アメリカで「サラブレッドレジェンド」というシリーズ本が出版されており,
アメリカの名馬を1頭ずつ紹介しています.
このシリーズの第12冊目が*サンデーサイレンスです.
もちろん全文英語なので,辞書を引き引き少しずつしか読めませんが,
生まれてからのエピソードや血統的背景,現役時代の活躍など,
興味深い内容が盛りだくさんです.
故吉田善哉氏が*サンデーサイレンスを購入した経緯なども書かれており,
それによると,ライバルであった Easy Goer(イージーゴア)が交配料10万ドルで種牡馬になったのに対し,
血統的に見劣りのする*サンデーサイレンスは半額の5万ドルでも牝馬が集まらず,
結局吉田氏が1100万ドルで購入し,日本にやって来ることになりました.
今から考えると,この取引は大変お買い得でしたね.
反対にアメリカの関係者は地団駄踏んで悔しがったに違いありません.
2002.9.6 追記
*サンデーサイレンスは8月19日に衰弱性心不全で死亡しました.
5月上旬,右前肢に細菌性腱鞘炎を発症,イギリスから専門医を呼んで3度の手術を行い,
手術そのものは成功したのですが,右脚をかばっていた左前肢に蹄葉炎を発症してしまいました.
蹄葉炎は蹄内部の血行が悪くなって組織が炎症を起こし,
骨を支えている部分が壊死して骨を正常な位置に保持できなくなる病気です.
さらに症状が進行すると,蹄の底部から骨が飛び出すような状態になります.
馬の蹄は血液を心臓に送り返すポンプの役目をしていて,ここがうまく働かなくなると,
全身の血行が悪くなり,生存がむずかしくなります.
これまでたくさんの馬が蹄葉炎のために命を落としていますが,
*サンデーサイレンスもついにこの病気には勝てませんでした.
世界の競馬界にとっても大きな損失だと思いますが,
これまでの繁殖生活でたくさんの後継種牡馬・繁殖牝馬を残してくれたのですから,
この馬たちにさらに*サンデーサイレンスの血統を広めていってほしいですね.