ちょこっとまめ知識



それぞれのページで出てきた言葉で、ちょっと解説が必要なものや知っておくと
より面白いものなどを自分の考えや思った事と共にこのページでまとめてみました。
   どんどん追加していきますので、たまに寄って見ていってください☆



北海道

 クマゲラのいる森

  キツツキ目キツツキ科クマゲラ属。
 ヨーロッパからアジア北部にかけて生息する。日本では東北の一部と北海道に生息するクマゲラ。アイヌ名ではチプタチカップカムイ(舟を掘る鳥、舟を彫る神)。
カラス大の(大きいものは45cmくらいのものも)真っ黒な体に真っ赤なベレー帽をかぶったようないでたちの鳥です。
日本国内のキツツキでは最大ですが、その愛嬌あふれる顔は一度見たら忘れられません。また、長い間飛翔するときはコロコロコロと鳴き、静止時にはクィーンクィーンと鳴いたりと鳴き方も様々。

  私が何度も何度も読み返している有澤浩先生の本では(「生けるもののふるさと森林 富良野・森だより」、「クマゲラの森から」)クマゲラは堅い木に穴を穿つほど強固な嘴を持っているのにもかかわらず、意外にまぬけで、巣をせっかく作っても、自分よりもずっと小さいシロハラゴジュウカラやオシドリなどに巣を乗っ取られてしまったりしています。
 でもちゃんと賢いところもあります。卵やヒナが蛇等の天敵に襲われないように、つるんとした木肌で、下枝も少なく枝下高の高いトドマツの木を営巣木に選定します。また、万が一、蛇が木を登ってきても落ちてしまうように少し斜めに傾いた木を選び、その傾斜した内側に巣を作るそうです。そうすることで蛇も登りにくいし、雨が降ってきても雨水が入りにくくなっているわけです。更に、周囲の環境も念入りに調べ、周りに天敵の鳥たちが止まれるような枝の付いた木がないか等々、沢山のチェック項目をクリアした木が営巣木となるそうです。このように森にはただ木があれば良いのではなく、冬場の餌場にもなる朽木、切り株や営巣木として必要な硬いまっすぐな木が必要であったり、ねぐらとしての木などなど多様な木が生え、もちろん餌となるアリやカミキリムシの幼虫などがいる多様性に富む森が必要なのです。有澤先生の本によると、成熟した針広混交林におけるクマゲラの行動圏は、繁殖期で300haの森林が必要となり、近親交配を避けるためには、100番のクマゲラが棲むのに3万haの森林が必要だそうです。そういったクマゲラや他の生き物たちにも過ごしやすい森を整えてあげることも大切な森づくりの方法のひとつと言えそうです。

 また、クマゲラに会おうと思っても出会う確率が低いのは、こうして300haもの広い森の中を飛び回っているから当たり前といえば当たり前ですよね。
会うことが出来たらラッキーという感覚で森の中を歩いてみると宝探しのようでより楽しいかもしれませんね。
そのときは、むやみに探そうとしたり接近したりしないことが大切です。
例えば子育て時期に巣に近づいてしまうと、子育て放棄をしてしまうこともあるからです。これは他の野生動物にもいえることです。
人と自然との付き合いにはある程度の距離があることは忘れてはいけないことなのです。   



マリモ

  マリモはシオグサ属の緑藻類の一種。日本の周りではサハリンが北限、琵琶湖が南限で23の湖沼で生育が確認されています。
最大で直径30cmほどの球体になるマリモは世界的に見ても北海道の阿寒湖だけとされています。
1952年に国の特別天然記念物に指定されました。また、最も絶滅の恐れがあるとし植物のレッドデータブック「絶滅危惧T類」に分類されました。
 1997年9月17日の朝日新聞では、阿寒湖のマリモがどのように球状化するのかを解明したという記事が掲載されていました。
以下は朝日新聞の記事の抜粋です。

釧路支庁阿寒町教育委員会の若菜勇学芸員らが、謎に包まれていたマリモの「球状化」の過程をほぼ解明した。
マリモの形態は、全て湖底の水の流れや着床する石の大きさ、種類で決まる。これはマリモが生育する全ての湖沼で当てはまるという。
阿寒湖では、湖底の傾斜の緩い広い砂浜と、湖を囲む山岳地形によって生み出される風が作用してまりのようなマリモを作り出したという。

若菜さんによると、球状化する過程の典型例は、石などを核に抱え込んで生育するケース。
着床した石が小さいと水の流れで揺れ動いて、マリモはその表面全体を覆うようになる。流れの速さによって形に違いはあるものの、ほぼ球状に生育する。阿寒湖の場合は、水位変動などで近くにある砂地へ移動することで球状化が進んだ。
阿寒湖最大の群落があるチュウルイ湾で、3万数千個に及ぶマリモを調べたがいずれも核は無く、大型化して壊れた断片からの再生過程にあるものばかりだった。同湾の群落近くに湧水があり、かつてはここで新たな球状マリモができていたが、水の流れが変わって出来なくなったようだ。

 全国9ヶ所のマリモのDNA分析をし、富山県のタテヤママリモ以外は全て同じ種のマリもであることを確認した。
若菜さんは、「各地の湖沼で多様な形で生存しており全てを守っていかなければ種の保存にはつながらない。阿寒湖の場合も再生を繰り返しているだけで極めて不安定な状況にある」と指摘している。



この記事にもある阿寒湖の水の流れが変わった、というのは遊覧船などの影響もあると聞いたことがあります。大きな船が一日に何度も通ることで、水の流れが今までとは変わってしまいマリモにとっては棲みにくい環境を作り出してしまっているのかもしれません。マリモを見に船に乗っていくことが、マリモにとってはすみにくい環境になっているのだとしたら、それは何とも皮肉な話ですね。




