2008-03-26
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どな〜る
Loud Voice Recoder/Player "DONALL" by ISHIKAWA Masaaki

▲ 今回製作した装置。食品ケースを裏返しに使って組み込んでいます。
目次 →

   

● 概要

 ボイスレコーダ IC「APR9600」を利用した,音声録音/再生装置。今回製作したものは,アンプを内蔵し大きな音が出る。待機電力はほぼゼロで,音を出さない時の乾電池の消耗はほとんどない。電源を入れたままにしておけば,使用前の電源操作や音量調節などが不要になるため,ナースコールのない場所(車椅子に乗っている状態など)から人を呼んだり,普段の何気ない日常会話の補助など,スイッチを押せば直ぐ音が出て欲しい状況への応用に有効と考えられます。

 使用した IC には以下のような機能があり,それぞれ記述したような応用が考えられます。

A. 8つまでの音声を任意に「録音/再生」する機能

B. スイッチを入れる度に複数の音声を1つずつ順番に出力する機能



◆ 具体例

 今回は B の機能を使った装置を製作し,スイッチを押して,作業所での「おわりの会」の進行をするような使い方をしました。スイッチを押す度に,以下のようなセリフを順次発声します。

気を付け!
終わりの会を始めます。
 ↓スイッチを押す
今日は何をしましたか。
 ↓スイッチを押す
ほかにありませんか。
 ↓スイッチを押す
ほかにありませんか。
なければ,明日の予定をお願いします。
 ↓スイッチを押す
終わりの歌を歌います。ハイ!
 ↓スイッチを押す
それでは,さよーなら!

   

● 経緯

 ある方から,「車椅子に乗っている時に,人を呼ぶものが欲しい」というご要望を聞きました。
 声を出す製品としては「福祉機器」として販売されているものもあり,施設に入所しているその方も,時々それを使うようなのですが,いろいろと限界もあるようです。まず,ある程度離れた場所にいる人を呼べるほど大きな音は出ないという点。それと,音を出す時は「電源スイッチ」を入れる必要があるため,手が不自由な方では「直ぐ音声を出せる」状態にはしづらいという点。電源スイッチを入れたままにしておけば済みそうな気もしますが,別の筋からの話では,「そうすると,電池がわりと早く消耗してしまう」ような話を聞いていて,「日常」そのように使うのはやはりむずかしいようなのです。

 そこで,なんとか自作できないかと考えていたところ,秋葉原で,ボイスレコーダ IC「APR9600」というものを見かけ,使ってみることにしました。
 ところが,入手したはいいものの,しばらくの間,なかなか具体的設計に着手できずにいました。というのは,調べてみたところ,この IC にはいろいろな機能があり,果たして「音声ひとつ」で人を呼ぶだけの機能でコト足りるのか……と考えてしまったため。コミュニケーションの道具とするなら,「はい/いいえ/分かんない/……」など,いろいろと「選択肢」があってもよさそうなもの。実際,この IC には,8音声まで,任意の録音/再生が可能となる機能が用意されているとか。せっかくそれだけの機能を持つ部品を使うのに,「人を呼ぶため」だけの1メッセージだけでいいのか……だからと言って,不随意運動があった場合,8つのメッセージを使い分けられるか……などなど,悩んでしまっていました。

 そんな時,別の方から「声が出せない子でも,施設で『朝の会』や『帰りの会』などの進行をスイッチでできるようにする装置が作れないか」といったご相談があったのでした。じつは以前,同様な機能のパソコン・ソフト「Scenario Reader(シナリオ・リーダー)」というものを作ってありました。その方にもそのソフトをお使いいただいたことはあったのですが,ただ,それを使えるようにパソコンをセッティングするのに煩わしさもあるようで,ましてや,その方がいない時に,施設の別のスタッフがそのセッティングをしてくれるかどうかなど不明確。「取り出せば直ぐ使える,そのための機械が欲しい」というご要望だったのです。
 一方,APR9600 という部品には,「テープモード」と呼ばれる,複数の音声を録音し,順番に再生する機能があります。マサに「シナリオ・リーダー」! というわけで,手始めとして,その機能のものを製作することにしました。

   

● 設計

◆ 待機電流

 「コミュニケーション補助器具」として使うには,「スイッチを押せば直ぐに声が出る」ことが重要のように思います。ということは,「常に待機している≒電源は入れたまま」状態にできることが必要。おそらく,市販されている機器でそれをすると電池の消耗が早く,いざ声を出したい時に「電池切れ」になってしまったりして実用にならないため,コミュニケーションに使うには限界を感じる使用者も多いのではないかと思うのです。
 「スイッチを入れたまま」にできるかどうかは,その機器の「待機電流」が鍵。電源を入れてスイッチを押さない状態,つまり「声は出ていない」時にどれほど電流が流れるか,という点。ほとんど電流が流れず,電源を入れていない状態とほぼ同じであれば,点けっぱなしでも,声を出さない限り電池は消耗しません。
 で,APR9600 の「待機電流」はというと,規格では 1μA(マイクロアンペア)。単純計算では,単三アルカリ乾電池の容量を 1000mAh(※)とすると,「待機電流」だけで消耗するのには 100 年以上かかる計算。これは,全く使わない乾電池が「自己放電」によって寿命が尽きるほうが早いくらい……つまり「無視できる」と考えていいでしょう。あ,べつに「この装置で使えば,乾電池が 100 年もつ」という意味ではないので,ご注意を。

