第1回 DVDについて
                          
・DVDって何サ
・今の流行(ハヤリ)は?
・今後どうなるの? 消え行くCD、MD、DVD





【DVDって何サ】
その前にITッて何? 用語集で調べればInformation Technology(情報技術)ですけど、実態はかなりあやふやです。IT業界の人間複数に「ITッて何さ」と訊けば、恐らくその尋ねた人の数だけ違う答えが返ってくるものと思います。ここでは「主にパソコンや携帯電話などのコンピュータ機器や、インターネットなどのネットワークにかかわる技術のこと」と仮にしておきましょう。
(マイクロソフトサポートオンライン用語集http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb%3bja%3b878896&sd=fujより)

それでDVDですが、最近やたらとパソコンだのSONYのPS(PlyStation)だのに搭載されてるじゃないですか。TUTAYAもいつの間にかVHSのビデオテープがDVDにごっそり代わっていたりして、どうも目障りですよね。でも良く見ると「いくつも種類がある」らしい。ヨドバシやビックカメラのメディア・コーナーに行くと値段と商品名が異なるDVDやCDがわんさかあります。
あれってわかりますか?

DVDとは「見た目はCDと同じ直径12cmの円盤状のディスク。片面1層4.7GB、両面2層だと最大17GBのデータを記録できる」と用語集にはあります。
(富士通パソコン用語集https://www.fmworld.net/cs/glossary/jsp/glossaryindex.jsp?SITE_RID=2&rid=168&authid=&aid=103851061255&UNIFY_WD_ID=1174&meaning_mode=2)
用途から見てみればわかりやすいのですが、「大容量の記録媒体」が共通項で、映画鑑賞やゲームソフト用の「読み込み専用DVD」と、IT機器でデータの保存等で使用したりDVDレコーダでTV番組を録画するために使用する「読み書きできるDVD」に大別されます。
でも最近はBSや地デジも録画できる「別のDVD」が出ているらしい。
...ということで、市販のDVDを種類別に並べると以下の通り。

1.DVD−R
2.DVD−RW
3.DVD−RAM
4.DVD+R
5.DVD+RW
6.DVD−R DL
7.DVD−RW DL
8.DVD+R DL
9.DVD+RW DL
10.次世代DVD(HD)
11.次世代DVD(HD DL)
12.次世代DVD(BR−R)
13.次世代DVD(BR−R DL)
14.次世代DVD(BR−RE)
15.次世代DVD(BR−RE DL)

マジすか、15種類もある。1.〜9.と10.〜15.は規格上互換がないらしい(でもスーパーマルチDVDドライブ装置なら互換性は無視して大丈夫らしい...何のこと!?)。しかも今後も増える予定!

ひとつひとつの違いは用語集を見てもらうとして、ようするに「まとまりがない」「出てはすぐ消える」かも知れない記録媒体ということでは間違いないと思います。
結論から述べると、日進月歩の技術革新の「あだ花」がDVDなのではないでしょうか?(ちょっとひねくれ過ぎ?)

かつてレーザーディスク(LD)という記録媒体がありましたが、あれどころではない玉石混淆(ぎょくせきこんこう)状態なワケです。(次々世代DVDの商品化も進んでるンだそうですよ)

ではなぜこのような状況になったのでしょう?
恥ずかしい話ですが、IT業界のメーカ同士が消費者を度外視して開発競争を繰り広げ、しかも規格統一に失敗したからなのです。(昔の例でいえばビデオテープがVHSとベータマックスに分かれていたことと同じです。アレの反省を欠いた拡大版がDVD)

【今の流行(ハヤリ)は?】
映画鑑賞やゲームソフト用のDVDは「DVD−R」(ディーブィディー・マイナス・アールと発音します)、データ保存等、録画用では「DVD−RW」が主流...とはいえ、必ずこれでなければいけないということもなく、ユーザが頭を悩ましながら取捨選択しているのが実情。SONYのPS3の販売戦略で次世代DVDのBR(ブルーレイ)が急激にシェアを伸ばしているのはご存じの通り。(次世代DVDは記憶容量をさらに増大させており、BRの場合には現在、最大50GBの記憶容量があります)
またBSハイビジョン、地デジの普及が急激に進んでいることの相乗効果として、DVDレコーダやハードティスクレコーダが売れています。これらのレコーダ器に搭載されているDVDも結果として上記の15種類の中からそのメーカの都合で勝手に選ばれ搭載されている状態にあります。ですからレコーダのメーカを途中で変えたりすると、せっかく録り溜めたDVDがまったく見られなくなる事態も発生するワケです。特に次世代DVD搭載機は要注意!
そして残念ながらパソコンも同じ状況です。
TV放送で、すでに地上波アナログ放送が主流でないのと同じく、パソコン(に搭載したDVD)、レコーダ器も消費者がバラバラに選ぶ時代になっているのが実情です。間違えると痛い目に遭うのは消費者です。
それって変ですよね! でも現実!!

