーオウルフと人殺しのトロール、グレンデルとの戦
いについての血まみれの物語です。私の左の、監督であり製作者の一人であるストゥーラ・ガナーソンをご紹介いたします。その作品には、『珍鳥』や『かく
も長き旅』があります。また、たくさんのドキュメンタリーも作っており、その中には『ファイナル・オファー』や『ジェリーとルイーズ』の(?)な物語もあ
ります。
ストゥーラの左にいるのが、ジェラルド・バトラー
[ジェリーの微妙な表情、サラが彼に何か言う]で、
ベーオウルフを
演じます。ジェラルドはスコットランドの生まれで、『タイムライン』『Dear
フランキー』などたくさんの映画に出演し、『オペラ座の怪人』では怪人を演じ、『僕らの [「彼ら」の間違い]
人生をかけた試合』(日本でのタ
イトルは『ジェラルド・バトラー in The Game of Lives』)では、サッカー選手を演じました。これらに
触れましたのは、ここでは全く違ったものを演じているからです。
彼の左にはサラ・ポーリがいます。彼女は異教の魔女を演じます。サラはカナダの観客にはよく知られていますし、もちろん国際的にもですが、テレビ・シリー
ズの『アヴォンリーへの道』で子役として始め、『スウィート ヒアアフター』(1997)、ハル・ハート
リーの "No Such Thing"
や、今年カンヌに出たヴィム・ベンダーの映画 "Don't Come Knocking" などの数多くの作品へと進みました。
そして、サラの左は、グレンデルを演じるアイスランドの一流スター、イングヴァール・シグルドソンです。
ありがとうございます。スターたちとこちらのストゥーラを会見にお迎えでき大変に嬉しく思います。
ストゥーラへの質問から始めたいと思いますが、ご承知の通り、学校で学ぶ間に沢山の人の作品を読みますが、この叙事詩『ベーオウルフ』のことは知っていま
すし、これがまた実際に、トールキンが『指輪物語』を書いたように、他の人にとってのインスピレーションでもあるということも知っていますが、ストゥーラ
には何がインスピレーションだったのか、どのようにそれを感じ、既に存在する傑作から傑作を作ることができたのかを伺いたいと思います。
ストゥーラ:そう、こういうのはアンドリュー・ベルジンズと私の心か
ら湧いてきたんです。アンドリューはどこだい? ここにいるはずなんだけど。
[誰かが部屋の後ろから何かを言う]
ストゥーラ:ああ、そうか。
司会:アンドリューは脚本家ですね。
ストゥーラ:え〜と。アンドリューとわたしはちょうど映画を作ったば
かりで、何か一緒にやろうと言っていたんです。そしてあれこれとアイデアがあったんだ
けど、どれもみんな資金の都合がつくし、可能だけど面白くない。そうしたら彼が「ベーオウルフはどうだい?」と言ったので「いいね!」と言った。すると、
みんなが我々は頭がおかしいって言うんだね、だって、ここはカナダだ、カナダで叙事詩なんか作れないって訳だ。まあ、それが始まりって事ですね。わたしに
とっては、それは・・・アイスランドは生まれた所だし、この景色の中で映画を撮りたいと物心ついた時から思っていました。こうしたイメージはわたしの心に
ずっとあって、これが最初の夢で、ベーオウルフは特に北欧の口承伝承から出てきて、英文学の最初の叙事詩になったので、わたしの2つの世界にまたがってい
ます。そして、中核となるアイデアは我々が知っているようにこれが一種の英雄神話の原点だということで、それこそ我々が求めていた大物だったんです。我々
は現代の視点から英雄神話を探ってみたかった。この話そのものが、まあ、何百年も語り継がれてきた物語そのものが欲しかった。紀元500年に起きたこと
で、それから何百年もたき火の回りで語り継がれ、ついに1000年頃に羊皮紙に書きつけられて、それからすぐに失われ、1800年にイングランド北部の焼
け落ちた農家で一人のアイスランド人が再発見したんです。書かれていることによると、この物語の精髄は善き英雄と悪漢のいる、我々が西洋文化や一種のポッ
プ・カルチャーの中で慣れ親しんでいる実に単純な道徳観みたいなものです。そして、原作のグレンデルは超自然的な生き物、神話的な生き物で、自然の産み出
したものではない。アンドリューとわたしが選んだのは、グレンデルを自然の世界に置き、その観点から物語を探っていくことで、できあがったものは部族意識
の物語で、そこが実に現代的な所で、本当に訴えかけてくるものであり、こうした部族意識や宗教的不寛容の時代にあって英雄的行為についての我々の概念はど
ういったものかを見ることでした。
司会:それではいかがでしょう、ええと、5年でしたか、実際にその概
念が発展するのにどれだけかかったか、それから脚本、そしてこれらの人物たちの配役に
どれだけかかったかを話して下さいましたが、それがどのように実を結んだのでしょう。
ストゥーラ:ええと、始めてから4年半か、そんなもんだと思う。アン
ドリューとわたしがアイスランドに旅をすることから始まりました。
司会:いいことですね。