    ※
1000mAh……1000 ミリアンペア・アワー=意味的には,1000 ミリアンペアの電流を1時間継続して流せる容量。実際はそう単純じゃないですが。

◆ 音を大きくする「アンプ」386

 ただ「音の大きさ」は,この IC だけでは限界がありそうです。IC には,スピーカを鳴らせるだけのアンプが内蔵されていますが,せいぜい,市販されている「福祉機器」と同程度。やはり少し離れてしまうと,聞こえるかどうか微妙です。
 でもこれは,アンプを付加すればいいわけです。「386」と呼ばれる小さなアンプがわりと手に入れ易いので,今回はそれを利用することにしました。
 アンプを内蔵させるメリットがもうひとつあります。それは「音量調節」を設置できること。APR9600 そのものには,音量調節をする機能はありません。そこにアンプを外付けで設置すると,そのアンプへの入力信号を調節する機能を付加することができ,ボリューム調節が可能になります。
 ところが,アンプを付加すると,別の問題が生じます。「待機電流」が増えてしまうのです。これでは「点けっぱなし」でコミュニケーション補助機器とするには向きません。待機電流を抑えるためには,音が出ている時以外は「アンプ」への電源供給を切る仕組みが必要です。幸い APR9600 という IC には,「音声出力中」を示す信号線が出ているので,この信号とトランジスタを組み合わせて 386 に電源供給することで解決を図ろうと考えました。

◆ 「中断」させない工夫

 ただ APR9600 には,ひょっとすると「デメリット」になる可能性のある動作があります。それは「再生中に再びスイッチが入ると,再生を中断する」機能。もちろん,中断したい時もあるでしょうから「無意味」とまでは言いませんが,人によっては使い勝手が悪くなりそうです。たとえば,不随意運動があり,スイッチを一度だけ押すつもりでも,何度も押してしまうような方の場合は,意思に反して再生を中断させたり,繰り返したりすることになってしまうでしょう。「部分的に何度も再生する」ことになるわけで,いわば「サンプリング・マシン」か,「スクラッチ」,あるいは「チャカ・カーン」状態……ですよ。
 でも,これも APR9600 の「音声出力中」信号で解決できそうです。その信号の出力中は,再生スイッチの「再生信号」を遮断する機構があればいいわけです。「再生信号」は同時に「中断信号」でもあるわけで,音声再生中はスイッチを押しても中断信号が入らないようにすれば,再生は中断されなくなります。一度スイッチが押されると,再生途中で再びスイッチが押されても,1フレーズ分の再生を持続するようになるわけです。

 ……といったような設計方針で製作することにしました。

   

● 製作

◆ 「キット」は買わない!

 じつは,今回使ったのと同じ IC を採用しているボイスレコーダのキットが,既に千円前後で売られているのですが,おそらく最も単純な機能のみだと思われます。つまり,「設計」で述べてきたような,「周囲によく聞こえる音量」とか,あるいは「複数回押しても再生が中断されない」などの機能は盛り込まれていないでしょう。そうした機能を盛り込むには独自に回路設計が必要な部分があるわけですが,組み立てた「キット」に後からそれらの機能を盛り込めるかと言うと……キットの基板にそうした回路を組める領域があるかどうかは不明。とは言え,まぁアンプ回路部分だけ「基板を付け足す」ような加工で対応すれば「不可能」はことはないです。ただ,私はどーも「小型化」を強く意識する傾向があって,「基板を付け足す」ような,サイズを大きくしてしまう対応はなんとなく好かないのです。まぁ「好みの問題」ですけどね。
 というわけで,今回は「キット」は買わず,独自に基板を設計して作ることにしました。

◆ 「小型化」にこだわる

 そうした「こだわり」と,作者得意の「つめこみ」で作り上げた基板が以下の写真。

 2.54mm(=0.1 インチ) ピッチで穴のあけられた「ユニバーサル基板」あるいは「蛇の目基板」と呼ばれているものの中で,一般的に売られているものでは最も小型(7×5cm 程度)のものの更にその左半分に,IC の「録音/再生」の基本機能を押し込みました。残った右半分の更に上半分に,アンプ 386 を搭載。その間には,アンプの電源を制御する FET トランジスタと,「再生中の中断抑制」のための回路があります。右下部分には,まだ少しオプション回路を組めるほどの領域が残っています。DIP-14 ピンの汎用論理 IC 程度なら搭載できると思いますよ。

