『ウーマンズ・デイ』誌 2006年10月号、ニュージーランド

「本物の愛の贈り物ーー「君の誕生日にハリウッドスターを手に入れたよ・・・」

 50歳の誕生日に夫のマイケルからのきちんと包まれた贈り物を開けた時、ニコラ・ペインターは中味はブルース・スプリングスティーンのCDだろう程度に しか思っていなかった。その代わりに、お気に入りのスターであるジェラード・バトラーの新作映画『ベーオウルフとグレンデル』の予告編ディスクを目にし て、彼女は固まってしまった。マイケルは彼女が何ヶ月も観たくてたまらなかった映画を手に入れただけではなかったーー映画の配給権を買っていたのだ!
 「彼は『本当に特別な物を手に入れたよ』と言い続けていて、この贈り物をくれたんです」と、ニコラは言った。彼女は『Dear フランキー』の映画で彼を見て、ジェラードのファンになった。「開けてみたら、死にそうになりました! 物凄い衝撃でした。これまでの生涯で、一番失神し かけました」

ニコラの「目の保養」
 「わたしは何も言わず、ただ坐っていました。すると彼がそれを置いたのですが、わたしはまだただ坐っていました・・・度肝を抜かれてしまいました!」
 最初の衝撃が消えると、ニコラはパニックになっていたことを認めた。結局の所、権利を買うということは、この夫婦が映画を劇場で公開するようにし、検閲 や広告もしなくてはならないということである。
 「ありとあらゆる感情にとらわれました。それを観ることが嬉しいけれども、わたしたちはこれまでこういうことはしたことがないし、これは己が身を深みに 投げ出すことですから、本当にパニックになりましたーーそれでも、これまでそういうことは何度もやってきましたし、わたしたちはかなり腕のいい泳ぎ手で す!」
 今週全国で公開されるこの映画を買うことにまつわる膨大な仕事は別として、その贈り物によって、ニコラにはスコットランド人の俳優と電話で話す機会があ るとい うことだった。驚いたことに、彼女は「忙し過ぎて」まだその申し出に応じていないが、「目の保養」と呼んでいる彼と話をすることに備えている。
 「わたしは大変な誕生日をしたのかもしれないけど、まだどきどきしているわ」と彼女は言う。「実際、彼はとても良い役者だし、見た目はものすごく素晴ら しいわ。彼のスコットランド訛りも大好きよ。映画に行く時は、少しばかり現実逃避をしたいでしょ。それにかなり見目の良い人が絡んでいたって悪いことはな いわ」

有名なキウィ・ファン
 その電話をするとしても、彼女はジェラードに自己紹介する必要はない。彼は、また『トゥームレイダー2』に出演し、『オペラ座の怪人』では怪人を演じ、 今はヒラリー・スワンクと『PS アイ・ラヴ・ユー』で共演している。そのスターはすでにニュージーランドのしぶとい彼のファンのことを知っていて、最近海外の大会の出席者に話していた。 「いつかニュージーランドに行かなくちゃ、だって、あの映画にとても惚れ込んで旦那さんに買わせてしまった女性がいるんだよ!」
 ニコラは、彼女が「マイケルに買わせた」とジェラードが思っているかと思うと身の縮む思いだ。実際、誕生日に欲しい物について彼女が49歳のマイケルに 漏らしていたことは、最終的に彼がくれたものとはまるで違うことだった。昨年『Dear フランキー』を観てから、オークランド大学の品質保証マネジャーは、インターネットを飛び回って、同名の有名な詩に基づく中世の冒険譚『ベーオウルフと グレンデル』でのジェラードの新しい役を見つけ出した。
 徹底的に調べて、彼女はその映画が誕生日の頃にカナダの映画館にかかることを知り、50歳を祝うのに海外旅行はすばらしいやり方だと思った。