ストゥーラ:そこのフレディックと。フレディック・フレディクソンで
す。それとここにいるうちのプロダクション・デザイナーのアルニ・パル・ヨハンソンが
我々を自分のお気に入りの場所に連れて行ってくれました。1ヶ所見せてちゃんと反応すると別の所を見せてくれるという具合でした。そして結局、我々は最高
の場所を全て手に入れました。数年ですよ。数年間かかりました。3カ国、カナダ、アイスランド、英国の共同制作です。ポール・スティーブンズとエリック・
ジョーダンを相棒に迎えて、マイケル・コーワンを英国の「スパイス・ファクトリー」から迎えて、去年の春に制作の前準備にアイスランドへ出発しました。
司会:ですが、2言3言で、英国を仲間に引き入れ、ここでお金を手に
入れたと言われましたが、その点をもう少しお話しいただけますか。じつに単純なことに
聞こえてしまいます。これはなかなか大変な映画ですね、やろうというだけでも大変な話ですが、どのようにやったのでしょうか、ストゥーラ。
ストゥーラ:まず脚本から取りかかります。実は、脚本は初めから申し
分なかったのです。人が実に良い反応をする水準にありました。ですから、毎回多くの障
害がありましたが、脚本はいつでも人々を感激させ、その過程で我々は一種の支持者を得たのです。けれども、それは、つまり、こういうことは、3カ国のそれ
ぞれで8つとか10の資金源を持っていて、弁護士の一団に崖っぷちに追いつめられ、深淵を覗き込まされて、再交渉をするんです。それが、共同制作というも
のです。
司会:さて、こちらにおいでの俳優さんたちと話してみましょう。多分
ジェラルド(GeraLd)
が、丁度さらに水を注いでいる所ですが、配役に関して・・・
記者:ジェラード(GeraRd)だよ!
ジェリー:ありがとう、ありがとう! 彼女にぼくのちゃんとした名前
のことを言っているんでしょ? そう、ぼくの名前はジェラード (Gerard) だ。
司会:失礼、ジェラード。
ジェリー:いいんですよ、ジリアン。
司会:ははは! そうですね、ごめんなさい。ジェラァァド、この脚本
がいつ届いたのか、そしてこの人物を演じることについてどう思ったのかとても知りたい
のですが。
ジェリー:え〜と、全てはニュー・ヨークの公園で始まったと思
う・・・いや、冗談だよ! 何を言おうとしていたんだっけ。でも、脚本を送られて、読み、す
ぐにこれまで慣れ親しんだり身に付けた嗜好とは違うものを掘り下げているのだということがわかり、そこで1回読みまた読んで、2回読むまでにはすっかり惚
れ込んでいました。まだ少し手を入れる必要があったし、手直しも必要なところやもうちょっと研究するところがあったけれど。ストゥーラと会って、素晴らし
い出会いをしました。彼の作品を見て、監督としての彼に本当に興奮し、その後彼がロケ地の、撮影予定の環境の写真を何枚か見せてくれて、作曲家からの
「CDを聞いてくれ」と言ったんです。そこで、物語を感じ、ロケ地を見、その音楽を聞くと、頭の中に映画ができました。驚くべき叙事的な映画ができて、し
かもそのような叙事詩的な英雄を演じるのに、ある独創性を、まあそういったものをもって演じることを許され、普通は英雄が行くことを許されない領域へ行く
ことを許されているのです。それが我々の物語と[原作の]
詩との大きな違いで、詩は人物の点からするとずっと面白くないんですよ。自分に対する疑い、ベーオウルフが
自ら続けていく旅はもっとずっと複雑で、一面で弱いのです。彼は英雄ですが沢山の弱点を持っているし、間違いを犯します。そして実際、映画の最後で彼は究
極の間違いを犯すと思いますし、彼はそのことを知っていて、その始末をつけそれと共に生きなくてはならないのです。だから、続けるのが魅惑的な一種の
旅なのです。あらゆるものを集めてあり、とてもやらないとは言えなかったし、おまけにストゥーラは素敵な人です・・・一緒に仕事をするには。
司会:それにサラがいるし。ははは!
ストゥーラ:おまけに偉大なる人道主義者だ! そうですよ、そう。
全員:ははは!
ジェリー:ぼくは素敵でセクシーだって言っているんだ!
全員:ははは!
司会:いいでしょう!
サラ:みんなでグループ・ハグをしてもいいんじゃない!
司会:失礼サラ、そうですね。
サラ:え〜と、わたしは彼が偉大な人道主義者だという主張を実際に支
持しますよ。本当にいつもストゥーラと仕事をしたかったのです。彼は、カナダの映画界
という政治的な獣の中で稀な人の1人ですし、それでわたしたちは互いにとても良く知るようになったのだと思います。『ファイナル・オファー』はわたしの人
生で転回点となった映画で、16歳の時に10回くらい見たと思いますし、本当に労働関係についてわたしは熱烈になったので、いつもストゥーラと仕事をした
いと望んでいました。それに、彼をとても尊敬していますし、あの脚本はこの映画を作る唯一の方法だと思います。『ベーオウルフ』のことを聞いた時、これは
ちょっと厄介な代物かもしれないと思いました。
ストゥーラ:面白味がない?