◆ あえて「リセット」スイッチを設置

 ただ今回は,その「オプション領域」の裏面に「押しボタンスイッチ」を設置。それは何かというと,「リセットスイッチ」。今回作成したのは「シナリオ・リーダー」タイプで,接続したスイッチが押される度に,決められた音声フレーズを読み進むように作ったわけですが,さて「最後まで読んだ」らどうするか。IC のマニュアルには「自動的に最初から読み直す」ように設計された回路が応用例として掲載されているのですが,果たして今回の場合,それが適当かどうかは疑問。というのも,身体に事情のある方が使うことを想定していますから,使う人が皆「一度だけ押して,音が出てから止まるまで待つ」といった動作を正確にできることを前提にはできません。「不随意運動」や「緊張」,あるいは「注意力不足」などで,必要以上に何度も押してしまう可能性があることを考える必要があります。すると,「自動的に最初に戻る」ようになっていると,内容によっては,どこが開始のセリフだか分からなくなります。最後の「礼!」だと思ったら,実は最初で,続けて「おはようございます!」などといったセリフが出て来たりするかもしれません。もちろん,最初と最後が分かるようなセリフにしておけばいい話ですが,いずれにせよ,使い始めに何度か押しボタンを押してその「最初のセリフ」を探す必要が出てくるわけです。また,何度もスイッチが押されると,スイッチが押される度いくらでも声が出ますから,必要以上にうるさくなる可能性があります。
 もし「リセット・スイッチ」があれば,次に出るのがどのセリフだか分からなくなっても,いつでも最初に戻すことができますし,「最後のセリフの後は,スイッチを押しても音は出ない」ようになっていれば,必要以上に声が出てうるさくなることも防げると考えたわけです。

◆ しかも「多機能」を活かしたい

 「概要」で述べたとおり,この IC にはいろいろな機能があります。だからと言って,それらを「全て使える装置」を作るのはあまり現実的ではありません。最高8つまで記録できる音声と同じ数のスイッチに加えて,それらの機能を使い分けるための切替えスイッチまで設置すると,かなりの規模になってしまいます。だいたい,全ての機能を使いこなせるとはとても思えませんし,そもそも今回欲しいのは「シナリオ・リーダー」機能です。
 ただ,果たしてそのシナリオ・リーダー「だけ」でコト足りるか……というと,ちょっと考えちゃいます。コミュニケーション手段にいろいろと制約がある方が使うものですから,若干の「仕様変更」が可能になっていると,それなりに便利なのかな……とも思うわけです。
 ところで,手作り工作では,今回使用するボイスレコーダ IC などの LSI(大規模集積回路)を使う場合,その部品は直接ハンダ付けせずに「ソケット」を使うのが一般的。ソケットを基板にハンダ付けして,そこに後から IC を挿し込んで使います。実際,その IC を購入した販売店では,ソケットとセットで売られているくらい。ということは,その IC はある程度「着脱が可能」というわけです。
 そこで思いついた「折衷案」。それは,機能を決定する一部の配線を,基板側ではなく IC 側でするようにすること。IC 側に機能を決定する加工をしておくことで,「挿し込む IC によって機能が決まる」ようにできます。ちょうど昔の「ファミコン」にセットして使った「ソフトのカセット」みたいな感じです。以下に,IC のアップの写真を掲載します。

中央の大きな部品がボイスレコーダ IC APR9600。左上の黒い長方形が,再生/録音切替えスイッチ。右上の丸い部品はマイク。右下に見切れている黒い部品がアンプ 386。APR9600 の直ぐ右下の小さな黒い長方形が FET(音声出力中,386 に電源供給をして「中断」信号を抑制するためのトランジスタ)。

 この IC の端子は全部で 28 ピンで,14 ピンずつ上下に2列になっています。IC のピン番号は,多くの場合,ラベルを正面に見て下側左から 1,2,3,……となっています。上側は右から,下からの通番で番号がつきます。28 ピンのこの IC でしたら,上側は右から 15,16,17,……,28 となります。
 まず,IC の下側,中央より少し右の 9 と 11 番ピンとの間に,思いっきり 100KΩ の抵抗がハンダ付けされているのが見えます。それとよく見ると,IC の左の上のほう,24,25,26 番の3本のピンがハンダ付けで短絡されています。これらが「シナリオ・リーダー」として使うための IC の動作を決定しています。
 一方,市販の「キット」のほうでは,8 と 23 番ピンの間がコンデンサで連結されていると思います。それは「最初から」の繰り返しに必要なもので,この回路ではそれに該当する部品はありません。もしその機能が必要な場合は,その部品を「IC に」ハンダ付けしたものを作っておいて,この IC と挿し換えます。そうすれば,使用者側では「ハンダ付け」などの加工をせずに,機能を変更することができるわけです。

◆ 仕様と費用

 今回製作したものの「仕様」を,キットや既存の福祉機器などとの比較でまとめますと,以下のようになります。

機能今回製作したものキット既存福祉機器
音声録音/再生
シナリオ・リーダー
(複数音声を順次再生)
×
常時待機
(超低待機電流)
×
大きな音量×
音量調節× (△)×
機能変更×

