メモランダム♯09

デジタル上映


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 フィルムを一度デジタル化し、データにしたものをDMD(Digital Micromirror Device 個々に制御可能な非常に微細な可動反射鏡(16μm)をたくさん[1,280×1,024]並べたCCDのようなチップ)を使ってDLP(Digital Light Processing)で上映するシステム。Texas Instrument社のシステムと、Cine Comm社のシステムがある。

 「スター・ウォーズ」の場合、撮影したオリジナル・ネガから起こしたインターポジ(通常はこれを使って上映用のポジをプリントするためのネガをもう一度起こす。つまり上映ポジは4世代目になる。インター・ポジは2世代目で画質の劣化が少ない)から直接フィルム・スキャナでデジタル化され、いったんテープに録画された後ハードディスク・アレーに移された。解像度は1280×1024で、ドイツ製の特注の1:1.9というアナモフィック・レンズにより、1:2.39の画面比率で収録されたという。ハードディスク容量は合計360GB。3時間までの映画の収録が可能らしい。

 上映は1999年6月にロサンゼルスで2館、ニューヨークで2館の合計4館で上映された。「スター・ウォーズ」のほかにデジタル上映された作品は「An Idental Husband」とディズニー・アニメ「ターザン」がある。

 中でも「ターザン」は製作から編集、マスター、上映まですべてをデジタルで処理した初のフル・デジタル作品として注目される。ただし、DLPによるデジタル上映は全米でも3館のみ。

 「ターザン」の場合も解像度は1280×1024で、ドイツ製の特注の1:1.5というアナモフィック・レンズにより、1:1.85の画面比率で収録された。日本ではどの作品が最初のDLPデジタル上映になるのだろうか、興味のあるところである。(追記:1999年11月の東京国際映画祭の中のCGアニメの上映で使われたらしい。これはハードディスクを使うタイプではなく、テープを使い、3,000万円の専用映写機でDMDのDLP方式で上映されたという)

 なお、イマジカの「SIGGRAPH99」に、デジタル上映に関するリポートがありとても参考になる。それによればジョージ・ルーカスは「スター・ウォーズ/エピソード2」の撮影をすべてデジタル・カメラで行う予定だそうである。むむ、すごい時代になってきたものだ。


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