サラ:実に酷いものになるかもしれませんでした。ヴァイキングの兜を
被った連中はちょっとばかり悪夢になりえますけど、これを作る唯一の方策はユーモア感
や自己認識感と沢山の不遜な言動を入れることだと思います。そして、まさしくこの脚本がやっているのはそれなのです。だから、わたしは本当に興奮しました
し、またこのような役をやったことがないので、わたしにとってもとても大きな挑戦でした。
司会:魔女を演じるのは面白いですね。で、あなた・・・
イングヴァール:イングヴァールです。
司会:そう、イングヴァール、あなたとの関わりは? 配役はどのよう
に? どういうことになったのですか? それと、あなたがその役に惹かれるのは?
イングヴァール:ええと、配役は〜、ストゥーラです。数年前からス
トゥーラを知っていて、彼の作品を見ていますし、彼はわたしを舞台や映画で何年も見てい
ました。彼が脚本を渡してこう言ったのを覚えています。「どうかわたしのためにこれを読んで、君の意見を聞かせてくれないか。君にこの映画である役をやっ
てほしいんだ。ベーオウルフはもう役を振ったから、君はどの役をやってみたいかな?」ええ、それで脚本を読んで、惚れ込みました。しかも物語を語らなくて
はなりません。グレンデルをやりたいと思いました。そして、贈り物を買いに本屋に行ったら、列の前にいたアメリカ人がデスクにいる人に『ベーオウルフ』の
撮影がどうなっているか尋ねていましたが、相手はそのことは何も知りませんでした。そこでわたしが、「まだ始めていませんよ」と言うと、「関係者です
か?」と言うので、「ええ、そうなるといいと思っています」と言いました。「ほう、どのように?」「ええと、多分役の一つを演じるでしょう」「どの役で
す?」「グレンデルを演じたいですね」するとかれは上衣から一冊の本を取り出して言いました。「この本がその役を得るのに役に立つでしょう」ジョン・ガー
ドナー[「ガルドネル」と発音している]
の『グレンデル』でした。そこで、その本を買いました。本屋で、本屋からではなくて、彼から。そして、読んでみていかしていると思いました・・・実に役に
立ち、次にストゥーラに会った時、「だれがグレンデルをやるにしても、この本は役に立つよ」と言いました。すると彼は、「ほう、その男をこの目で見てみた
いもんだ」と言いましたよ。そういうことだったんです。
司会:それで、本を買ってから役を受けるまでにどの位あったのです
か。長いことかかりましたか。
イングヴァール:ええと、ストゥーラが次にアイスランドに来た時まで
です。覚えていませんが、ひと月かな・・・。
ジェリー:彼はその本にいくらつけたの? 興味があるんだけど。
全員:ははは!
イングヴァール:1,000アイスランド・クローネだった。
ストゥーラ:その本を手に入れた最初のやつに配役するつもりだったん
だ。
全員:ははは!
司会:今のは合図ですね。あちらから質問です。
記者:グレンデルはどのようであるべきかということについてはあらゆ
る考えがあります。いわゆるクリスチャン・サイエンティストがそれは、クリエーショ
ン・サイエンティストがそれはT-レックスだと思うとわたしに語ったことがあります。なぜなら、恐竜と人間が共に地上を歩いたというより多くの証拠がある
からです。そこで、多くの人は明らかに、グレンデルをかなり大きな人間と考えるよりは非常に怪物的な概念を抱いています。どうしてあのようなもっと人間的
な方向に持っていくことにしたのかと思っているのですが。
ストゥーラ:ええと、アイディアの本質は初めから人間から叙事詩を語
ること、叙事映画に人間的な観点を見つけようとすることです。それに、この物語が起き
た当時を振り返ってみたなら、これは異教時代で、キリスト教の時代ではなく、この物語は何百年も語り継がれてきたものなのです。ついにはグレンデルは「怪
物」に、カインの末裔になりましたが、たき火の傍で語られたどこからか生じた話をすべて追っているのです。ですから、我々はこの特定のたき火の傍の
話がどこから来たのか考え始め、その時点でグレンデルは自然界に生きなくてはならなくなりました。ですから、それがまあ最初の本質的な選択です、彼は自然
界の生き物であるということが。それから、それをどのように明らかにするかを考え始めました。
記者:もう一つ知りたいのは、わたしや他の英語が専門の人たちしか馴
染のない物語がどうしてあなたの映画だけではなく、明らかにハリウッドで製作中のゼメ
キスの [アニメ] 映画になったのかということです。
ストゥーラ:ベーオウルフ狂ですよ!
全員:ははは!