△……加工によって対応可能/ ▲……狭い部屋などでは「十分」な場合もある

 製作にかかった費用は,以下の通りです。

加工部分部品代製作手間代合計
APR9600 基本機能
(386 アンプとケース除く)
約 ¥1,000 約 ¥8,200 約 ¥9,200
386 アンプ部分(FET 含む) 約 ¥250 約 ¥1,200 約 ¥1,450
ケース部分 約 ¥150 約 ¥2,400 約 ¥2,550
合計 約 ¥1,400 約 ¥11,800 約 ¥13,200

 結局,基本機能部分のみの部品代は,ほとんど「キット」と差がなくなってしまいましたねぇ。ただし「スピーカ」は,キットに入っているものよりちょいと音のいいものを使い,しかもキットにはない「シナリオ・リーダー」や「大きな音量」,そして「常時待機」を実現してこの値段ですから,まぁそれで,わざわざ自前で設計したことの「由」としてください。しかも何よりそれが,市販で似た機能の「福祉機器」よりずっと安価に実現できたわけですから。

 必ずしも今回製作したものと全く同じ仕様ではなく,たとえば「大きな音でなくていい」とか,場合によっては「おもちゃに組み込みたいので,ケースは必要ない」などといったこともあるかと思います。そうした場合は,該当する不要な加工部分を差し引いた額で済むと考えていただくといいと思います。
 ただ,それを実際に「安い」と感じるか,それでも「高い」と感じるかは,人それぞれだと思いますけど。もちろん,「製作手間代」はあくまでも私が製作した場合の私的な規定によるもので,自作すればそれも要らないわけですが,自作がむずかしい方の場合は,何とか作り方を憶えて自分で作るか,少なくとも作ってくれる人を探す必要があります。その手間すら惜しんでは,「欲しいもの」など何も手に入れられません。「価格」を見る時は,そうした点も考慮すべきだと考えています。

   

● 展望

 声が出てコミュニケーションを助ける装置のことを,福祉分野では「VOCA(ヴォーカ)」と呼んでいるようです。そうした言葉があるくらい,その分野ではそれなりに注目されている機器なのでしょうが,いざ,療育施設などに招かれた時に見かけるそうした製品の使われ方はというと……ただ単に「『こんにちわ』と録音して,挨拶の時スイッチを押す」といった程度。個人的には,どーも「適切」に使われているようには感じません。
 なぜそうなってしまうのかと言えば,この報告の「設計」で考えたような,「常時待機で,押せば直ぐ音が出る」とか,「周囲に聞こえる大きな音が出る」といった性能がないからではないかと思っています。
 「常時待機」にできないということは,その装置を使う時に電源を入れ,また使い終わった時,あるいは,しばらく使わない時などは切る必要があります。普通の人なら何の問題もないことですが,福祉や介護の現場では,身体に事情があって,その「電源の操作」さえままならない方も使うわけです。結果として「電源を操作できる人が一緒にいる時でないと使えない」ことになります。これでは,日常の「コミュニケーション・ツール」として使うことはできないでしょう。
 また,日常の円滑な意思伝達のためには,少なくとも Yes/No だけでも明確に分かるといいわけですが,福祉機器では「1つ」しか録音できないものが一般的。まぁまぁ高価なものですから,「2つ揃える」のはそう気軽にはできません。一方,複数録音できるような装置もあるようですが,これまたかなり高価で,なかなか入手しづらいようです。

 そんなこんなで,様々な制約のある「既製品」と比較しても,この APR9600 という部品を使って装置を手作りすると,いろいろな応用が考えられます。「概要」で簡単に述べましたが,この部品を使って自作することのメリットをあげてみます。

(^o^)
待機電流が非常に少ないため,電源を入れたままにしておける
(^o^)
複数の音声を,スイッチを押す度に次々に特定の順番で再生できる
(^o^)
最高8つまでの音声を,任意に録音/再生できる
(^o^)
アンプを組み込むことで,大きな音が出せる
(^o^)
全体の大きさ,仕様など,使用状況に合わせて製作できる
(^o^)
独自に回路を追加することで,様々な機能を付加できる

 それぞれのメリットを活かすことで考えられる応用は以下の通り。

 「オプション領域」にうまく追加回路を組めば,特定の障害や目的に合わせた機能も実現できるでしょう。たとえば,以下のような応用。

 一方「デメリット」はというと……

(>_<)
当然ながら,自分でやるにしろ,あるいは誰かに頼むにしろ,「作る」必要がある。
(>_<)
品質に限界がある。市販品のような,しっかりとした大きなスイッチに組み込まれたものを作るのはちょっとたいへん。

