メモランダム♯03

出雲の阿国と歌舞伎



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 16世紀の日本、女性なのに男装し、十字架を下げて、新しい楽器だった三味線をかき鳴らし、流行の服でパフォーマンスをしながら練り歩く一団が出現した。中心となった人物が出雲の阿国(いずものおくに)という女性。そして、この若者を中心とした異様な振る舞いを「傾く(かぶく)」といい、これが歌舞伎の語源になったと言われている。

 つまり現代のロッカーやパンク、ちょっとまえの「竹の子族(古い!!)」のような、あるいは今、渋谷などで見かける底の厚い靴を履き、チョー日焼けした茶色の顔をして、髪をわら色のメッシュに染めた子たちのような若者が、400年以上前にすでにいたのだ。というか、若者はいつの時代もロートルには理解できない異様な振る舞いをするものなのだ。

 それはともかく、この出雲の阿国の出現をきっかけにたくさんの女歌舞伎の劇団が出現したという。そしてパフォーマンスだけでは客の確保がおぼつかなくなり、ついには売春まがいのことまで始めてしまったために、風紀が大変乱れてしまった。

 さすがに17世紀にはいると、江戸幕府もこれを放置することができなくなり、1629年に女性が舞台に立つことを禁じてしまった。それ以後、歌舞伎はすべての役を男性でこなさなければなくなってしまったというわけ。


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