ストゥーラ:はやっているんですよ。本当にジュディ・テイモアも今年
LA
オペラで『グレンデル』をやっています。実に奇妙なことです。でも、その理由はそれがわたしたちの最初の叙事詩であり、本当に力強い骨格を持っているから
だと思います。強力な根源的物語であり、わたしたちの最も根本的な本能に語りかけるのです。わたしたちの部族主義に語りかけるのです。わたしたちの恐怖に
語りかけるのです。わたしたちが本質的な恐怖にどのように反応するかに語りかけ、撮影中そのように感じ、物語の骨格を実際に自覚している以上に強力に感じ
ました。つまり、紀元500年から現在まである物語がどのように生き残ってきたのかということをです。それには何らかの「隠された」力があるに違いありま
せん。
司会:サラに魔女のセルマについてお聞きしたいのですが。彼女は魔女
という人物以上のものを表わしていると思うのですが。ある種の知恵があります、女性の
知恵があります。それはあなたが脚本か登場人物に見たものでしょうか。
サラ:ええ、その通りです。つまり、彼女はベーオウルフ狂の時代を作
り出すものを見る知恵を持っているのだと思います。それは、わたしたちが宣戦布告した
相手が、わたしたちのような者に結局はたくさん見るものです。そして、これは彼女のベーオウルフへの贈り物だと思います。いわば敵を人間らしくし、英雄と
悪漢という概念のばかばかしさを明らかにし、そのことに気付かせるのです。そして、それについてわたしはこのような映画、こうした概念を解体する映画を作
るのに特にふさわしい時期だと思うのです。
司会:撮影とロケ地について話しましょうか。故郷に帰って何個所かを
見て見つけられたロケ地の中には実に見ごたえのあるものがあるからです。そこで、それ
についてお話しいただけますか。見てみると本当に美しく、実に険しく、一面緑だけに見えるのですが、緑と明るい黄色のあらゆる色調があることがわかり、と
ても素晴らしいのです。でも、荒々しく、険しいのです。それと、みなさんにとってはそれがどんなものだったかを知りたいのです。あれの準備やロケ現場での
撮影を。それと、俳優のみなさんの経験も。
ストゥーラ:ええと、ちょっと風が強かったな。そもそも風の強い国で
あるアイスランドでも60年ぶりの風の酷い秋にぶつかってしまったんです。それで、す
ごく骨が折れました。140キロの風と横殴りの雨とですからね。瀧が下から上に流れた時にはもうカンザスにいるんじゃないとわかりましたよ。吹き上げられ
ていたんです! それと晴れ間です。時には一日で全部ありました。でも、それがこれを作り上げたものなのです・・・ええ、そもそも美しいのです。目にする
と呆然とします。しかしまた、役者たちみんなを鍛えたと思います。脚本に載っていない登場人物と演技をしなくてはならないからです。しかも、まったく予想
がつかない書かれていない登場人物みたいなものです。そして、外に出るとたとえ何であれ・・・
サラ:話に聞く所では、リップ・トーンと仕事しているみたいなもので
すってね。
全員:ははは!
ストゥーラ:そこで、どうするつもりでいても外に出ると、どのように
その場面をやるつもりでいても、風が100キロで吹きまくっていたり、こういう実に実
に強力な根源的な風景の中にいたら、そのようにはいかないんですよ。それに、アイスランドは地上で一番若い地で、今なお形成中で、この映画を撮っていた場
所は火山に囲まれていて、当時噴火していた火山が氷河の下にあります。いいですか、まさしく北大西洋にいるのです。黒い砂があり、景色そのものからうける
実に強力な力があることを感じます。わたしは感じました。君たちのことは知らないけど。君たちはただ寒くて濡れていたからね。
ジェリー:ええ。そんなことはないですよ。確かに、ぼくは寒くて濡れ
ていた。
だって、寒くて濡れていたんだから! でも、これは両極端の映画だからね。お墓に行くま
でずっとぼくに残っている、この上なく美しい静けさと光と平穏さと景色の日々の映画です。それに残っていて欲しいんだ、というのも、あれほど強烈な力強い
繋
がりを持った瞬間、ぼくが感じた精神的な繋がり、それとあんなにも惨めでもうあと2秒もこの天候の中では生き残れないと思った、「助けてくれ! 助けてく
れ!」って。「どうしてこの神に見捨てられた地に来てしまったりしたんだろう、どうしてこの役をやることを選んだりしたんだろう」と本当に思った。でも次
に
は、ぼくにとっては遥かに面白い役で、遥かに面白い企画だったからだと思った。こういった [狭い] 限界の中で生きるよりも、もっと大きな限界の中で生きる
方があらゆることを経験するとわかったとき、何かをやったんだとわかるんです。でも、それは役者としてぼくが気に入っている経験だったし、今ここにいるか
ら言っているわけではありません、そういったあらゆる理由のためだったのです。あんなにも見た目に美しいと思った環境で撮影したことはないし、それは人を
貫いてしまいます。それと話に出ていたエネルギーですが、それは表面の下で沸騰し続けて、必ずしも楽しいとは限らないものを引き出してきて、物事を疑わせ
ます。けれども、それはぼくの好きな強烈な経験で、そのことで話をするとなると色んな理由があってとても難しく、十分にそれについては言うことができませ
ん。
司会:サラ、あなたはいかがですか。ロケ現場ではどうでした?