何ヶ月もほのめかし続けた
 「マイクとわたしは本当に激務をしていて、時には1日24時間働いているような気がするの。常に進行中の企画があるので、このようなことをしに行く暇と お金があればと思った。でも、時にはこういうことをさせられる必要があるわーー自分ではなく人に決定してもらいたいのよ。だからわたしは、6ヶ月間せっ せとほのめかしていたの。本気でその旅行を目指していたのよ! でも、ちょっとばかり話が噛み合わなかった・・・」
 「ぼくはほのめかしがわかっていたよ、全部じゃないけど」観光バスの運転手であるマイケルは笑う。「あれこれのほのめかしを集めると、オーストラリアの 配給会社と連絡をとった。それがいつニュージーランドに来るのか知ろうとして、面倒を起こしたんだ。
 「答を得ようとして連中を困らせ、その話の中でこう言われたんだ。『ニュージーランドでの配給権が欲しいのですか?』って。そんなことはしたこともない んだってことを連中がわかっていたかどうか知らないが、ぼくには何の考えもなかった。こうして、全国で24の劇場であの映画を公開することになった。これ は、国中の劇場の4分の1だよ!」

思い出となる贈り物
 安上がりとはいかないのが誕生日の贈り物というものだーー総額について彼は口をつぐんでいるが、その仕事を「安上がりに」するのに2万ドル以上かかっ た。
 「カナダまで映画を見に行った方がずっと安くついただろうけど、誕生日やクリスマスが来るたびに、相変わらず昔ながらの花とか食事に行くとかだ。みんな 贈り物を選ぶのにたいていかなりうんざりしているんだ。ニックは映画について漏らし続けて、確かにぼくは間違って取ったけど、何か違う物を手に入れられ て、わざわざやったんだと感じることができて、本当に特別なことをできたんだから素晴らしいよ」
 ニコラが言うには、マイケルが彼女に隠し事をしていたのは28年間の結婚生活でこれが初めてだとのことだが、来年マイケルが50歳になったら何を手に入 れた ら良いのかわからない。でも、この贈り物は彼女が過去に受け取った何よりも素晴らしいものだと言う。
 「まあ、どうしましょう、確かに花には勝つわ。それに、雌牛の形のカップよりはずっとましよ!」

リーナ・テイラー記


光栄に思ったジェラードのニコラへの約束

 ジェラード・バトラーはサインを求められたり、写真に収まったり、世界中の忠実なファンにより彼に捧げられたウエッブ・サイトを幾つも持っている。だ が、今年の初めに電話が鳴ると、彼の監督はさらに献身的なファンのことを知らせた。
 「彼が電話してきてこう言ったんだよ。『到底信じないかもしれないが、彼らはニュージーランドでの配給権を買ったよ。実際、その男の奥さんは君の大ファ ンなので、彼女の誕生日のために配給権を買ったんだ』ってね」『ベーオウルフとグレンデル』のスターは言う。これは今週全国で公開になる。
 「なんて素晴らしいアイデアだろう! 突拍子もなく風変わりで、ロマンチックで、すごくカッコいいと思う。しかも、ある国で配給権を得るめったにないや り方だ よ。ぼくのために『ベーオウルフ』を評価してくれたんだーー風変わりで、素晴らしい」
 『オペラ座の怪人』では怪人を演じたジェラードは、地球の裏側にそんなにも熱烈なファンがいると知って光栄だと言う。そして、36歳のスコットランド人 の俳優はニュージーランドへは行ったことがないが、是非ともダウン・アンダーに旅行したいし、ニコラに電話して支援に感謝するつもりだと『ウーマンズ・デ イ』に語った。
 「ぼくにとって大変な称賛だよ。じつに素晴らしし、電話して2人と話をすると約束する」
 さて、リサ・クドロウとヒラリー・スワンクと、ロマンティック・コメディ『PS アイ・ラヴ・ユー』で共演することに話は戻る。
 「ヒラリーは凄いよ、ずっと彼女と仕事をしたかったんだ。それに、彼女は子犬を飼っていて、ぼくも飼っている。しかも、2匹はすっかり恋に落ちちゃった ん だよ!」

back home