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音楽の複数次元2008〜ケージとウォルフ〜
John Cage & Christian Wolff

音楽とは社会にとって何なのか、という根源的かつ過激な問いかけを、ジョン・ケージとクリスチャン・ウォルフというアメリカ実験音楽を代表する2人の作曲家の1950年代終わりからから1970年代初頭にかけての作品から、読み取っていくシリーズです。

vol.『凶暴なるケージ』
vol.2『音楽と集団、クリスチャン・ウォルフ』

プレ企画『足立智美の音楽ワークショップ』

企画足立智美
制作・主催ナヤ・コレクティブ
共同主催足立智美
協賛アサヒビール株式会社(vol.2『音楽と集団、クリスチャン・ウォルフ』)
助成芸術文化振興基金助成事業、財団法人アサヒビール芸術文化財団、財団法人朝日新聞文化財団
協力門仲天井ホール、ヤマハ株式会社

   
   

vol.2 『音楽と集団、クリスチャン・ウォルフ』

音楽に人を変える力はあるでしょうか。

音楽に社会を変える力はあるでしょうか。

そのような問いにクリスチャン・ウォルフの音楽はある示唆を与えているように思います。単に消費されてしまう音楽を作るのではなく、演奏者にも聴く人にもより能動的であることを求めるような音楽です。ほんのわずかな経験があれば演奏できるような音楽。あるいは技術の蓄積を持ってすら演奏が難しい音楽。音のデリケートさ、時には音の粗さによって聴くものに参加を誘うような音楽。

ウォルフはケージ、アール・ブラウン、モートン・フェルドマンと並んでニューヨーク・スクールと一般に呼ばれる、1950年代に始まる実験音楽の流れに位置づけられます。反ドラマ性、反表現性、聴取における積極的態度において、そこには明らかな共通項がありますが、しかしウォルフは演奏者同士をいかに関係づけるか、音楽を具体的にどう作り上げるか、即興への関心においてまったく独自の音楽を作り上げています。そこには昨今のワークショップによる芸術制作を先取りしたかのような思想があります。

さまざまな技術レベルの演奏者が共に演奏するアンサンブルのための作品として書かれ、ゲーム的なアイデアに満ちた"Burdocks", より普遍性を目指した"Prose Collection"から、ひとりの奏者のために書かれながら、そこに他者を発見していくかのような"For Pianist"まで、大胆さと慎重さの拮抗と、積極的誤解を誘発する豊饒さに満ちた、驚くべき作品群に挑戦します。(足立智美)

 
       

◎プログラム(すべて作曲:クリスチャン・ウォルフ)

「For 1, 2 or 3 people」井上郷子(p)、神田佳子(per)、多井智紀(vc)

「For Pianist」井上郷子(p)

「Edges」足立智美、川島素晴、中井悠

「Burdocks」、「Prose Collection」より「Play」「Stones」、「Exercises」より
足立智美有馬純寿、石山有香、伊関方晶、池田拓実、井上郷子、垣内友香里、加藤千晴、
川島素晴、神田佳子、久保田翠、佐藤菜穂子、しばてつ、鈴木治行、鈴木悦久、関根麻郎、
多井智紀、高橋哲男、田中淳一郎、東保光、中井悠、行川さをり、藤田峻平 (五十音順)
※出演者、曲目は変更される可能性があります。

◎日程:2009年1月18日(日)18:00開演(17:30開場)
◎会場:アサヒ・アートスクエア (浅草)
◎予約2500円、当日2800円

予約受付は終了しました。当日券は17:00より発売いたします。

 
井上郷子 Inoue Satokoピアノ
http://www.n-b-music.com

東京学芸大学大学院作曲科修了。「ムジカ・プラクティカ・アンサンブル」のメンバーを経て、1991年よりソロ活動。「SATOKO PLAYS JAPAN」をはじめとする多くのリサイタルを行なう。海外でもISCMなどの音楽祭に出演のほか、ヨーロッパ各地、アメリカ、中近東でリサイタルやレクチャーを行なっている。ソロアルバムは主として、スイスHatHut社よりリリースされている。現在、国立音楽大学、上野学園大学講師。
 
 
川島素晴 Kawashima Motoharu フォーマンス
www.komp.jp


「演じる音楽」を提唱する作曲家。1994年に足立智美の企画で自作やグロボカール作品等を上演して以来、様々な演奏活動を行っており、2007年6月には、通常の楽器を一切用いないリサイタルを開催。同年11月にはケージ《Concert for Piano and Orchestra》のピアノソロパートを担当。それに先立ち、山根明季子とともに主宰する「eX.」にて同作品のピアノパート全曲演奏を試みるなど、実験的作品も多く手掛けている。
 
 
神田佳子 Kanda Yoshiko パーカッション
http://www.yoshiko-kanda.com/


横浜生れ。東京芸術大学卒業及び同大学院修了。ドイツ:ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習会で奨学生賞を2度受賞。時代やジャンルを超えた打楽器演奏の可能性にアプローチしている。2002年ビクターエンタテインメントよりCDをリリース。
PERCUSSION TRIO [TheBirds] 、Ensemble contemporaryα、ジャズピアノとのデュオ「TANAKANADA」等のメンバー。
 