サラ:アイスランドには何度も行っていますし、あの地とは本当に強い
絆を持っています、持たずにいることは難しいのです。だから、あそこに戻ったことは素
晴らしいことでした。悪夢の撮影でした。わたしたちは皆踊り回っていたと思います。そう言うつもりです。とても長い間いた一番きつい撮影でした。わたした
ちは文字通りハリケーンの最中に撮影していたのです。狂っていました。
司会:これを撮っていたのは一年のどの時期ですか。
ストゥーラ:11月じゃなかったかな? 11月の終わり? そんな所
だ。夏に撮影するはずだったんだが、資金繰りがつかなくて。まだまとまっていないん
だっけ?
全員:ははは!
司会:でも、一日中外に出ていたら、つまりこういう状況にいたら、カ
メラが待機している時、皆さんが待機している時はどこに行ったのですか。
ストゥーラ:天幕です。いや! 吹っ飛んだんだ!
ジェリー:そう! 吹っ飛んだ。
司会:本当に?
ジェリー:なくなりました。二度と・・・[ストゥーラの声と重なり聞き取れません]
ストゥーラ:ベース・キャンプにです。いや、それもなくなった。車
だっけ?
ジェリー:役者も何人かいなくなった、吹っ飛ばされて、心構えができ
ていなかったから[?]。
全員:ははは!
ストゥーラ:わたしたちは・・・どこだっけ? 館に行ったんだ!
ジェリー:それも吹っ飛ばされるだろうと思っていたんだ!
全員:ははは!
ストゥーラ:うちのプロダクション・デザイナーはこの荘厳な館を建て
なくてはなりませんでした。それは後でわかったことですが、わたしたちが映画の撮影を
している間に彼らはスウェーデンで元々の [フロスガール王の館]
ヘオロット
だと思うものを見つけて、彼がわたしたちのために建ててくれた館のイメージをオンラインで見ています。大きく荘厳で、流木と石でできていて、あらゆること
に持ちこたえました。最悪の風にも持ちこたえ、丘の麓のホテルが吹き飛ばされた時も持ちこたえました。ですから、わたしたちは避難所を与えてくれたプロダ
クション・デザイナーに感謝しています。
司会:では、その館の設計と内装ですが、雰囲気全体がとても印象的で
すから、それについて少しお話しいただけるのではないでしょうか。それの設計と、感じ
と、内装の見た目と。どのように設計されたのでしょうか。
ストゥーラ:ええ、映画の外観は、時期は民族大移動の時期で、前ヴァ
イキング時代です。そして、ものすごく旅をした北欧の人々を扱っているのです。彼ら
はどこにでもいました。ブダスに埋葬場所か何かがあります。そこで制作の構想は「泥の中のダイアモンド」の発想でした。美しいヴィザンチ
ン様式のデザインやガラスの杯などがあります。埋葬場所で見つけたようなものを描きましたが、この実に不適切な風景の中にあります、そしてそれが基本的な
概念でした。館は伝統的な館です。基本的にはひっくり返した巨大なバイキング船で、両端を切り落としてあります。かなりね。真ん中に大きな炉があり、そこ
で何でも起きるのです。そこで寝たり、食べたり、[?(おそ
らく性的な事柄でしょう)] したりします。
司会:時には殺されることもある。
ストゥーラ:時にはね。そう、この人が現われるとね。
イングヴァール:それほど悪くないよ!
全員:ははは!
ストゥーラ:彼はただ谷からやって来た大きな誤解された奴なんだよ。
司会:心と、良く利く臭覚を持ったトロールですね。
ストゥーラ:これも言わなくてはならないけど、グレンデルの、イング
ヴァールの創造に当たっては、またもや風景が巨大な部分だったんです。イングヴァール
はずっと初めからわたしたちと関わっていたからです。ロケ地を探しに行く時は、彼も風景の中に出て、自分の身体言語を見つけ、ニック・ダドマンとリースデ
ン・スタジオに行くと見つけたことを伝えて、創造し、形を、グレンデルの姿を見つけました。そのことを話したいかい?
イングヴァール:ええ、もちろんです。風景の撮影は、わたしにとって
はそこで仕事をするのはとても居心地が良かったです。それは、多分故郷にいる特権で
しょうね。走り回っていて、この地形の中を走り回らなくてはならないときには。スタントの責任者がすごく・・・脅えていたのを覚えています。
ストゥーラ:緊張だよ。
イングヴァール:とても緊張していました。
ストゥーラ:川に落ちたり何やかんやしていたからね。
イングヴァール:もちろん彼は何もかも安全であることを望んでいまし
た。彼は苔が緩いので怖れていました。そして何もかもそんな調子でしたが、わたしは2
本足で立って以来この中を走ることには慣れています! そして、・・・このことであとは何を話せばいいかな?