 とは言え,こうした「デメリット」というのは,しばしば従来の「メリット」の裏返しだったりします。
 なかなか市販品の購入に踏み切れずにいる方というのは,「(価格に見合うだけ)キチンと使えるかどうか不安」を感じているためだと思います。でも,概して「市販品」というのは,多くの使用者に共通して必要な機能だけを,コストを切り詰めて大量生産するわけですから,市販品で間に合わせようとすれば,「欲しい機能をあきらめる」か,場合によっては「不要な機能にお金を払う」リスクが付きまといます。それこそ,使用者にピッタリ合った機能のものは,「自分で作る」か,「誰かに作ってもらう」かしかないわけです。
 一方「手作り」となれば,それなりの品質に留まることは覚悟する必要があります。でもまぁ「モノは作りよう」で,後者については,以下でご紹介している「パッタ・スイッチ」のような自作スイッチに組み込むことはそう難しくないと思われます。

▼ パッタスイッチ
http://www2.neweb.ne.jp/wd/tree-ware/#WPAT
または http://www2.neweb.ne.jp/wd/tree-ware/switches.htm#WPAT

 結局は,「直ぐ手に入る」市販品で妥協するか,少し時間がかかっても,少々見栄えが悪くても,使う人に合った機能や使い勝手を考えて「作る/作ってもらう」かの選択です。日常の「コミュニケーション」を円滑にし,より QOL 向上に役立つのはどちらか……を,よく考えて決めることが重要だと思います。

   

● おわりに

 この報告を読んで「でも私にはどうにもできない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかしそうした意識が,福祉分野に無用な閉塞感を生じさせ,障害者や被介護者の待遇の向上を阻んでいるのではないか……私はそう感じることがあります。
 カタログなどを見ると,数え切れないほどの「福祉機器」がトコロ狭しと並んでいます。一方で,「様々な機器を活用し,コミュニケーションを広げて行こう」という声も,ずっと叫ばれ続けています。このような声があり,しかもそれだけいろいろな製品があるのに,福祉の現場の実態は,どこも「まだまだ」といった感じなのは,現場の方々のそうした意識に一因があるような気がするのです。
 今回ご紹介したような製品に近い機能の製品は,「福祉機器」としても市販されています。そうしたものがあれば,「コミュニケーションが少しは改善するかもしれない」と思いつつ,価格的に手が出なかったり,また少々無理すれば手に入れられるにしても,「価格に見合うほど使い切れるか」といった不安もあり,入手を「先送り」し続けている方も多いかもしれません。一方「作る」にしたって,ご自身にその技術が無かったり,また多少は技術があっても,完動品が作れるかどうかまでは自信がないとか,部品が揃えられないなど,いろいろと「できない」理由もあると思います。しかしそれらを何とか克服しないことには,事態は何も変わりません。
 逆にいえば,現場の状況が向上しないのは,そうした事態を克服しづらくしている要因があるのかもしれません。

 理由はいくつか考えられます。まず「補助さえあれば」といった考えに走ってしまうこと。「補助金の対象ではないから手に入れられない。いずれ補助が出ればいいのにな」と,ずっと思い続けてしまうことです。
 じつは私は,このページの制作直前まで,2007 年度の「確定申告書」を書いていたのですが……今回もまた年収が 100 万円を超えることができませんでした。(ToT) どー。
 聞いたところでは「ワーキング・プア」と呼ばれる境目は 200 万円とか。200 万が「ワーキング・プア」なら,私は何なのでしょうねぇ。家族からは「お前は『仙人』か?」と言われることがありますが……。
 まぁ,それはともかく,一方で「年金として支給する」ことを約束して国民の金を預かっておきながら,5000 万件もの該当者不明事案を出し,それでいて何の責任も取らされず,退職金満額受け取って悠々と老後を送っている元社会保険庁の関係者もいることでしょう。
 数ヶ月前,海上自衛隊の船が火災を起こした事件では,その火元は,なんでも自衛隊員が持ち込んだ,缶コーヒーを温める家電製品だったそうです。許可を得ずに船に持ち込み,家庭用電源とは電圧が違うのに,そのまま直結していたのが原因だとか。その船の修理にかかる費用は……60 億とか!?
 社会の矛盾や不均衡を是正するには,こういう人達……つまり「ヤクニン」主導では,明らかにムリです。「不可能!」です。理由は言うまでもないと思いますが,たとえば「年金」の場合,該当者不明の保険料は,徴収したまま年金を支給せずに済むわけです。「不明のままでいる」案件が多いほど,社保庁は「潤う」仕組み,そりゃー「ウハウハもの」です。これで,まともに「調べる気」が起きるとは思えません。個人的な意見を言わせてもらうと,前首相の安部さんは,「最後の一人まで調べる!」などといった,誰もが「ムリ」と分かる空しい発言をするよりも,「不明で残った件数分の保険料は,社保庁と厚労省の責任で国民に還元させるような制度」を作ったほうがよかったと思いますがね。もちろん,「族」の溜まり場である自民党にそんな制度が作れるわけありませんが。
 一方でヤクニンは,「全くの無策」ではなく,ちょっとずつ制度を変え,たとえば「補助」の対象者を変更したりしています。思うにそれは,「ひょっとすると,そのうち自分の欲しいものも『補助対象』になるのでは……」といった期待をつなぎ止めて,「下々の者よ,陳情に来なさい!」的な位置に安穏としたいからではないかと想像しています。まさか……と思う方もいるかもしれませんが,過去には「官官接待」というものが当たり前のように行われ,何のためらいも疑問も感じずにその接待を受けていたヤクニンもいるわけです。「ヤクニン」とはそういう人達です。なるべく多くの「許認可権」を保持し,その権力を自ら感じることが一番気持ちいいのです。
 そんなヤクニンに,「使うべき人に,使うべき機能の製品が行き渡るような補助制度」が作れるとは,私には思えません。オヤクショが「いい制度」を作るのを待つほど愚かなことはないように思います。だいたい「介護」やら「福祉」やらを担っているのは,そのボロボロの「年金」を扱っている上位組織の「厚生労働省」なのですから。

