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『バタフライ・オンナ・ウィール/シャッタード』

ハギスボーイ評
2007年12月30日

時折派手なファンファーレも誇大な宣伝もウィルス性のマーケッティングもなしに出てくる映画があるーー言ってみれば、本当の掘り出し物だーーそして、見た 者にこんな宝石がどうしてレーダーの下をかいくぐったのかと不思議に思わせるのだ。『バタフライ・オンナ・ウィール』(北アメリカでは『シャッタード』の タイトルで公開)はそんなケースだ。

タイトルの『バタフライ・オンナ・ウィール』(車輪の上の蝶)は、アレクサンダー・ポープの1734年の詩『アーバスノット博士への手紙』から採られ、つ まらないもしくは重要ではないと思われることを成すのに多大な努力をする者のことを言い、ストーリーのあちこちでそれとなく触れられ、この映画のプロット 全体をかなりまとめ上げている。

ジェラード・バトラーは、シカゴの宣伝会社の重役で、会社の希望の星であるニール・ランダルを演じている。彼は得られるあらゆるものを手に入れているよう だ。彼を後継者と見なしている上司、愛する妻、可愛らしい娘、洒落た家、車ーー彼はアメリカン・ドリームを生きている。それが、妻(マリア・ベッロ)と出 かけて、トム・ライアン(ピアース・ブロスナン)にハイジャックされたのに気がつくときしりながら止まってしまう。彼は謎の人物で、彼の仲間が娘を捕らえ ていること、再び娘が生きているのを見たければ一連の困難で意味不明の試練を成し遂げなくてはならないと2人に告げる。

そこから、映画が進展するにつれてライアンの動機はますます難解となり、追いつ追われつのゲームが展開する。色々と推測たくましくさせる偽の手がかりを たっぷりとプロットに盛り込んで(私は初めのうちに確かにすべて推測したと思ったのだが、ぎょっとさせられただけだった)、『バタフライ・オンナ・ウィー ル/シャッタード』は、3人の主要人物がしっかりと演じられて完成へ向けてゆったりと進んでいき、才気あるあまりにも巧みなストーリーを生み出している。

さらに、見た後長いことそれについて考えさせ、もう一度見直して、そこにあったのに巧みに隠されていた見落としを見つけようという気にまでさせるだろう。

大抵の映画の公開の前触れとなる大掛かりなメディアの宣伝は確かに映画会社に利益をもたらすだろうが、これの場合は正直に言うと、映画について何も知らず に 行くのがいいし、見逃してはならないものとして注目させた。

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