【今後どうなるの? 消え行くCD、MD、DVD】
ここからは私見がかなり入ることをご容赦ください。
結論を述べれば、「記録媒体はなくなります」(衝撃発言!)
すでにアナログレコード盤(LP/SP)、カセットテープ、レーザ・ディスク、VHSビデオテープ、ベータマックス・ビデオテープは過去の遺物になりました。
今、静にCD、MDがその後を追おうとしています。
HMVやタワーレコード等の大型店以外で、今やCDは姿を消そうとしています。
嘘だと思ったら、街の小さなCDショップに行ってみてください。
CDショップにはDVDが溢れています。
「でもCDコーナーはあるよ」という方、よく見てください。
J−POPや全米ヒットチャートに載っているアルバム以外の分野のCDはありますか?
クラシックのCDはどうですか?
ジャズは? 民謡は? 演歌は? ポップスは? オールディズは? キッズアニメは?...

アップル社製i−Podに代表される新世代のオーディオプレーヤが(いやITが)「世界を変えました」。
音楽は今やインターネットで視聴され、インターネットで購入され、しかもインターネットでダウンロードされる世の中にすっかり変わっています。記録媒体はもう使わなくなっています。
若い世代は当たり前のように音楽のネット配信を利用しています。
何よりその方が安価なんです。物理的なCDの価格も不要ですし、ケースやジャケットやライナーノートもないですから、価格を下げられるンです。(どうしても歌詞が知りたい場合には、i−Podに歌詞を表示できるし、ジャケットが欲しい場合には画像をダウンロードできる)
音楽の世界ではすでに物理的な記録媒体および付属品が消滅しています。
ですから室内のオーディオ装置やカーステレオで音楽を聴きたい場合には、i−Podを接続します。接続用のアクセサリが多数販売されています。i−Podの中の曲は(パソコンで)簡単に入れ換えができますし、一番小さなタイプでも250曲登録できますから、カセットやCDのように入れ換える必要がありません。
CDがなくなれば、そのバックアップ編集用のMD媒体がなくなるのも必然といえます。

画像やパソコンの世界ではどうでしょうか?
DVDの全盛期?

いやいや実はそれも怪しくなっているのです。
「あれ、DVDが全盛といいたかったンじゃないの?」
いいえ、わたしはDVDは「玉石混淆で出てはすぐ消えるかも知れない媒体」といいました。

記憶媒体は「安価・小型化・大容量化」を目指して技術革新が進んできました。この3つのポイントを追及する過程で、アナログレコード盤、カセットテープ、レーザ・ディスク、VHSビデオテープ、ベータマックス・ビデオテープは淘汰されたのです。そしてCD、MDもその流れの途上にあります。

しかし到達の最終地点がDVDではありません。

実は「安価・小型化・大容量化」が進行しているモノがDVD以外にもふたつあります。
磁気ディスク装置と不揮発性メモリ装置です。
磁気ディスク装置はハードディスク(HD。次世代DVDのHDとは別物)ともいい、パソコンやレコーダの本体内蔵の記憶装置として主流になっています。このバックアップ用にCDやDVDが普及したワケで、安価・小型化がその構造上、どうしても技術的に難しかったからこそのことでした。
また、USBメモリに代表される不揮発性メモリ装置(不揮発とは、つまり電源を切ってもデータが揮発しない、つまり消えない記憶装置ということ)は、フロッピーディスク等の簡易記憶媒体の代わりに普及したものです。

このふたつの装置の「安価・小型化・大容量化」が物凄い勢いで進んでいるのです。
IT技術の中で、この磁気ディスク装置と不揮発性メモリ装置はライバルです。
特に大容量化が進んだ不揮発性メモリ装置は長らく本体内蔵記憶装置として安泰だった磁気ディスクの地位を脅かしつつあります。このふたつは競り合って「安価・小型化・大容量化」を進めてきましたが、同時に故障に対する「強健性」も高めてきました。そしてついに容量・小型化がDVDを凌駕しつつあるのです。価格はまだDVDに適うレベルとは程遠いのですが、そもそもDVDは本体内蔵記憶装置のバックアップ用です。本体内蔵記憶装置が「安価・小型化・大容量化」すれば、バックアップが不要になる可能性が出てきたのです。