 福祉の現場の閉塞感を助長する要因のもうひとつは「抵抗勢力」の存在です。
 じつはこの「ボイス・レコーダ」,ある特定の方のために作ったような面があるのですが,いざ完成して使ってもらおうという時になって,その方が入院してしまったのです。一時は周囲の呼びかけにさえ反応しないほど危ない状態だったとのこと。
 私はそんな中,過去のある事例を思い出していました。それは,ずっと以前にパソコンの設定などでお手伝いに行ったことがあるお宅に,久しぶりに招かれた時のこと。お伺いしたはいいものの,本人はいませんでした。代わりに,真新しい遺影と位牌。私はその方が残したパソコンの「遺データ整理」のため,ご家族に呼ばれたのでした。
 その少し前,私は「講演」を頼まれていました。それ自体はたいへんうれしいことで,喜んで,無料で配布されるパンフレット用の原稿を提出したのでした。内容は,今回ご紹介したもののように,「もっと手軽にいろいろなものを作りましょう!」というもの。ところが原稿提出後,「内容を変えて欲しい」というクレームがつきました。でも私は,私が製作したもの,作り方を紹介したものを,使用者がどのように使って,どのような効果をあげているか……といったことまで,詳しく調べられる立場にはありません。O.T(作業療法師)でもなければ研究者でもありませんから,実際に使っている場を見たくても,「訓練室」のような場所はないですし,あるいは,使用者の自宅に出向いて使う場に居合わさせてもらったりすることも,立場上「やり過ぎ」の感が拭えません。「手軽な作り方をご紹介することくらいしかできない」と言ったところ,今度は,やれ講演時間を午後の遅い時間から早朝に変更して欲しいとか,部屋を変えて欲しいとか,いろいろと別の要求が出されました。あげくの果てに,そのパンフ用に提出した原稿が,何の理由も告げられず,一切「修正」なども求められないまま,全て「ボツ」にされて,内容をボカした全く別の文章と差し替えられるという始末。しかもそのことは,パンフレットが完成し配布されるまで,私には一切伝えられず,主催者側でこっそりと処理されたのです。
 その講演会,いろいろと「スポンサー」がついています。ひょっとすると,「気軽にいろいろと作れる」ことが広く知られると,そうした製品が「売れなくなる」と考えたのかもしれません。でも,「スポンサーの製品が売れること」と,「たとえ手作りの『間に合わせ』でも,一刻も早く待遇の改善に向けた試行が図られること」の,どちらが大切なのでしょうか。
 だいたい「自作したもの」が,「メーカー製作のもの」を駆逐することなど考えられるでしょうか。「自作」する方がなぜそうするかといえば,メーカーの製品ほど高価なものは要らないとか,あるいは今回のように,メーカー製品では実現できない機能が欲しい,などといった理由があると思うのです。言ってみれば,「自作製品」と「メーカー製品」は似て非なるもので,「競合する」と考えること自体,おかしな話のように思います。こうした考えがまかり通る時,駆逐されるのは「良貨」であり,「悪貨」がはびこることになるのではないでしょうか。
 そんなゴタゴタの中で呼ばれた,パソコンの「遺データ整理」だったのです。私は,若干 22 歳の,真新しい「遺影」と「位牌」を前にしていました。
 その帰り道で思ったこと。そのように,身体に事情を持つ人達は,いついなくなってしまうか分からないと。「補助金」が付くのを待っているウチに,高価さにためらっているウチに,いなくなってしまうかもしれない。その人がどんなことを考え,何が好きで,キライで,何か訴えたいことがあっても,周囲に何も伝えられないままいなくなってしまうのでは,たいへん悲しい。だから,なるべく早く,少しでも使える機器が与えられることが重要なはず。私が講演で伝えようとしていた「手軽に作れる方法」を紹介することは,マサにそれに沿ったこと。間違ってはいないと確信しました。
 ところが,講演会主催者側の行為は,まるで「そうはさせまい」とするかのようなものです。そうした講演会は,本来「待遇の改善や,コミュニケーションを広げるにはどうしたらいいか」を考え,推進することを「最重要目的」とすべきはず。それがいつのまにかすり換わり,製品を買うことが最善と「思わせる」ことが中心になってしまっているような感じがします。「自作などさせるものか!」といった「抵抗勢力」になってしまっているように思うのです。

