Scotsman
2006 年12月26日(火)
磨き上げて銅像の詩人はヒバーニアン色を失うことになるだろう

ジェーン・ブラドレイ

何年もの間、それはリースの中心に立つ特徴的な緑の立標であったーーそして、ヒービーの 偶像のようなものであった。

ところが今、スコットランド人の詩人ロバート・バーンズの錆びた青銅の像は、長年待ち望んだ清掃を地方公務員たちが行なうと、そのヒバーニアン色の艶を失 うことになる。

このニュースは、詩人は我が身から彼らのチームの色を取り除かれると取り乱すだろうと言うヒブ・サポーターたちを激怒させた。

[ヒバーニアンの本拠地であるリースのサッカー競技場]イースター・ロードの常連であるスコットランド国会議員ブライアン・モンテイス、『イヴニング・ ニューズ』のコラムニストであるジョン・ギブソンとラジオ・フォースのDJグラント・ストットたちは揃って、バーンズのお色直しの計画に困惑を表明してい る。バーンズは地元のチームの色を身に着けていたいであろうと、彼らは主張している。

1898年に彫刻家のDW スティーヴンソンによってリース自治都市に贈られたその像は、ナショナル・クリーニング賞の決戦にまで行ったーーそこで、エジンバラ市議会は、その本来の 茶色に戻すために5,000ポンドを与えられた。

バーナード通りとコンスティチューション通りの角に赤い砂岩の台座の上に立つ像は、金属を安定させるために化学処理をし、元の色を取り戻す前に、地方公務 員たちが洗って擦ることになっている。

像は銅の合金である青銅で作られているので、緑になっている。金属の中の銅が空気中で酸化し、緑の被膜を作る。

無所属のスコットランド国会議員ブライアン・モンテイスは言う。「像は緑であるべきだし、それが変わるとなるとわたしはうろたえる。だが、ヒブスの影響は かなりのものだから、自然の力が像をふさわしい色に戻すのは時間の問題だ。

「ロバート・バーンズはヒービーであり、つねにそうあり続ける」

パントマイム・スターでラジオ・フォースのDJグラント・ストットは言う。「バーンズは申し分のない才能と、申し分のない趣味をもつ男で、偉大なるスコッ トランドの大物だから、明らかに彼はヒブスのファンだっただろうし、緑を着ていたいことだろう」

ジョン・ギブソンは付け加えた。「わたしは像が緑だった時の方がずっと幸せだったし、清掃前にもう一度目にする機会があるなら、ラビーの背中に数字の1を 捜すよ」

「ヒブスが設立される80年近く前に亡くなった詩人が、リースにサッカー・チームが誕生し、その色を身に着けることを選ぶと知っていたら、とても印象的な ことだと思う」

しかし、忠実なハーツのサポーターである地方議員のエリック・ミリガンは言う。「わたしは季節ごとに告白しようーー緑はわたしの好みの色ではないから、誰 かが緑のものを他の色に変えたいのなら、嬉しい」

「あの像はリースの商業の中心地にあるとてつもない名所だから、綺麗にされるのを見るのは素晴らしいことだろう」

「もしヒバーニアンを愛するリース市民があれが緑が良いというのなら、それは彼らの特権だが、わたしは断固ヒバーニアンを愛するリース市民ではない」

「英国をもっと綺麗に」コンテストの一部として清掃用品製造業者のフラッシュが授与した現金は8,000ポンドの清掃費用に回され、議会は1月25日の バーンズ・ナイトに間に合うように清掃が終わることを願っている。

市の文化・余暇指導者のドナルド・アンダーソンは言う。「バーンズの像が実質的な額の金を勝ち得たのは素晴らしいことだ。

「きっとヒブスのファンは、あの像が建てられた時と同じように綺麗になって、像がどんなに見事に見えるか目にしたなら、わかるよ」

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この記事には解説が必要だと思いますので、いくつか説明しておきます。
まず、ここで何度も出てくるロバート・バーンズ (1759-96) については今更改めてここで 説明はしませんが、スコットランドの国民的な詩人であり、ジェリーの敬愛する詩人です。'06年10月2日の記事にも書きましたが、英語では普通大文字で 'the Bard' 「詩人」というと、シェークスピアのことを指します。しかし、この記事ではその語をバーンズに用いています。

「ヒバーニアン」 Hibernian は1875年にエジンバラで生まれたサッカー・チームで、略称はヒブス Hibs といい、そのチーム・カラーは緑です。ヒービーはそのファンのことでしょう。「ヒバーニアン」とはもともとアイルランド人のことを指す言葉です。ラテン語 でアイルランドのことをヒベルニア Hibernia と言います。そもそも、スコットランド人を指す Scot という語はラテン語のScottus 「アイルランド人」から来ています。6世紀にアイルランドからイングランド北西部に渡ったゲール人の一族スコット族が基になっています。そして、アイルラ ンドの国の色は緑ですから、このチーム・カラーが緑であることには何の不思議もありません。

ここでは、リースの中心部に立つその国民的詩人バーンズの青銅の像が錆びて 緑青(ろくしょう)が浮き緑になっているので、綺麗に清掃して本来の銅の色である
赤茶色に戻そうということについて、その緑色をめぐって(サッカー・ファン の間で)賛否があるというわけです。
なお、バーンズの像は世界中にあります。スコットランドだけで、10あるようです。

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