早い話が、DVDにバックアップする代わりに安くて壊れにくい磁気ディスクをふたつ搭載して、ひとつをバックアップ用にすれば良いのです。もしくは大容量のUSBメモリに丸ごとバックアップすれば良い、というわけです。実は業務用のクライアント/サーバシステムではRAIDという機能で実現済です。磁気ディスク装置を複数搭載してバックアップをしておき、ひとつくらい壊れても装置が停止しないようにしています。業務用というだけに高価だったものが、昨今の磁気ディスク装置の値下げによって個人消費者にも手が届くようになって来ました。また、USBメモリは大容量化がネックだったものが昨今は安価に実現されるようになり、何と不揮発性メモリ装置を本体内蔵記憶装置とする製品が商品化されました。まだ主流ではありませんが、さらに技術革新が続けば磁気ディスク装置すら駆逐しかねない勢いです。

ここでi−Podの話とDVDが結びつきます。

本体内蔵記憶装置の「安価・小型化・大容量化」を背景に、画像やパソコンの世界でも、プロダクト(製品)がネット配信されるようになるのです。

すでにNTTのフレッツがスカパー配信を始めていますし、光通信を使ったケーブルテレビは当たり前になりつつあります。通信ネットワークの大容量化に伴って、映像コンテンツすらネット配信できるようになったわけです。
これがさらに当たり前になれば、近い将来にはテレビも不要(受信機という意味では不要。モニターとしては必要でしょう)ですし、先ほどの話のように受信した映像コンテンツは大容量で安価な本体内蔵記憶装置の中にオリジナルとバックアップを保存すれば良いのです。DVD等にバックアップする必要はなくなります。
パソコンのソフトやデータも同じです。インターネットでやり取り(購買)することは既に日常化していますから、そもそも今ですら量販店でのCD媒体やDVD媒体の販売は縮小の一途を辿っています。

わたしの私見として、つまり近い将来、「記録媒体はなくなります」ということです。

ユーザは好きなときに音楽・映像・ソフトウェアやデータ(いずれは書籍や新聞も)をネット調達してパソコンやi−Pod、レコーダの本体内蔵記憶装置に録り溜める。好きなときに取り出して、いらなくなれば消去するだけ。
(余談ですが、「本体」も小型化・モバイル化が進みます。紙のように薄くて曲がる表示装置が既に実用化されています)
もし本体を換えたり故障したときには、本体内蔵記憶装置の中のデータを次の装置に移すだけ。付け直せばいいし、それも面倒ならばネットワーク経由でコピーすればいい...。もしかしたらどこかの企業がデータのバックアップサービスを始めるかも知れませんし、そうなればネット経由でダウンロードし直せば良いだけ。

恐らくそうなると思います。
コレクションという言葉の意味も変わるかも知れませんね。モノをコレクションする時代は終わり、ITコンテンツやデータを保存することになるのですから。

われわれの世代はレコードやCDを棚に飾り、綺麗なジャケットや付録のブックレットを楽しみましたが、今後はそれらがすべてバーチャル化されるのだと思います。少し悲しく思うのは年を取った証拠ですかね?

昔の映画「トータル・リコール(原作:追憶売ります)」や「マトリックス」のように、そのうち体験や記憶すらネット配信されるようになるのでしょうか...それは妄想かな?

最後にみなさんにひとこと。

ITで世の中は便利になります。
しかしこれは「ITが理解できる人には便利になる」だけのことで、すべての人たちがその恩恵を享受できるとは限らないと思います。
たかがIT、されどIT。

これはかつて未来社会学者のA・トフラーが述べた「未来の衝撃」であり「第三の波」です。経済学者ガルブレイスの唱えた「経験が役立たない不確実性の時代」そのものです。新しいようで、すでに30年以上も前からいわれていることです。

だから「時代に取り残される」ことのないように、みんなでがんばりましょうね!
われわれはウォークマンやCD、携帯電話を使いこなした最初の世代ですし。柔軟性や対応力は前後の世代よりあるはずです。

拒絶反応をなくして「なんでもやってみる」ことが大切だと思います。ではまた。(2008.01.20.)