 じつはこのページの制作直前まで,2007 年度の「確定申告書」を書いていたのですが……もういいですね。まぁその講演依頼があった年も,年収 100 万に届かない「仙人生活」をしていました。
 その時は,適当なコミュニケーション機器が手に入れられずに困っている人たちが,その講演で私の活動を知ってご相談者が増え,その中の何人かに対して,少しでも「使える」装置を考えてあげられれば,限定的ながらも待遇の改善が進み,私も少しは潤って「仙人脱出」できるのではないかといった期待をちょっとばかし抱いたのですが……その思いも,「スポンサー偏重」の主催者の前に,叶えられずに終わったのです。
 まぁ,私のことはともかく,私が提出した原稿の講演内容をパンフで見ていれば,ひょっとすると状況を改善してあげられたかもしれない方と出会う機会がもっとあったかもしれないのに,それを大きく制限されたことは大問題のような気がします。しかもそれが,本来なら障害者福祉や介護の状況を改善することを考えるはずの講演会でのこと。受講する人達は,みんなそうした「改善」を期待して来ているのですから,それに背いたことはさらに重大であるように思います。

 でもこれが社会の現状。福祉分野での「待遇の向上」は,こうした「ヤクショの無策」と,安く作れる方法など広めさせまいとする「抵抗勢力」の,二重の壁によって阻まれているように思います。多くの人にとって納得のいく補助金制度や,安価で誰でも手軽に手に入る機器など,とうてい出て来るとは思えません。
 この章で最初に申し上げた「私にはどうにもできない」という意識は,「補助金がないと手に入らない」とか,「市販の製品に相当するものなど自作できない」といった「思い込み」から来るものと考えています。そしてその「思い込み」は,前述のように,ヤクショの「無策」や,スポンサー付きの「講演会」で,どんどん助長されているような気がします。そのせいか,どーも福祉に携わる方々の話を聞くと,福祉機器のカタログを見ては,「その中から必要な機能を探すことがベストであり,他に手立てはない。自作なんてとても無理」といった「思い込み」を強く感じるのです。

 では,その二重の「壁」を打ち破るにはどうしたらいいか。それは,まずはとにかく「無駄な期待を捨てる」ことではないかと思います。「そのうち補助金が出れば」という期待や,「もっと自分に合った安価な機器が発売されるかも」という期待です。叶わぬ期待を抱いて「ただ待っている」のでは,事態の改善などありえないと思います。
 講演を聞きに行かれる方は「何かヒントがあるかも」という「期待」もあって行かれるのかもしれませんが,今までどんな「講演」を聞きに行って,それぞれ実質的な「進展」に結びついたかどうか,思い返してみる必要があると思います。
 講演会を「聞くだけ」では,事態は改善しません。それがどんなに「いい話」でも,その「いい話」を聞いただけで満足してしまったり,スポンサー付きの講演会を聞いて「やっぱりその製品がないとダメなのね」と思ってしまったのでは,主催者の「思う壺」です。ご自身が携わる事例に実質的に活かせる内容がなければ,結果的に意味がありません。交通費と受講料ばかりが浪費されていくことになるでしょう。「講演会」はただ聞くだけではなく,あとでその内容が実質的に役立てられたかどうかをしっかり検証し,何度聞いても活かせる内容のない講演に対する「期待」は,捨てていく必要があると思います。
 誤解しないでいただきたいのは,「『希望』を捨てろ」と言っているのではないということ。ただその「希望」を実現するために,オヤクショや既成品,講演会などに「期待」しているだけでは,希望の実現はいつになるか分からないということです。既に述べたとおり,待っているうちに居なくなってしまうかもしれない方々もいるのですから。

