The Telegraph

2011年2月14

 

ベ ルリン映画祭『コリオレイナス』評

レ イフ・ファインズの監督デビュー作はばかに出来ない

レイティング:☆☆☆

 

ティム・ロビー、2011年2月14日グリニッジ標準時532

 

レイフ・ファインズは、ロンドンのアルメイダ劇場での2000年 を祝う上演で演じた役『コリオレイナス』とは手を切っていないと言ってきた。監督デビュー記念であり、ベルリン映画祭でプレミアを行った、権力・自我・政 治的首都についてのこの偉大なる作品の現代版は心もとない始まり方をしたが、次第に盛り上がり深まって行く。彼はスクリーン上にこの劇の良識と切迫感を作 り上げた。

 

(ベオグラードで撮影された)「自称ローマという地」に設定されたジョン・ローガンの張りつめた翻案は、21世紀の戦争地帯であることが一目瞭然の地で始まり、神経過敏な戦闘の筋書きにはうってつけの撮影技師バ リー・アクロイド(『ハートロッカー』)に大いに助けられている。ファインズのカイウス・マルティウスは、頭を剃り上げてとてつもなくよそよそしく、市民 がパンを乞い求めて通りに出てきた時に、彼らと初めて酷い対決をするために姿を現すが、ドラマはもっと前からぐずぐずと続いている。

 

憎まれているヴォルサイ人に対して将軍の軍を立ち向かわせてのコリオリ攻略は、手榴弾発射装置やその他色々で 本筋とは関係のない部分としてはいいのだが、前後関係があまりに貧弱で、曖昧な影響力しかない。

 

この部分はマルティウスがローマに戻るとともに調子が出てくる。ローマで彼はコリオレイナスとして正式に指名 され、執政官候補として大衆の人気を求めるよう求められる。ファインズが不満たらたらの庶民とぎこちなく語り合い、リムジンの後部座席で「あいつら吊るし てやる」とつぶやくのを聞いていると、間違いなく[英国首相の] ゴー ドン・ブラウンの雰囲気がする。

 

おそらくスクリーン上で自身を監督するというこれまでにやったことのない仕事をしているせいか、ここでのファ インズの演技の印象は所々しっかりしているが常にきっちりとしているわけではないが、「お前を追放する!」という偉大な演説では印象的な程残酷な憤怒にま で高まっている。これはテレビ・スタジオで、選挙の論争の色合いを伴ってなされている。ジェラード・バトラーはオーフィディアスとしてまことに屈強で、彼 の映画スターとしての資質が彼らの衝撃的な同盟にじつに見事な戦慄を与えている。




back home