ジェリコー・マゼッパ伝説



ジェリコー・マゼッパ伝説

原題 Mazeppa

制作 1993年(フランス)

監督 バルタバス

出演



ミゲル・ボゼ
エヴァ・シャクムンデス
バルタバス
ブリジット・マーティ

DVD

COBM-80021
(コロンビア)





4月に騎馬オペラ「ジンガロ」を見てきました.
オペラといっても人間が歌を歌うわけではなく,あくまで主役は馬, 音楽と馬場馬術,曲馬が一体となった総合舞台芸術...と言っていいのかどうか, うまく説明できないんですが, とにかく馬の動きを見るだけでもびっくり!のパフォーマンスです.

今月ご紹介するのは,この「ジンガロ」を主宰するバルタバスが監督・出演した作品で, やはり馬(馬術)が主要なテーマとなっています.
映画のあらすじは,19世紀ロマン派を代表する画家テオドール・ジェリコーが 『突撃する近衛猟騎兵士官』という絵をアトリエ・サロンに発表するんですが, その絵を見た曲馬の名手フランコーニに「君は本当の馬を知らない」と言われてしまいます. 「本当の馬」を知るためにフランコーニが座長を務める馬術劇団を訪れたジェリコーは, 馬とフランコーニに魅せられて数多くの馬の絵を残す...というものなんですが, 映画はそんなストーリーよりも,馬と人間の関係,馬の美しさと残酷さを表現することに主眼を置き, 観念的というか,よくわかんないというか,正直言ってかなりしんどい作品になっています.

ストーリーはよくわからなくても馬術のすばらしさはよくわかります.
「後退駈歩」というのがあるんですが(馬が後ろ向きに駆け足すると思ってください), この超高等馬術が映画の中に出てきて,馬術に詳しくない方でも 「え,馬ってこんな事できるの?」と驚くことと思います.
この他にも,馬と人間が一体となった動きが随所に見られ, 競走馬でない馬のすばらしさの一端を楽しむことができます.

ジェリコーは「本当の馬」を描くために苦悩するのですが, 馬自体がそのままですでに芸術作品なのですから, それを越える絵画や彫刻はあり得ない... という思いがより強くなった作品でもありました.

(2005年5月)


テアトルけいば(目次)へ

映画で見る競馬(目次)へ

トップページへ


address=http://cosmarr.com