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1991年8月26日,大井競馬場では重賞のトゥインクルレディー賞が行われることになっていました.
このレースを見るために会社帰りに競馬場に出かけたんですが,
メインレースの前からやけにたくさんの人がパドックに集まっています.
みんな口々に「将軍」「将軍」と言っているんですが,なんのことだかわかりません.
とりあえずパドックに行ってみたら,「おお〜っ」というどよめきとともに1頭の馬が登場してきました.
パドックにいたのはハシルショウグン,前年秋に圧倒的な強さで2連勝し,
今年のクラシックの有力候補といわれた直後に骨折して春シーズンを棒に振ってしまった3歳馬でした.
元々*メンデス産駒は見栄えのする体の馬が多いのですが,
ナイター照明に輝く馬体は明らかに他の条件馬とは一線を画し,
その落ち着き払った姿も,休み明けの3歳馬とは思えない堂々としたものでした.
レース(オミナエシ特別)も2着に1.8秒差の圧勝で,
結局この年の東京王冠賞(大井三冠の最終戦)まで土つかずの4連勝を果たしました.
その後は1993年に帝王賞を含む3連勝をあげたものの,
JRAのジャパンCで2年連続しんがり負けなど精彩を欠くレースが続き,
「歩く将軍」などと陰口をたたかれる始末でした.
1995年には中央競馬に移籍しましたが,天皇賞で最下位に敗れ,
1996年5月の障害戦で故障のため競走中止,安楽死処分となりました.
競走生活の後半はあまりいいことがなかったハシルショウグンですが,
ナイター競馬でひときわ輝く漆黒の馬体(*メンデス産駒って白くなるのが遅いんですよね)は,
私の思い出の中でいつまでも光り続けています.
そして毎年夏が来るたびに,大井競馬場のパドックで「輝く3歳馬」を探してしまうのです.