院長は昭和60年順天堂大学医学部卒業後、膠原病内科に入局し、
  主にリウマチ、膠原病、糖尿病の臨床に従事してきました。
  順天堂医院、都立墨東病院等で経験を積み、 平成7年7月より
  当診療所にて診療を開始し、現在に至っています。
  院長の専門である膠原病・関節リウマチについて、簡単にご説明します。




 膠原病


免疫とは、自己(自分自身)の体を守るために外来のウイルスや細菌を攻撃するシステムですが、このシステムが何らかの原因によって自己に対して働いてしまい、自己を攻撃するために発症するのが自己免疫性疾患です。

膠原病は、この
自己免疫性疾患のひとつと考えられています。

膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、混合性結合識病、結節性多発動脈炎、強皮症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群など、多くの疾患があります。


 リウマチは早期診断が大切です




関節リウマチとは、全身のさまざまな関節に慢性の炎症がおこり、関節の腫れや痛みをひきおこす病気です。
関節以外にも、貧血、微熱、倦怠感、寝汗、体重減少、リンパ腫脹などの症状もおこします。  

関節リウマチの破壊は、発病後約3年以内に急速に進行します。
破壊が進み、関節が曲がってしまったり、腫れてしまったりしたら、元の状態に戻すのは難しくなってしまいますので、なるべく早く、リウマチを診断して、薬物療法を受けることがとても大切です。

適切な治療を受けることにより、機能障害を残さずに寛解するか、関節リウマチであることを意識せず過ごせる程度にコントロールすることが可能となっています。





日常生活で発見するポイント

日常生活で以下のような異和感を感じた場合、関節リウマチを疑ってみてもよいと思います。
関節リウマチは、まず小さな関節に発症することが多く、手首も含め手根骨という小さな骨の集まっているところ、および指先の第2,3番目の関節が痛くて腫れているときには、注意が必要です。
また、足のほうには気が向きづらいのですが、最初に足の指の関節が痛くなったという方も2割ほどいらっしゃいます。
このように、手の関節以外に症状が出ることがありますので、全身の状態をしっかり観察することが大切です。






見る・触ることが大切です

血液検査やレントゲン検査ももちろん大切ですが、全身の状態をしっかり見て、触ることも、とても大切です。

リウマチの方の関節には熱感がありますし、症状が進行すると関節が破壊されて押したときに柔らかく感じます。
関節リウマチと鑑別しなければならない病気に変形性関節症がありますが、この場合は、下の骨がしっかりしているので、触ると硬く感じることが多いのです。
早期発見のために注意したいポイントとしては、貧血があります。
活動性の高いリウマチの方では、相当数に貧血がおこりますので、なんとなく顔色が悪く、ちょっと関節や節々が痛いことがつづいている場合には、リウマチを疑ってみてもよいと思います。



 リウマチの薬物療法




薬は大きく分けて、消炎鎮痛剤(NSAIDs)、ステロイド剤、抗リウマチ薬(DMARDs)、生物学的製剤が使われます。


NSAIDsやステロイド剤は、腫れや痛みといった、リウマチのつらい症状を抑えるのが目的で、リウマチそのものの進展を遅らせる作用はありません。

そこで、現在薬物治療の主体となっているのが、DMARDsとなります(以下に表で示します)。
DMARDsは、リウマチそのものを寛解に至らせる、または進行を遅らせることを目的とします
その一方で、多彩な副作用が知られており、主治医とともに注意深く観察することが大切です。

また一番新しい薬剤に生物学的製剤があります(レミケード、エンブレル)。
これらはリウマチの炎症をひきおこすTNF-αという炎症性サイトカインを抑えることで、関節の痛みや腫れをやわらげるとともに関節破壊の進行をとめることが認められています。


DMARDsだけでなくNSAIDs、ステロイド剤、生物学的製剤にも、重篤な副作用は数多くあります。
重要なのは、「副作用かもしれない」と感じたら、些細なことでもすぐに医師・看護師・薬剤師に連絡することです。
薬の副作用を恐れるあまりに適切な薬を服用せず、病状を悪化させることのないように、不安や疑問がありましたら、何でも主治医にお話しください。





抗リウマチ薬(DMARDs)
種類 市販名 薬剤名 主な副作用
免疫
  調整剤
シオゾール 金チオリンゴ酸ナトリウム 皮疹・蛋白尿
リドーラ オーラノフィン 下痢・軟便
メタルカプターゼ D−ペニシラミン 皮疹・蛋白尿・肝障害・
血小板減少・
自己免疫疾患の誘発
アザルフィジンEN   サラゾスルファピリジン 皮疹
リマチル ブシラミン 皮疹・蛋白尿
カルフェニール ロベンザリット 腎機能障害
オークル、モーバー アクタリット 皮疹
免疫
  抑制剤
リウマトレックス メトトレキサート 間質性肺炎・骨髄障害・
肝障害
ブレディニン ミゾリビン 高尿酸血症
アラバ レフルノミド 肝障害・骨髄障害・下痢・
感染症・間質性肺炎
                (診断のマニュアルとEBMに基づく治療ガイドライン 平成16年より改訂)




生物学的製剤
製品名 一般名 注射の仕方 注射の頻度
レミケード インフリキシマブ 点滴注射 ・初めての点滴の後、
 2週後、6週後、以降は8週毎
エンブレル エタネルセプト 皮下注射 ・週1〜2回 
ヒュミラ アダリムマブ 皮下注射 ・2週間隔
アクテムラ トシリズマブ 点滴注射 ・4週間隔
オレンシア アバタセプト 点滴注射 ・初めての点滴の後、
 2週後、以降は4週毎
シンポニー ゴリムマブ 皮下注射 ・4週間隔


 在宅でのケアのために




リウマチの方に適したスプーンやブラシをはじめ、色々な介助用品があります。

日本リウマチ友の会リウマチ情報センター(日本リウマチ財団)では、これらの介助用品を紹介していますので、日々の生活に不便を感じていらっしゃる方は、一度問い合わせてみてもよいのではないしょうか。