Daily Record

 2010年 7月17


スコットランド人の俳優ジェラード・バトラーがアフリカの天使となった麻薬の売人を演じる

 

アラン・カーソン

 

タフ・ガイのサム・チルダースが恐るべき麻薬の売人から銃をかついだ牧 師に変わった・・・そして今彼はハリウッドに行った。

48歳の彼は無法者のバイク乗りをやめて精神的な道をたどり、戦争に引き裂 かれたスーダンで無垢の子供たちを救っている。

彼の魅惑的な物語が、スコットランド人のハンク、ジェラード・バトラー が主役を演じて大画面にやってくる。

 

Machine Gun Preacher 『マシー ン・ガン・プリーチャー』は、2009年の彼の本Another Man's War: The True Story Of One Man's Battle To Save Children In The Sudan(他人の戦争:スーダンで子供たちを救うために一人で戦う男の真実の物 語)に語られたチルダーの半生を翻案したものである。

撮影はデトロイトで始まっており、南アフリカに移動する。

 

監督は『チョコレート』と『慰めの報酬』のマーク・フォースターで、来 年の秋に劇場公開の予定。

 

サム師が12年 にわたって、世界でも最も無法な地帯のひとつで恐るべき暴力から子供たちを救おうとしてきた[努力(? 原文の綴りがおかしいので文脈から補っています)]を語っている。


残酷な独裁者ジョウゼフ・コニーと彼の反乱軍「主の抵抗軍」は、戦争に 引き裂かれたスーダンで何千もの無垢の人びとを弾圧している。

彼らは疑いをもたない村人を攻撃し、すべての家を焼き払い、その後人び とを拷問し、手足を切り、殺す。

およそ5,000人 の子供たちがコニーの反乱軍に加わることを強制されたり、奴隷商人に売り飛ばされている。児童兵士はしばしば自分たちの親を殺させられたり、自分たちが殺 されたりしている。

 

1992年にサムは神を見出した後、飲んだくれの麻薬と暴力のバイク乗りのギャ ング生活から足を洗い、アフリカでのヴォランティアの建設プロジェクトで働いていた。

そのとき、再生派キリスト教徒は、地雷で吹き飛ばされた子供の死体を目 にした。

「あれはおれをすっかり悩ませた。あれがおれの人生を変えたんだ」とサ ムは言う。

 

6年後、彼は誘拐された子供たちを救おうと、アフリカの薮の中での銃撃 戦で命を賭けていた。

羊肉型の頬髭を生やしたサムは戦闘地帯の前線で戦い、時にはAK-47ライフル銃を一方に、もう一方には聖書を置いて薮で眠ることもあった。

彼はできるだけ多くの子供を救い、コニーの恐怖支配を終わらせようと決 意していた。

 

これまでにサムは1,000人 以上を救出した。彼らは避難所、食べ物、服、教育、医療を彼が1998年に設立した組織「東アフリ カの天使」から得ている。

これらの戦争嬰児のうちおよそ700人 が家族の許に戻った。さらに何百人もが、サムが建てた3つの孤児院で暮らしている。

 

サムは言う。「子供たちが、中には7歳の幼さで誘拐されると、彼らは分 けられる。

「女の子は性の奴隷になり、何人かの男の子は戦士になり、弱い者は恐怖 を生み出すために他の者たちの目の前で殺される。

「救い出した時、子供たちはすっかり心に傷を負っている。

「我々が世話をしているある少年は、11歳になるまでに30人以上の人を殺させられた。

「死に囲まれて来たこうした子供たちを、暴力は何も解決しないという考 え方に持って行くのはたいへんな労力がいる。

「回復はゆっくりでつらいが、徐々にまた子供らしく振る舞い始める。

「彼らにはただ愛が必要なんだ。

 

子供の中にはなたで腕を切り落とされた子もおり、耳をそぎ落とされたり 舌を抜かれたりした子もいる。

しかし多くの子にとり、サムは彼らの救い主だ。彼は言う。「『天使』を 設立したとき、スーダンやウガンダでの戦闘で親を亡くした子供たちのために孤児院を開きたいと思った。だがおれは、一方にマシーン・ガンを置き、片方に聖 書を置いてわら布団と蚊帳で眠る簡素な所から始めた。