 
多井智紀 Tai Tomoki チェロ

大阪出身。9歳でチェロに出会い杉山實氏に手ほどきを、大阪府立夕陽丘高校音楽科にて近藤浩志氏、東京芸術大学にて河野文昭氏、苅田雅治氏、鈴木秀美氏に師事。在学中より『Ensemble BOIS』『next mushroom promotion』等に参加、『ekiben』等では作編曲を行う。2006年頃よりフリーランス。コンサート、スタジオワーク、また国内外の音楽祭に招待されている。『セレブ弦楽四重奏団』メンバー。
 
中井悠  Nakai Youパフォーマンス
http://nocollective.com

音楽、翻訳、ロボット操縦。no collectiveメンバー。主な作品に『concerto no.1 』『aliaj cirkvitoj』『si me non videas, esse negabis avem』(すべて2008年)、論文に『沈黙の媒介:ジョン・ケージにおける作品の作動方式』(「水声通信」no.16 /水声社)、翻訳にイヴォンヌ・レイナー『過多のただなかにある定量的にミニマルなダンス活動におけるいくつかの「ミニマリズム的」な傾向の疑似調査、あるいは「トリオA」の分析』(「術」第3号/明石書店、掲載予定)、ロボット操縦に岡崎乾二郎/トリシャ・ブラウン『I love my robots』(2007年より)など。
    足立智美 Adachi Tomomi●企画・パフォーマンス
http://www.adachitomomi.com

パフォーマー/作曲家。ヴォイス、各種センサー、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏、音響詩、舞台音楽など幅広い領域で活動し、ヤープ・ブロンク、ニコラス・コリンズ、高橋悠治、坂田明、一柳慧、カール・ストーン、飯村隆彦、伊藤キムらと共演。インスタレーション作家、映像作家としても活動。非音楽家との大規模なアンサンブルのプロジェクトも行う。ポンピドーセンター(パリ)、STEIM(アムステルダム)、エクスペリメンタル・インターメディア・ファンデーション(ニューヨーク)など世界各地で公演。2007年、ジョン・ケージの『ユーロペラ5』の日本初演の演出をてがける。CDに足立智美『ときめきのゆいぶつろん』(naya records)、足立智美ロイヤル合唱団『yo』(Tzadik)などがある。
     
   
   

vol.1 『凶暴なるケージ』 終了しました。ご来場ありがとうございました。

ケージの音楽には常に過激な挑発性が潜んでいますが、1950年代半ばから1970年代初頭にかけては、彼自身の演奏においても顕著だったように、その挑発性は音楽の表面に明確に現れます。その中から特徴的ないくつかの作品を、既存の美しさや演劇性によりかかることなく、リアライズします。

『ウォーター・ウォーク』では浴槽、花束、カンパリソーダなど、特定の日常的な素材が用いられ、ケージのパフォーマンスに対する具体的なイメージを読み取ることができます。同時に音楽における視覚性の極端な拡充であり、パフォーマンス・アートの元祖といえるような作品です。

『ヴァリエーションズ II』と『ソロ・フォー・ヴォイス2』では音楽をパラメーターの集合に一旦分解し、透明シートの重なり合いからもう一度再構成します。

『マース・カニングハムについての62のメゾスティックス』ではケージの詩のもつ視覚的要素を瞬発的に音に変換することが要求されます。

これらの作品で重要なのは、作品自体は既存の技術体系に依存せず、新しい技術の開発、あるいは複数の技術体系の重ね合わせを要求している点にあります。そこには音楽に留まらない、新しい社会のあり方に対する具体的な提案を読み取ることすらできます。そしてその提案は時代性に解消されることはありません。(企画:足立智美)

     

◎プログラム(すべて作曲:ジョン・ケージ)
「Water walk」足立智美
「Variations II」今井和雄
「62 Mesostics re Merce Cunningham」足立智美、さがゆき、松平敬
「Solo for Voice 2」足立智美、今井和雄、さがゆき、松平敬

◎日程:2008年10月13日(月)18:30開演(18:00開場)
◎会場:門仲天井ホール
◎予約2300円、当日2500円

※予約受付は終了いたしました。当日券は若干枚数を18:00より発売いたします。 

    今井和雄 Imai Kazuo●エトセトラ
http://www.japanimprov.com/kimai/kimaij/


高柳昌行、小杉武久に師事。70年代から即興を始め、91年自身のソ ロ・シリーズ「ソロワークス」を開始。1997年より集団即興の為のプロジェクト「マージナル コンソート」と集団即興の場「サウンドジャンクション」を企画。 2005年よりフリージャズをテーマに今井和雄トリオ「今井和雄(ギター)、鈴木學(ハンドメイド・エレクトロニクス)、伊東篤宏(オプトロン)」を結成。その他、斎藤徹(cb)とのデュオシリーズ「Orbit」、井野信義(b)千野秀一(p)との井野・千野・今井が継続している。
 
