Variations VII はジョン・ケージの最大規模のライヴ・エレクトロニクス作品で、直後にE.A.T.(Experiments in Art and Technology )となる芸術家と技術者のコラボレーション・グループによって企画された "9 Evenings: Theatre & Engineering" の一環として1966年、ニューヨークで初演されました。この作品は録音された音、事前に用意した音を一切使わずに上演される真の意味でのライヴ・エレクトロニクスであることに最大の特徴をおいています。空中に飛び交う電波、心臓や衣擦れのような小さ過ぎて聴こえない音、遠くにあって届かない音、自然に漂う放射能、アナログ電子回路が生み出す電気の波、それらのすべてを受け止め、エレクトロニクスによって可聴化、混合し、17チャンネルのスピーカーから放出します。未出版のケージ自身のメモと、初演時のエンジニアの記録をもとに、テクノロジー環境の変化を考慮にいれ、ローテクとハイテクを混ぜ合わせ、世界各地の中継場所の協力を得ながら現代のものへと再構築します。会場は巨大な受信機と化し、世界のざわめきで満たされるでしょう。 (足立智美)