 

「神があそこまでおれを連れて行って下さるとは思いもしなかった。

「それ以来、何度も待ち伏せされている。奴らはおれを暗殺しようとして いる。ここは戦闘地帯だ。殺されるかもしれないんだ。

 

サムは続けた。「死ぬことを恐れてはいない。いつかは人生で一度はする ことなんだから。

「おれの人生には麻薬や他のもので死にかけた時がある。だが、それは人 生に大義も目的もない犬死だっただろう」

 

サムは自分の時間を、米国の自宅とアフリカでの戦闘仲間とに分けてい る。

彼は続けた。「おれはセントラル・シティーに近いペンシルヴァニア州の アレゲーニー山脈に住んでいて、そこで毎年およそ6ヶ月過ごす。あとの6ヶ月はアフリカにいる。セントラル・シティーで、 シェキーナー・フェロウシップを設立した。それはバイク乗りの教会だ。

「ほぼ全員が何かしらの中毒だ。シェキーナー* は旧約聖書からきた名前だ。

*神が遍在することをハヤウェの神殿内の信者に顕示する光明、御臨光。神を超越的 存在とする考え方と対比される神の存在そのもの。

 

「新聞の一紙が、ピストルを片手に持って説教壇にいるおれの記事と写真 を載せた。おれの会衆の中の何人かを目にしたら、あんたも銃を持つだろうよ。

「教会にはキャンプ用地もある。そこに問題を抱えた街の若者が田舎に やって来て、人生の圧力から逃れるんだ」

 

サムは成長の途中で誤った道をとったことを率直に認め、すぐに自分が法 の間違った側にいることに気がついた。

彼は11歳で麻 薬を始め、じきに不法なブツや暴力の深みにどんどんはまっていった。

 

彼は思い返す。「おれの父親は半分チェロキーで、高層の鋼鉄建設現場で 働いていたから、引っ越しばかりで、おれも建設現場に入った。

「それから、麻薬を売り、喧嘩し、何度も逮捕された。正直に言うと、30年前のおれは、あんたがお目にかかった最悪の人間だっただろう。タフじゃなかったが、下劣だった。

「その後、妻のリンに出会い、彼女は再生派キリスト教徒になり、おれの ために祈った。

「おれは変わっていなかったら、多分殺されていただろう。ついにおれ は、神は大いなる神で、おれの人生を取って、向きを変えて下さったのだとわかった」

 

サムは、彼の本を書いている間に体調を崩し、友人たちの墓を訪ねたと明 かした。

彼は言う。「その瞬間までどれほど多くの人を傷つけて来たか気がついて いなかった。

「彼らを麻薬に向かわせた。おれの人生には取り除けない傷があるんだ。

「おれが傷つけた人たち全員に償いはできない。ただできるのは、あちこ ち行って、おれがどんなに間違っていたかを人びとに語ることだけだ。

「おれが経験したことを経験しないようにと思ってだ。おれの本は購(あがな)いに関するものだという人もいる。

「あれが示しているのは、もし意思を見出せば、自分たちがやっている有 害なことを止めることが誰にでもできるということだと思う。

「おれは完璧じゃない。おれは最高に精神的にいかれた牧師の一人さ。

「おれの人生には問題が数々ある。でも、イエス・キリストを愛している よ」

 

ジェラードにとっての愛の労働

 

300』のス ター、ジェラード・バトラーは『マシーン・ガン・プリーチャー』で大幅な報酬の切り下げを受け入れている・・・彼は脚本が大いに気に入っている。

ペイズリー生まれの俳優は、彼が1本の映画で得られるものの何分の一の10万ポンド[1,300万円(2010年9月4日時点)]を得る。

最近ペンシルヴァニアにチルダーズ師を訪問した41[こ の時点ではまだ40歳です]の俳優はいう。「ぼくはこの作品の製作もするんだ。きっとそれをやって10セント得ることになるんだよ。

「でも、面白い企画だったら、受けるよ。

「これは大掛かりで派手な企画じゃない」



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