 

さがゆき Saga Yuki●ヴォイス、etc
http://www.aruma.be/

言葉を伴う「うた」を歌う歌手であると同時に言葉の伴わない「声」を楽器としたフリーキーで幻想的な「完全即興」を歌う稀有な存在でもある。フランス「Jazz in Japan」アムステルダム「メシアン記念音楽祭」、インド「Jazzヤトラー音楽祭」オランダ「Northnetheland Jazz Festival」、韓国「アートフェスティバル」等海外での活動も多い。様々な現代のアートにも自在に出入りしその鋭い触角で自己の能力を増幅しつづけている。主な共演者:中村八大、北村英治、富樫雅彦、渋谷毅、潮先郁男、小室等、金大煥、姜泰煥、高橋悠治、加藤嵩之、鬼怒無月、フェビアン・レザ・パネ、内橋和久、大友良英、林正樹、白石かずこ、谷川俊太郎、大野一雄、澤井一恵 他。

松平 敬 Matsudaira Takashi●ヴォイス、etc
http://tierkreis.web.infoseek.co.jp/

バリトン歌手。愛媛県生。東京芸術大学、同大学院に学ぶ。2000年よりほぼ毎年ドイツのキュルテンで開催されたシュトックハウゼン講習会へ参加、シュトックハウゼン作品の正統的な演奏法や楽曲分析について学ぶ。2007年「シュピラール」の演奏に対してシュトックハウゼン賞を獲得する。これまで湯浅譲二、クセナキスなど全曲前衛作品ばかりによるリサイタル、シューベルト「冬の旅」とケージ「冬の音楽」を組み合わせた演奏会、全曲シェーンベルク作品によるリサイタルなどを開催。声楽家としての活動に加え、作・編曲、合唱指揮、「レコード芸術」誌への執筆なども行う。現在、聖徳大学、文教大学講師、日本声楽アカデミー会員、双子座三重奏団メンバー。
足立智美 Adachi Tomomi●ヴォイス、エレクトロニクス
http://www.adachitomomi.com

パフォーマー/作曲家。ヴォイス、各種センサー、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏、音響詩、舞台音楽など幅広い領域で活動し、ヤープ・ブロンク、ニコラス・コリンズ、高橋悠治、坂田明、一柳慧、カール・ストーン、飯村隆彦、伊藤キムらと共演。インスタレーション作家、映像作家としても活動。非音楽家との大規模なアンサンブルのプロジェクトも行う。ポンピドーセンター(パリ)、STEIM(アムステルダム)、エクスペリメンタル・インターメディア・ファンデーション(ニューヨーク)など世界各地で公演。2007年、ジョン・ケージの『ユーロペラ5』の日本初演の演出をてがける。CDに足立智美『ときめきのゆいぶつろん』(naya records)、足立智美ロイヤル合唱団『yo』(Tzadik)などがある。
   

プレ企画● 足立智美の音楽ワークショップ  終了しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

※1月18日公演のパフォーマー公募に応募する方は原則としてワークショップを受講してください。

さまざまな技術レベル、バックグランドの人たちがお互いに音をききあって音楽を作り上げるワークショップです。ウォルフの「Burdocks」及び「Prose Collection」の一部を用います(日本語訳を用意します)。

伝統的な楽器はもちろん、簡易楽器、打楽器、声、電子楽器、あるいは楽器以外の音の出るものなど使用楽器/非楽器は問いませんが、アンプの必要な方は自分で持参して下さい(他の楽器とのバランスがありますので大きな音は出せません)。半音階を含む音程を演奏できる楽器はあった方ができることは広がります。音楽演奏の経験のない方でも参加できますが、簡単な五線譜が演奏できるとなお良いです。小学校程度の楽譜の知識や演奏能力はあったほうが良いかもしれません。もちろんプロの演奏家の方も歓迎です。

1月18日の公演に参加希望のかたは原則としてこのワークショップに参加して下さい。このワークショップを導入として、公演にむけての練習をおこないます。公演参加希望の方は練習日程も見ておいて下さい。もちろんこのワークショップだけの参加でも問題ありません。(足立智美)

日程:2008年10月10日(金)18:30〜21:30
会場:門仲天井ホール
参加料:2500円(税込)
申込期限:10月5日(日)
  ※定員に達し次第締め切りますのでお早めにお申し込みください。

申込先・お問合せ:ナヤ・コレクティブ(福永)
  nayac@mc.point.ne.jp fax:03-5875-8306

注意事項
*楽器は必ず持参して下さい(声だけも可)。特に、会場のPAは使いませんのでアンプの必要な方は必ず持参してください。
*駐車場はありません。周辺の有料パーキングをご利用下さい。
*1月18日公演のためのリハーサルは、12月13日(土)以降の毎週土曜日(年末年始を除く)4回を予定しています(全てに参加する必要はありません)。

 
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