The Hollywood Reporter

2011年2月14

 

レイフ・ファインズ:シェイクスピアが偉大な脚本家を生み出すかもしれない(ベルリン)

 

ス チュアート・ケンプ 2011年2月14

 

ヨーロッピアン・フィルム・マーケットでの記者会見で、俳優兼監督の『コリオレイナス』が上映されたが、彼は劇作 家[シェ イクスピア]の作品の一つをもう一つ現代版でやりたいと述べた。

 

ベ ルリンレイフ・ファインズの監督デビュー作『コリオレイナス』が月曜にベルリン映画祭のコンペで 上映されたが、マスコミの一団に会うと彼は3人の映画のプロデューサーを立ち上がらせてお辞儀させた。

 

ファ インズは「この頃では独立映画を作ることがどれほど難しいかを知っている部屋一杯のジャーナリストたち」に、この3人に一斉に拍手喝采して欲しかった。 ジュリア・テイラー=スタンレイ、ゲイビー・タナ、コリン・ヴェインズはいささかきまり悪そうに空咳だらけのすし詰めの部屋からの拍手に立ち上がった。

 

ファ インズは確かに彼ら全員に考える時間を与え、シェイクスピアの劇の別の現代版をやりたいと感慨を込めて述べた。

「我 々はそのことについて話し合ってきて、わたしが常に立ち返るのは『アントニーとクレオパトラ』だ。それがこれまで語られた中でも最も素晴らしい愛の物語で あるということを別にしても、それは易々とエジプトとローマ、海の間を移動し、とても映画的だ」

 

ヴァ ネッサ・レドグレイブ、ジェラード・バトラー、ジェシカ・チャステインらのキャストや、シェイクスピアの芝居をファインズのために大スクリーンに持ってく る形を整えた『グラディエーター』の脚本家ジョン・ローガンと並んで、ファインズはこう述べた。もしこの英国人の劇作家が今日仕事をしていたなら、大ヒッ ト作を書いていることだろうと思った、と。

 

「彼 (シェイクスピア)が今日生きて書いていたら、彼は映画のために書いていたことだろう。彼の物語と言葉は映画的なんだ」とファインズは述べた。

 

明 らかにくつろいで――彼の名前の何度とない発音ミス*を一度も訂正することもなく――ファインズンはまた自分とバトラーとの戦いの場面を性的緊張感で満たそうと した意図について触れた。「(監督として)我々の戦いの場面を性的行為のように見えるようにしようと骨を折った」と彼は微笑んだ。

*Ralph の発音は [réif] レイフ」であ る。「ラルフ」[rǽlf]という発音もあるので、「ラルフ」と呼ばれても、いつものように「レイフ」と訂正しなかったという こと。

 

レ ドグレイブは我々の時代の最高の女優として紹介され、彼女の演技法や子ども時代のお陰でどれほど脚本の言葉に慣れているか――詩人の作品からじかにいくつ もの台詞を採り上げた――について持論を展開した。

 

レ ドグレイブは、自分の聖書や祈祷書の翻訳は元々シェイクスピアが書いていたのと同じくらいの時代になされたので、その言葉使いに馴染んでいるのだと述べ た。*

*1611年にジェイムズ1世の命により出版された欽定訳聖書(Authorized Version / King James Version)のことを指 していると思われます。なお、シェイクスピアは1616年没。

 

こ の特別なイヴェントに出席したマスコミの一団は、いつになく女性がほとんどで魅惑的であった。おそらくファインズとバトラーが出ていることを反映している のだろう。

 

筋 骨たくましい男性的な役の一方で、ロマ・コメもする役者として知られているので、もうちょっと知的なものをやることはどのようなものかと聞かれて、バト ラーはすかさず答えた。

「そ うだね、知的なものはいつだってやり甲斐があるよ」と笑った。続けて彼は、まさに初めて役者として賃金を貰ってプロとしてやったのは、その当時『コリオレ イナス』に出たことだったと明かした。



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