司会:ええ、どうやって・・・2本の足で立っていますが、あなたの扮
装の
仕方は、つまり、あなたの装いとかメーキャップとかそれにまつわる細かいことを話しま
しょうか。あなたをこのキャラクターにするのはかなり大掛かりな創造でしょうね。
イングヴァール:ええ、それはストゥーラとニック・ダッドマンとこれ
をやったコズバド・テリー
と話をしていてだったのです。で、この特殊メイクをすっかりやったら、これを実に徹底的にやり始めたら誰も本当にわたしがわからないのですよ。そこで、ス
トゥーラとわたしはそれが気に入らず、剃り落としてようやく上手く行ったという訳です。その後で、中味の人物の方に取りかかりました。先にこの外見があっ
たのです。それはやり甲斐のあることでした。何も難しいことではありませんでしたし、特殊メイクをつけていたので実に快適でとても暖かかったのです。
司会:多分暖かくしていてくれたのでしょうね!
イングヴァール:みんなが死にそうに凍えている時に、わたしはとても
気持ちよかったです。
司会:でも、それを撮影中毎日やらなくてはならないのですよね、つま
り、どの位準備にかかりましたか?
イングヴァール:初日は6時間です。それからついには4時間まで減り
ました。でも、アイスランドでは天気はあんな風ですから、まるで当てにはなりません。
だから、時々すっかり撮影の用意ができたのに、天気のせいで用無しになってしまいました。でも、それが映画というものです。そういうものですよ、いつだっ
て・・・それが映画です。
司会:それが映画ですね。でも、実際に動くのは大変ではなかったので
すか。あの天気では・・・。
イングヴァール:とても柔らかいのです。ただ一つ気がついたのは、あ
の素材は自然に動いてしまうということです。それで、皺ができて本物らしく見えないだ
ろうと心配でした。でも、あれは本当に驚くべき変装でした。
司会:でも多分ストゥーラ、あなたはある外見を試してみてから整えた
と仰っていますけれど、それはそこに人間を見つけようとしてですか、それとも何か考え
があったのでしょうか。
ストゥーラ:わたしたちが気がついてすぐ、アナログ映画にするという
アイディアにのめり込んですぐに、わたしはダドマンの所へ行きました。彼は世界一です
からね。そして、最初に彼が言ったことは、「君がしたいのならスケッチを描くことはできるよ。でも、本当の所それは配役によるんだ。このキャラクターは君
の役者から生まれてくるんだ」と。そして、実際にその通りになったのです。つまり、これはイングヴァールと彼の脚本解釈と、鏡の前で動き回り、あれこれ付
けたり取ったりしたことが組み合わさったものだったのです。わたしたちは3,4回ロンドンに行ったと思います。それと、イングヴァールの息子が幼いグレン
デルを演じています。ですから、彼もグレンデル化しなくてはなりませんでした。
司会:グレンデル化ですか。沢山の毛ですね、沢山の毛があちこちから
生えて
いたりですね。それで、あなたはいかがですか、ジェラァァド、扮装をされてこのキャラ
クターを作り出した時は。外見がどうあるべきかという考えをお持ちでしたか、そしてそのように貢献されましたか。
ジェリー:ええ、ええ。ぼくもとても柔らかくなきゃと思いました。そ
れで、お腹に肉をつけて・・・いや、ぼくは・・・やれやれ! 今日は受けるなあ。ハ
ロー、トロント! 1週間まるまるいるからね!
全員:ははは!
ジェリー:この映画のために長い間ものすごく一生懸命に訓練したんで
す。本当にそう思っていたので随分筋肉をつけました・・・ええと、1つには、このキャ
ラクターはそうであろうと感じていたからです。2つ目には、上半身裸になると思っていたんですけど、結局そうはならなかったので、まるっきり時間の無駄で
した。それと、鎖帷子ってのは実に断熱性に欠けるので、何枚も下着を着けなくてはならなかったんで、1日トレーニングしたとしてもどうってことなかったん
ですよ。どっちにしても、保温シャツを25枚かな、着て巨大になっていたんですから。それに、どこからあの長い髪が来たのか本当に知らないんです。メイク
アップ・デザイナーがいて、極く初期のスケッチを持っていたんですが、ぶっ飛びましたよ! 髭は大好きでした。彼が持っていた髭の形は実の所ほとんどフン
族みたいでした。ほとんど野蛮なところがありました。それほど力強い外見で、そこから取り組んだのです。それと、ぼくは顔に傷が欲しいと思いました。全然
傷跡のない戦士たちを目にしているんですから。しかも、彼らは生涯剣やナイフを振り回し、切りつけられ、他の連中をものすごく蹴り飛ばしてるのに、全然傷
がないんです。だから、ぼくはここと片目の上に大きな傷を付けたらいかしてましたし、それ以外はバイク乗りみたいな気分でした。ぼくたちが皆集まると、バ
イク乗りの一団みたいに感じ、ちょっと格好良かった。だって、彼がした旅に出るためには、そういうものがあったと感じるのです。それはある点で本当に精神
面でも情緒面でも成長の過程で、彼らが若さを感じて出発したというのは素敵なことです。それに、重苦しさがあったけれど、若さもあったのです。こういう探
求に行くことが大好きな若者の一団です。でも、これほど陰鬱で複雑な探求には直面したことはないのです。そもそも探求とは何かということに本当に疑いをも
つことになるのです。
司会:で、サラ、あなたはセルマがどんな外見になるかに貢献しました
か。髪は?
