膠原病とは |
免疫とは、 自己(自分自身)の体を守るために外来のウイルスや細菌を攻撃するシステムですが、このシステムが何らかの原因によって自己に対して働いてしまい、自己を攻撃するために発症するのが自己免疫性疾患です。
膠原病は、この自己免疫性疾患のひとつと考えられています。
膠原病には、 関節リウマチ、 全身性エリテマトーデス、 多発性筋炎・皮膚筋炎、混合性結合識病、結節性多発動脈炎、強皮症、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、血管炎症候群など、多くの疾患があります。
|
リウマチは早期診断が大切です
|
関節リウマチとは、全身のさまざまな関節に慢性の炎症がおこり、関節の腫れや痛みをひきおこす病気です。関節以外にも貧血、微熱、倦怠感、寝汗、体重減少、リンパ腫脹などの症状もおこします。関節リウマチの破壊は、発病後約3年以内に急速に進行します。破壊が進み、関節が曲がってしまったり、腫れてしまったりしたら、元の状態に戻すのは難しくなってしまいますので、なるべく早く診断して、薬物療法を受けることがとても大切です。
適切な治療を受けることにより、機能障害を残さずに寛解するか、関節リウマチであることを意識せず過ごせる程度にコントロールすることが可能となっています。
日常生活で発見するポイント
日常生活で以下のような異和感を感じた場合、関節リウマチを疑ってみてもよいと思います。
関節リウマチは、まず小さな関節に発症することが多く、手首も含め手根骨という小さな骨の集まっているところ、および指先の第2,3番目の関節が痛くて腫れているときには注意が必要です。また、足のほうには気が向きづらいのですが、最初に足の指の関節が痛くなったという方も2割ほどいらっしゃいます。
このように、 手の関節以外に症状が出ることがありますので、 全身の状態をしっかり観察することが大切です。
見る・触ることが大切です
血液検査やレントゲン検査ももちろん大切ですが、全身の状態をしっかり見て、触ることも、とても大切です。
リウマチの方の関節には熱感がありますし、症状が進行すると関節が破壊されて押したときに柔らかく感じます。関節リウマチと鑑別しなければならない病気に変形性関節症がありますが、
この場合は下の骨がしっかりしているので、触ると硬く感じることが多いのです。
早期発見のために注意したいポイントとしては、貧血があります。活動性の高いリウマチの方では、相当数に貧血がおこりますので、なんとなく顔色が悪く、ちょっと関節や節々が痛いことがつづいている場合には、リウマチを疑ってみてもよいと思います。
|
リウマチの薬物療法
|
薬は大きく分けて消炎鎮痛剤(NSAIDs)、ステロイド剤、抗リウマチ薬(DMARDs)、症状や炎症のマーカー(赤沈CRPなど)、関節超音波等をもとにして、定期的に疾患活動性を評価しながら、病態にあわせた薬物を選択していきます。このうちNSAIDsやステロイド薬は、腫れや痛みといったリウマチの辛い症状を抑えるのが目的で、関節リウマチそのものの進行を遅らせる作用はありません。 そこで関節リウマチそのものを寛解に至らせる、または進行を遅らせる効果が期待できるDMARDsなどが主体となります。
関節リウマチは、発症3年以内に骨破壊を生じることが多いため、DMARDsなどを発症早期から積極的に使用することが推奨されています。 さらに生物学的製剤(注射剤)、JAK阻害剤(内服薬)により関節リウマチの治療は大きく進歩しました。
生物学的製剤は、関節リウマチの炎症を引き起こすTNF-αやIL-6、CTLA-4といった炎症性サイトカインを抑え、またJAK阻害薬は、複数の炎症サイトカインを、抑えることで関節の痛みや腫れを和らげ、関節破壊の進行を止める作用が認められています。
どのような薬にも当てはまることですが,DMARDsはじめNSAIDs、ステロイド剤、生物学的製剤、JAK阻害薬にも重篤な副作用が報告されています。
重要なのは、「副作用かもしれない」と感じたら、些細なことでもすぐに医師・看護師・薬剤師に連絡することです。薬の副作用を恐れるあまりに適切な薬を服用せず、病状を悪化させることのないよう
に、不安や疑問がありましたら、何でも主治医にお話しください。
|
在宅でのケアのために
|
関節 リウマチの方に適したスプーンやブラシをはじめ、色々な
介助用品があります。
日本リウマチ友の会、リウマチ情報センター(日本リウマチ財団)では、
これらの介助用品を紹介していますので、日々の生活に不便を感じて
いらっしゃる方は、 一度問い合わせてみてもよいのではないしょうか。
|