2分間デート: ジェラード・バトラー

Marie Claire 2007年3月号(米国版)
ケリー・マレイジーズ

過去にこれまで演じてきた役の長いリストを見ると、ジェラード・バトラーはもっと知られていてしかるべきだ。37才のスコットランド人は、『ドラキュラ 2000』『アッチラ』『『ベーオウルフとグレンデル』(ベーオウルフ役)『オペラ座の怪人』で主役を演じたーーどれも時代物で、彼の顔を良く知られたも のにはしていない。「ぼくの一番の変装は素のままでいることなんだよ」とバトラーは言う。「仮面をつけて髪をなでつけたり、あるいは髪をお尻まで伸ばす か、とんでもない格好でいたら、気がついてもらえるんだ」

今月の『300』(フランク・ミラーのグラフィック・ノベルを翻案した映画)で彼はレオニダス王を演じてまだ時代物をやっているけれども、もっと、そう、 露(あらわ)だ。レオニダスのちょこっとだけのスパルタ式衣装はこれまでで最も挑発的なバトラーの服装だろう。

「初日に、あの革のビキニを身に着けてクルーの間を歩いたら、みんなサンドイッチを噛むのを止めて、口から卵やツナをぶら下げてるんだ。ぼくは、ひえ〜、 こんなことしてるなんて信じられないな、って思っていた」でも、3人の個人トレーナーがいて、槍や剣術の練習をして、撮影の合間に鉄を持ち上げていたら、 誇らしげに歩き回ったっていいだろう。「ほんとうはそうじゃないのに、強くてタフな振りをしている役者にはなりたくなかった。ぼくはいつも回りにいるスタ ントの連中に、とんでもない奴だって思われるようにしたかったんだ」

そして彼はいささかおかしいのかもしれない。弁護士としての最初の仕事をクビになった翌日、演技の腕を試そうとロンドンに出てきたバトラーは、今やセット 上でろくでもない冒険物語に参加することをこよなく愛している。こんなことがあった:Butterfly on a Wheel の撮影中にピアス・ブロスナンと遭った自動車事故(「『心配ない。君が壁にぶつかることはない』って言われていたんだ)、あるいは P.S. I Love You の撮影中にストリップ・シーンでズボン吊りの金具で本誌のカバー・ガール、ヒラリー・スワンクに怪我をさせたり。「2回オスカーを取った人を殺そうとし たっていいじゃないか、って思ったよ」と、彼はスコットランド語の軽快な話し方に恵まれていたなら見逃してもらえるような一種の苦々しさで述べた。

確かに、レオニダスを演じている間、男らしいスコットランド訛りの喉音* が役に立った。「スパルタ人ほどタフな者はいない。『スパルタ人よ、今宵は地獄で宴だ!』というようなのをイングランドの訛りで叫びたくはなかったんだ」 とバトラーは言う。

[*訳注]
スコットランドや北イングランドの喉音rに発音すること。


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