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岩手県の万澤さんから「どら平太」の点数があまいのでは、というメールをいただきました。50点から100点の間をもっと大きく使ってもいいように思います、とのご指も。(2000/5/31) 確かに、そのとおりですね。でも一応、理由がありまして、ちょうどよい機会なので、ちょっと長くなりますが、ご説明させていただきます。(以下、万澤さんへの返事から引用) -------------------------------------------------- まず、今年は83点以上の映画がない点に関しましては、私の採点が厳しい傾向があるからです。私が見た範囲に限られますが、どうしても過去に見たいわゆるクラシックと呼ばれる名作が基準となってしまって、それと比較してあまり高い点が出せないのです。時間が経ってあらためて見直すと、評価が高くなるということも、もちろんあると思います。ただ、現時点ではとりあえず83点止まりだということです。 説明になってますでしょうか。 逆に、採点が低い方もあまりないのは…… いろいろ理由はあるのですが、大きくは2つの理由によります。 1つは、私の原点といいますか、映画というものに対する評価の姿勢、考え方というようなものが、故淀川長治さんと似ているためです。これは私の直接の師匠でもある、小林弘隆さんに無言で教えていただいたことでもあるのですが…… 1つの完成された映画というものは、どんなにつまらないものであっても、少なくとも1つは良いところがある、見所がある、というものです。 私も学生の時分に自主映画を作ったことがありますから、映画を完成させることの大変さというのがよくわかります。商業作品であっても、それは同じです。1本の作品として完成させるということ、それだけで十分評価の対象になるのです。 押井守監督は、私が主催する「ビデオ・コンテスト」で、かつてこう仰っています。「(ボクの評価は)映画を完成させたということだけで60点。そこにいいところの点数を足していっています」。 よほど酷い作品でない限り、たぶん50点を切る作品は出てこないと思います。 2つめ。「シネマ日記」は試写会などではなく、ちゃんとお金を払って一般劇場で見た作品をご紹介しています。 つまり、私が見たいもの、少なくとも70点以上の作品だと思ったものを見に行っているわけです。ビデオで十分の作品をわざわざ劇場で見ようとは思いませんもの。 試写会と違って、嫌な映画まで無理して劇場で見ようとは思っていません。損をしたくないといいますか。 それでも、見込み違いや、広告や予告編にだまされたような映画もあって、60点代や50点代のものが出てくるんです。本来ならば、全部が70点以上にならなければ、私は損をしているようなものです。お金と貴重な時間を浪費していることになりますから。 試写会に行かないわけは、いずれ映画のキーワードのコーナーで書きたいと思っていますが、意外に業界の方も読んでくださっているようなので、ちょっとクレームが来ないか不安もあったりします(でも、書くつもりですけど)。とにかく好きではないのです。 と、まあ理屈を言うとこういうことなんですけど…… 平たくいえば私のいいかげんさということになりますかね。あんまり整合性を考えて採点していませんから。 それに、見た日の気分なんてものも加味されています。劇場で礼儀知らずのヤツがいたり、ピンボケたったりすると、とたんに採点が厳しくなります。 決して、不真面目にやっているわけではありませんが、こんな感じです。説明になっていませんかね。いいかげんで、すみません。 基本的には、おもしろい作品だけをご紹介しようと思っています。それによって、1人でも多くの人が劇場まで足を運んでくれれば嬉しいんです。 でもハズレに当たると腹が立ちます。腹立ち紛れに酷い点数を付けたりします。心の中では、ちょっとだけ、ごめんなさいなんて言いながら、涼しい顔で59点とかつけちゃったりしてます。 まっ、そんな感じで、こいつはこのときは外したんだな。それとも劇場で酷いことがあったのか、なんて思って読んでいただくとちょうどいいかと。 |
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