 期待を捨ててどうするのか……あとは何より「自分から行動すること」が重要ではないかと考えます。
 方法はいくらでもあると思います。まずは「福祉機器」のカタログばかりでなく,一般向けに市販されているようなほかの製品もいろいろ見て回って,代わりに使えるものがないかどうかよく考える。講演会に行くにしても,その後具体的な「行動」に移せる内容であるかどうかを考えるべきでしょう。行動に移せるような講演内容であれば「改善」につなげられる可能性もありますが,そうでなければ何も変わらず,講演に行った意味もありません。
 どうしても適当なものが見つからない時は「自作」も考えに入れておくべきでしょう。たとえば,部品やキットを売っている「ネット通販」などがないかどうか検索したりする。自分で作れなければ,誰か作れる人,作ってくれそうな人が周囲にいないかどうか調べてもいいのではないでしょうか。なンて言うと,「でも,そんな人周囲にいないし」などと,早速あきらめようとしていませんか? 目の前にいるのですけど……。この文章をここまで読んでいただいたなら,もうあなたの頭の中にいるのですけどね。
 講演会は,「行動に移せるような講演内容であることが重要」と申し上げました。手前味噌ながら,「簡単に作ってみましょう」的な私の活動はそれに沿ったものだと思っています。しかし,述べてきたように,イマドキの社会では,そうした活動は「封じ込め」を受けることが多いわけです。
 「では,石川がその『作り方教室』をやればいいのでは」と思う方もいると思います。お考えの通りです。しかし,やはりそこにもヤクニンの「壁」が立ちはだかっています。以前,別の器具の作り方やソフトの使い方で「講座」を開催しようと,「公民館」的な施設を借りようとしたら,調布市では「NPO でないとダメ」と門前払い。「福祉のため」という目的や中身など一切考慮しない「ヤクニンの壁」が,ここにもありました。
 とはいえ,「作り方講座」は何度かしたことがあります。でもそれらは,全て「招かれて」のことです。たとえば,障害児のお母様方の有志の会や,病院や療育施設の方が,養護学校やその施設の一部を会場にして「スイッチ製作講座」を企画し,講師として招いていただいたのです。私が主催すると,「NPO でもなければ,講師料をとるような『利益』を目的としたものはダメ」となるわけですが,中身は全く同じでも「講師として招かれて」する講演は,全く問題ないのです。これぞ「オヤクショシゴト」ですね。
 今回作成したボイスレコーダは「キット」が売られています。ですから,ご紹介したような,特有の基板パターンで「独自の機能」を盛り込んだものではなく,そのキットを利用した簡単な機能のものなら,多くの人が製作することができると思います。でも,「やはりちょっと自信がない」方のために,そのキットの「製作講座」的なものなら,直ぐにでも実現可能なように感じます。もし,たとえ「メーカー品」ほどの機能でなくても,手軽に作った機器が少しでも使えて,何らかの意思表示ができることがあれば,少しは「救い」になるのではないでしょうか。
 もちろん,全ての希望者に,私が製作したり,「作り方講座」を開催したりはできませんから,周囲に「作れる人」がいれば,そうした方に相談するのもいいと思います。ただ,ひとつ懸念があります。それは,「限られた『作れる人』に製作希望が集中してしまう」のではないかということ。それなりの「対価」,あるいは,必ずしも金銭的でなくても,相応の「見返り」があるならいいのですが……果たしてどーでしょうか。もちろん,「頼むべきではない」ということではありませんが,「部下だから」とか,「同僚だから」という理由で「やってくれてトーゼン」のような感覚で頼み,一部の人の負担を過大に増やさないよう,「節度」をもっていただきたいと思います。

 福祉社会をよりよくしていくには,実情をほとんど知らないヤクニンが繰り出すいいかげんな「制度」にいつまでも振り回されず,当事者一人ひとりが意識を変え,「補助金制度」や「新製品」などに対する期待を捨てて,自分からできることを見つけて行動することが重要であると思うのです。

◆ 詳細について(「基板パターン」や「回路図」などは?)

 個々の部品の詳しい入手方法や仕様,具体的な「基板パターン」をはじめとする「作り方」の詳細などについては,以下をご参照ください。

▼ 詳細について
http://www.purple.dti.ne.jp/hint/tw02/dtl-ednl.htm

◆ 製作ご希望の方へ(「個人使用」も,「研究用」も)

 お近くに作ってくれそうな方がいない場合は,ぜひ作者までご相談ください。
 今回,詳しい内容を記事に盛り込めなかった「オプション」機能なども付加できる場合もあります。たとえば,不随意運動のある方のために,「1〜2秒ほど,スイッチを押さないと音が出ない」ようにしたり,簡単な「スキャン方式」で音を出す仕組みを組み込むなどの加工もできます。
 「ボイス・レコーダ」ではないですが,過去には,医学系の専門学校から「実験装置」の製作依頼を受けたことがありました。それは,被験者の押しボタン操作を,実際の脳波と共に「脳波計」に記録するためのパルスを出す装置。10Hz 程度のパルスが,押されたボタンそれぞれに決められた個数だけ出力されるもので,「脳波の反応〜被験者の判断〜実際の行動」との因果関係を解明するために利用されているようです。
 今回製作した仕様に限らず,障害者のコミュニケーション・ツールに,また「研究用」に,場合によっては,ご希望の機能で設計/製作することができますので,ぜひご相談ください。

◆ 「どな〜る」名前の由来

 この装置,元々は「車椅子に乗っている時に,人を呼ぶものが欲しい」というご要望が発端でした。言ってみれば,どこにいても使えるような,ナースコール的な機能のもの→「こでもナースコール」という意味で,「どな〜る」と名づけてみました。まぁ「怒鳴〜る」との解釈も,さほど的外れではないですが。


● 作者

石川 雅章    TREE-WARE
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