白神山地


 白神岳の由来

 昔の言い伝えに「昔、沖合いを航行して進路を失ったときに、白神大権現を念ずると白旗を携えた神様が現れて進路をお示しになり船人を助けた」とあるそうです。白神は信仰と深く関わりがあり、山頂には白神大権現様の祠があります。山麓の黒埼には熊野宮神社が安置されています。熊野信仰は山岳修験信仰ですが、航海技術の広まりとともに北上したといわれています。船人は日本海の目立つ山々に航海の安全を祈る神を祀りました。そして、いつしか白神岳は海と山の両方の信仰対象となりました。
 白神岳は本州沿岸最北部の高山であり、海上から見た雪をかぶった白神岳はまさに白旗をもった神様のようです。今も、船人には灯台として、マタギには山に迷わないための目印として、農家の人には山肌の変化で農耕時期を知らせ、ブナ林の育む湧水は旱魃から人々を救い、連なる山々は北東風の寒さから農作物を守るなど、まさに白神岳は人々を救う神のような存在であったため、白神様、白神岳と呼ぶようになったとされています。



 ブナについて

 漢字で木偏に無と書くブナ。今はブナの森があると自然保護の対象となったりしてその希少性、価値が認められてきましたが昔はブナは水分が多く材木としては適さないとされ、ブナを価値の無い木という意味でこの漢字をあてはめたと言います(諸説ありますが)。戦後の復興とそれに続く経済成長の時代を迎え、木材需要、はたまた木材価格の高騰により、日本は拡大造林期に入り、価値の無い木とされたブナは日本全国の山々で伐採され、成長の早い杉や檜をはじめとする針葉樹をばんばん植林し始めました。こうしてブナの原生林はどんどん消えていってしまいました。

 そして、植えるだけ植えた針葉樹も、建物を次から次へと建てていた戦後の好況期を過ぎてしまえば不要となり、手入れの行き届かなくなった針葉樹の山々が今荒廃し、さらに春には花粉症などの現代病をもひき起こしているというのが実状です。

 ブナは木そのものも美しく白灰色の木肌も幻想的な雰囲気を醸し出しますが、さらにブナの木が育む自然から見ても「価値が無いもの」とは程遠いものだといえそうです。

 ブナの実の結実は年により豊凶があり、場所や調査例にもよりますが5〜8年周期で豊作年がめぐってくるといわれています(近年では地球の温暖化等、様々な影響によりその周期が変わっている例もあるようです)。豊かに実った年は、ブナの実を好んで食べるというツキノワグマをはじめいろいろな生き物たちが冬眠に入る冬に備え、沢山食べることが出来ます。しかし、凶作年になったり様々な要因により結実がうまくいかないときは、ツキノワグマが里におりて来ることが多くなる傾向があるそうです。ニュースでクマが人里におりてきた、と話題になったりもして、いたずらに恐れたり、おっかない存在だと思われたりもしますが、もともとはこうした自然の周期や人的要因による環境の変化がもたらしたものも多いということを心のどこかに留めておきたいものですね。こうしてブナの存在は沢山の生き物たちにも大切な存在なのです。

  また、ブナ林には豊かな貯水・保水能力があり、森のダムとして大変重要な機能があります。それはブナ等広葉樹の生える森林は、その落ち葉が分解され保水性のある土壌を作り出しているからです。これは、私たち人間も恩恵に授かっている点でもあります。微生物や菌類により分解された落ち葉はフカフカの腐葉土となり、その分厚い腐葉土層を長期間にわたりしみこんでいった雨水が綺麗な水となり、それがまた人の口に入ったり、あるいは海に注ぎこみ海の生物を豊かにするのです。漁師が豊かな海を守るために上流の山の手入れを始めた話は有名ですね。山の恩恵に応えることも是非やってみたいですね。そして、そういった動きがどんどん広まると良いと思います。




野尻

  火打山

 日本列島が生成される時に、現在の糸魚川〜静岡間のフォッサマグナ(大断層)を境に東西が分裂され、両側が大きく隆起しました。その隆起によりできたのが、東の火打山を中心とする頚城山塊、西の北アルプスだとされています。火打山はフォッサマグナより東の山々の中では一番高い山(富士山はフォッサマグナより西)です。

また、火打山は日本列島生成時の隆起でできたため、何万年も前から生えている可憐な高山植物がそのまま残りました。そのため現在でも日本有数の高山植物の宝庫といえます。




神津島

  神津島 水配神話

 昔、伊豆諸島の中心である神津島の天上山に、伊豆諸島の神々が集まり、水の分配について話し合いました。島というのは海に囲まれてはいるものの飲み水としての水にはいつも頭を悩まされているのが現状でした。話し合いの結果、翌朝、先着順に水を分けることとなりました。
 朝になり、一番早く着いたのは御蔵島の神様でした。御蔵島は一番多くの水の配分を受けました。次は新島、三番は八丈島、四番は三宅島、五番は大島でした。こうして水は分けられ、最後に利島の神様がやって来た時には水はほとんど残っていませんでした。それをみた利島の神様は怒り、わずかに残った水に飛び込み暴れまわりました。この水があちこちに飛び、神津島ではいたるところで水が湧き出るようになったと言われています。




石垣島・西表島


 ニライカナイ

 南西諸島の各地には、毎年遠く海の彼方から神が渡来して、豊穰や幸福をもたらすという「ニライ・カナイ」の伝承や信仰があります。ニライ・カナイとは、そうした神がやって来る海の彼方の理想郷を意味します。しかし、必ずしも前記のような理想郷としての意味に捉えられているだけではなく、ときには悪しきもの、災い等をもたらすもののすむ世界という意味もあったようです。




 あっちこっち自然探訪 ホームへ戻る