サラ:髪はそうです。彼女は赤毛で、その髪は大きく突拍子もないのが
いいと思いました。そして、それがこの映画でわたしがした役作りの全てです。髪です
が、そのことで気分がいいです。
司会:三つ編みが多いですね。髪の毛がたくさんあります。登場人物は
全員髪が多いのですが、皆それを三つ編みにしていて、髭も編んでいたりします。面白い
と思いました。邪魔にならないようにしているのですね。
ストゥーラ:いやちがいます、連中はうぬぼれているんですよ! 連中
はかなりいかしたうぬぼれ屋なんです! 髭を編んで身を飾るのが好きなのです。
司会:飾るですか、ああ、その通りですね。なんでしょう、ジェリー?
そちらで質問です。
記者:サラ、2つ質問があります。1つは、こんな風に男性のエネル
ギーに当惑する映画のただ1人の女性であるというのはどんなものだろうということ、それ
と、わたしの理解している所では、アイスランドはかなり進んだ国で、国会では実際議員の大半が女性ですが、あなたは調べて・・・
[聴衆の中で笑い声]
記者:何です? おかしなことじゃないですよ!
ストゥーラ:この場にアイスランドの大臣が2人おいでなんです。
記者:本当ですか?
サラ:大笑いしている方です。
記者:それは実に皮肉なことで。ですが、あなたは政治的風土に馴染が
あると思いますが。
サラ:少しは。つまり、本当にアイスランドの政治を学んだふりをする
つもりはありませんが、わたしのあの国との繋がりの一部は、アイスランドのフェミニズ
ムが私たちのものを恥じ入らせるものだということです。未婚の母があちらでは、北米では聞いたこともないやり方で支援されています。アイスランドでやって
いることに較べると、わたしたちは何百年も昔の暗黒時代に生きていると思ってしまいます。ですから、本当に強い女を演じるには実に良い所です。あちらで、
そういう人にたくさん会いました。それに、いえ。たくさん驚くことがあります。たくさん悪いことも起きています。戦争を支持していました。全く良いことば
かりではありませんが、たくさん驚くべきことがあります。部外者として、またおそらく全くの理想主義者として、わたしにはそう思えます。多分イングヴァー
ルがもっとそれについて話してくれるのではないでしょうか。
司会:お話ししますか、政府の要人が何人かいるこの場であちらの政治
について話しますか?
イングヴァール:いや、とても恐ろしくて。
全員:ははは!
ジェリー:ぼくは・・・
サラ:猛烈なしっぺ返しがある?
ジェリー:ぼくはあなた方の、あなた方大臣のさりげなさが大好きで
す。どうしてもお話したいのは、ハップのホテルに泊まっていた時、大臣の一団がいらした
のですが、ぼくは知らなくて、大臣の1人をホテルのマネージャーだと思い、ちょうどレストランが閉まっていると言われたばかりだったので、腹ぺこだからハ
ムとチーズのサンドイッチを取ってきてもらえないかと彼に頼んだんです。すると、プロデューサーのアナ・マリアがそこで坐ってすくみ上がっていたので、
「どうしたの」と聞きました。すると彼女は、「水産大臣よ」と言ったのです。
全員:ははは!
ジェリー:それなのに、ぼくは・・・
司会:ハムとチーズのサンドイッチを頼んでいたんですね。
ジェリー:ハムとチーズのサンドイッチを頼んでいたんです。そのこと
は、決して忘れませんよ!
司会:まだここで話題にしていない登場人物がいます。それはキリスト
です。そこで、ちょっとお話しいただければ。司祭がいて洗礼するのが面白いですね。こ
の点について、詳しくお話しいただけますか。時代とか・・・。
ストゥーラ:ええ、歴史的にはこの時代はちょうどキリスト教が北方に
現われてきた時期で、映画では名の知れぬ [原作の]
詩人への承諾だったと思います。映画にはブレンダンというケルト人の司祭がいて、浜に打ち上げられてトロールを退治するのも自分の使命だと確信し、ベーオ
ウルフのしたことは何でも自分の手柄にし始めます。そして、人々は改宗させられますが、本当に我々がいじりまわしていたのは、いかにして「公認の」物語が
存在するようになったかという概念でした。彼は、そしてそれは最後で我々がまあ達する点ですが、ソルクルが締めくくって、いやソルフィン
[共に映画の登場人物]
が締めくくっていることですが、[映画の中の吟唱詩人]ソルクルの
物語は下らんということです。そういうことだったので、まあ一種のこの時代への歴史的な承認であり、この物語が
異教の物語からキリスト教の物語にどのように変質したかに触れているのです。
司会:その点について助けてくれる相談者はいましたか。どれだけの作
業ですか。
ストゥーラ:我々は学者からは距離を置こうとしましたが、最後になっ
て脚本がかなりいい形になると、かなり多くのベーオウルフ信奉者に実際に見せ、とても
良い反応をしてくれました。ですが、本当にここで人におもねるベーオウルフにしたくはなかったのです。そういう考えはありませんでした。
司会:人におもねる、ですか?
