足立智美

ADACHI Tomomi


TOMOMIN and others

 

パフォーマー/作曲家。1972年金沢市生まれ。早稲田大学哲学科卒。
 1993年より、パフォーマー/コンポーザーとして活動を始める。以来、即興演奏、パフォーマンス、現代音楽作品の演奏、作曲、楽器の創作、サウンド・インスタレーションなど幅広い領域で活動。日本ではほとんど唯一の音響詩の演奏家でもある。創作楽器の一つ「トモミン」(弁当箱型電子楽器)はマイク・パットンを始め世界に愛好者が広がる。2003年からヴィデオや写真による活動も開始し、ヴィデオ作品はいくつかのヨーロッパの映画祭で上演されている。単なるマルチメディアではなく、歴史的な視点から音楽、美術、文学、ダンスなどの領域を結びつける活動をおこなっている。

 94年から97年にかけてパフォーマンス・シリーズ『音、あるいは耳について』を企画、実験的な音楽、音響活動を紹介する。 97年から「ハモらない合唱団」である『足立智美ロイヤル合唱団』を主宰。99年から2000年は『音楽工作所』を企画し、パフォーマンス、コラボレーション、実験音楽を幅広く取り上げる。 2000年からダンサー山田うんとのユニット『VACA』を開始し音楽とダンスの究極のコラボレーションを目指す。 2003年にダンサー・振付家の伊藤キムのカンパニー『伊藤キム+輝く未来』と共同作業、作品『劇場遊園』の他、ダンサーによる即興合唱団『足立智美+輝く未来合唱団』を組織する。 その他、共演者としてはヤープ・ブロンク、ウテ・バッサーマン、ブッチ・モリス、ジェニファー・ウォルシュ、高橋悠治 、一柳慧、坂田明、大友良英、千野秀一、劇団黒テントなど。

 現在はヴォイス、コンピュータ、自作楽器群によるソロ演奏を中心に活動。2004年、ドイツのキュンストラーハウス・ドルトムントにレジデンス。2006年春にはベルギーの音響詩フェスティヴァルに招かれ日本の音響詩を初めて体系的に紹介、大きな反響を呼ぶ。同年5月から6月にかけて、世界的な電子音楽研究所STEIM(アムステルダム)およびIRCAM(パリ)で演奏を行う。
 2007年にはサントリー音楽財団主催『ユーロペラ5』(ジョン・ケージ作曲 日本初演)の演出を担当、現代音楽公演としては異例ともいえる反響を呼ぶ。
 CAMERA JAPANやメルボルン・インターナショナル・アーツ・フェスティヴァルなど世界各地のフェスティヴァルに出演。世界最大の舞台芸術の会議IETM meetingの総会(ベルギー、ゲント)では、現代の身体とテクノロジーを結びつけた新しいパフォーマーとして単独で特別公演をおこなった。
 2008年2月には、オランダの世界的な電子音楽研究所STEIMの初来日公演を、企画メンバーの一人としてオーガナイズ。
 2009年12月よりAsian Cultural Counsilのフェローシップを得て半年間渡米。
 2008年から2011年にかけて、東京にてコンサートシリーズ『音楽の複数次元』を企画・監修、ジョン・ケージ "VARIATIONS VII"、"WATERWALK"、クリスチャン・ウォルフ"BURDOCKS"、コーネリアス・カーデュー"THE GREAT LEARNING"など1960年代前後の実験音楽を再演している。
 2012年には日本で初めての国際音響詩フェスティヴァルを企画・監修。
 2012年、DAAD(ドイツ学術交流会)の招聘作曲家としてベルリンに滞在。現在はベルリンを拠点としてヨーロッパを中心に活動を行う。

 また海外を含めて各地での音楽ワークショップ活動も積極的に行っている。 2010年にはロンドンのテート・モダン(国立美術館)シンポジウムにパネラー/パフォーマーとして参加、同時に現地大学生を中心にワークショップと成果発表を行った。
 2005年の『四万十神楽交響曲って何?』(株式会社アサヒビール主催)では、地元の民俗芸能とアマチュアオーケストラとの即興演奏によるコラボレーションを指揮、指導して高い評価を受けた(2006年に再演)。また2008年5月のアサヒ・アート・フェスティバル公開シンポジウム『アートが社会のビジョンを開く」にパネリストとして出演。
 その他、多くの文化活動・運営に関するものや芸術の著作権に関するものなどアート関係のシンポジウム等にパネリスト、講師として招かれている。

 CDにソロ『ときめきのゆいぶつろん』、『記譜法としての境界面』、足立智美ロイヤル合唱団『ぬ』、(以上naya records)、『Yo』(Tzadik)がある。水牛レーベルより『記号説/う・む〜高橋悠治による北園克衛と足立智美による新國誠一』。プロデュースCD(演奏も)『中ザワヒデキ音楽作品集』。コンピレーションCD等への参加多数。