The Sofia Echo
2009 年1月30日

映画評:『ロックンローラ』
パヴェル・イワノフ

全般:3/5
監督:ガイ・リッチー
ジャンル:コメディ
上映時間:114分

我々がガイ・リッチーの新作を期待して6年になる。妻(そう、マドンナだ)との2002年の『スウェプト・アウェイ』のコラボレーションは、控えめに言っ ても観客が欲した物ではなかったが、2005年の『リボルバー』は訳がわからず、到底堪え難い程もったいぶっていた。こうしたことを心に留めておくと、 『ロックンローラ』は、リッチーがまだたっぷりとエネルギーと才能をもった監督なのか、あるいはついにそれらを失ってしまったのかを示すという望ましくも 羨ましくもない困難を負っている。幸いなことに、前者だったので、新しい良いリッチーの映画を待ち望むということは遂に終わった。

彼は、成功の度合いは様々ながら誰も彼もを裏切ろうとする超クールで超バカげた本物の意欲的なおふざけ者の世界に戻ってきた。『ロックンローラ』は、 『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』や『スナッチ』と同じ血液型の作品で、これはリッチー・ファンにとってはいいニュースだが、また中 傷者にとっては好都合な攻撃材料を与える。彼らは、このような自称奇妙に雄弁なふざけたメビウスの輪は、リッチーが得意な唯一のものだと主張する機会をつ かむだろう。たとえ後者の言う通りだとしても、彼はそれが実にうまい。

『ロックンローラ』は、裏切りが存在理由と思われる連中で満ち満ちている。トム・ウィルキンソンが、ロンドンの不動産業界の親玉であるレニー・コールを演 じている。彼は、ちんぴらで不動産業界の大御所の熱烈な信奉者であるワン・ツー(ジェラード・バトラー)とマンブルズ(イドリス・エルバ)に数百万を貸 し、その後彼らを引っ掛けて、返済を迫る。それからレニーは、急騰しているロンドンの不動産市場に入りたがっているユーリ(カレル・ロデン)というロシア 人の富豪と取引をしようと決める。レニーは、開発許可には裏金700万ドル[ユーロの間違い] 必要だと説明する。ユーリは同意し、取引の担保として彼の「幸運の絵」をレニーに渡す。

さて、ユーリの創造的かつ誘惑的な計理士(タンディ・ニュートン)がその金をひねり出すが、彼女は自分がそれをくすねようと決め、それを盗むために他なら ぬワン・ツーとマンブルズを雇う。彼らが盗んでしまうと、当然ながらユーリは怒りまくり、レニーは悪徳議員に支払いができないのでさらに怒りまくる。議員 は議員で、自分のキャリアを守るためにその金をどうしても必要としていた。ああ、そうそう、ユーリの「幸運の絵」がレニーの事務所から盗まれ、ジョニー・ クイッド(トビー・ケベル)という堕落したロック・スターの手に渡る。彼はもっとレコードを売るために自分の死を企てるが、その後彼はレニー・コールの継 子だということが明らかになる。

さあ、これはやたらとわかりにくいとか、バラし過ぎだとか思うかもしれない。考え直してくれ。一番興味をそそるキャラクターの何人かには触れていないにし ても、プロットは驚く程たどって行き易い。この映画は、良いジャズ・ミュージシャンがスタンダード・ミュージックを愛情のこもった解釈で演奏するようなや り方で、英国俳優はギャングを演じるということをまたも証明していると言えば十分だ。

演技は始めから終わりまで申し分なく、リチーの滑稽で時折とりとめのないダイアローグに一層の滑らかさを与えている。視覚的には、『ロックンローラ』は、 『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』や『スナッチ』と類似性を持っているが、ヒップな華やかさはストーリーを語る方に重点を置いて抑え 気味になっており、これは予想外なので好ましい。全体としては、この映画は監督の型への好ましい復帰であり、ラスト・シーンでは続編を予感させる心からの 期待を得ている。


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