ストゥーラ:ええ、人におもねるベーオウルフです。
司会:おお! それと言葉ですが、訛りについてと、それにどう取り組
んだのかちょっとお話しいただけますか、異なった発声、異なった訛りがありますので。
ストゥーラ:ああ、そう。つまりまず、これは本当に、またもアンド
リューの脚本家としての非凡さを語ることになります。会話の中には一つとしてロマンス語
由来の言葉はありません。すべて古代スカンディナヴィア語かゲルマン語が語源の言葉です。ですから、それらは古い言葉ですが、彼はそれを組み立て、構文は
現代のものです。それは、またも我々は現代的であると同時に古めかしいものに感じられるようにしたかったからです。それと、訛りについてあれこれと懸念が
ありましたから、随分討論しました。そして、とうとうわたしは訛りについて頭を悩ますのは時間の無駄だという結論に達しました。なぜならまたも、これは移
動の時代で、あらゆる部族の人がいて、みんな船で暮らし、互いに離れて船出していき、皆それぞれ少しずつ異なる訛りで言葉を話しているのです。ですから、
一旦ジェラードを配役すると、彼があのスコットランドの音で英語を話すのがとても気に入り、グラスゴー訛りはそこからちょっと取り除きました。ですが、今
日世界で英語を話す人たちのうちで、スコットランド人が古英語に最も近いということがわかります。非常にかちっとした硬い音の英語です。そこで、我々は
[ベーオウルフたち]
イェーアト人 [監督は「ギート」と現代式に
発音]
のチームに彼の回りを他のスコットランド人で固めました。ただし、[ソルフィン役
の英国人]
マーチンは別です。彼は何かそれにふさわしいように聞こえる訛りみたいなものを作り出しています。[客席から何か返事] ふさわしく聞こえましたよ。
ジェリー:ぼくはスコットランドの出身です。あれはとても素晴らしい
訛りでした! よくやったよ、マーチン! あれに拍手を。
司会:スコットランドの出身だということは存じております!
ジェリー:そして、[ソルクル役の]
ローナンはすっかりおいてきぼりをくった感じだったんだ。誰も彼にこのことを言わなかったんで、彼はイングランドの訛りのままだったんだよ。
ストゥーラ:そう、でも彼はウェールズ人だよ。それに詩人だから、そ
れでいいんだ。朗々と聞こえなくてはいけない。
司会:素晴らしいですね。どうもありがとうございました。これで記者
会見はお終いです。ありがとうございました。
ジェリー:ありがとう。
<補足>
[最後に触れられている訛りについては、公式頁の「監督に聞こう」の個所で
2004年8月19日に、監督が次のように答えています。]
話し方は主に文そのものによって決まります。言葉は全て古代スカンジナヴィア語源の英語で、構文にはそれ自体のリズムがあり、古めかしく感じると共に現代
的にも感じます。ジェリーのスコットランド訛りは男性的で、あの人物に合っています。彼は少し訛りを和らげグラスゴーの特異性をなくしますが。彼の仲間の
ホンドシーオウとブレカはトニー・クランとロリー・マッカンが演じ、2人ともやはりスコットランド人で(またジェリーの昔からの友人です)、2人も訛りを
まるっきりなくさないようにして和らげます。吟唱詩人のソルクルと若いソルフィンはローナン・ヴィバードとマーティン・デラニーの英国人が演じます。彼ら
は訛りを一種の中世英語の方にし、もっと短い母音ともっと硬い子音を使って、この一団全体が大体同じ所の出身であるように感じるようにします。全体的に
は、わたしは訛りよりも、彼らが人物の内面に入るように心掛けています。物語はヴァイキングの入植時代前に起き、いずれにしても当時は部族や訛りがとても
入り交じっていました。デーン人は主に(ステラン・スカルスガードの特別な例外を除いては)アイスランド人が演じ、彼らは北欧の訛りで英語を話します。こ
れは組織的に彼らとイェーアト人を切り離します。ーーストゥーラ
<謝辞>
本記者会見の翻訳にあたり、GB.NetのAGOSさんの書き起こしを参考に、ビデオと聞き較べて訂正しながら行ないました。若干の聞き取り不明な個所
は、我が畏
友の助けを得ました。また、<補足>の監督の発言を見つけ出してくれたのも、畏友です。両者に感謝いたします。