英国の保存鉄道あちらこちら

 鉄道の創始国である大英帝国、その英国人の鉄道に寄せる心情、情熱は他国の人達のそれとは桁違いである。近代の鉄道技術に関しては明白に遅れをとっているが、創始国であるとの誇りはマニアだけではなく一般の人達も失ってはいない。それが、国内数十箇所にも及ぶ保存鉄道を維持運営し続ける原動力となっている。
 
保存鉄道の路線は概ね元々がローカル赤字線など、利用価値のないところや産業鉄道などを転用したところが多いが、いずれにしても線路敷きを保守整備し、大型蒸機を動態として運行するのには莫大な費用と人手が掛かる。好事資産家からの寄付、会員からの会費とわずかばかりの運賃収入、人手はすべてボランティアに頼って維持するのだから大変である。
 
以下はほぼ20年前に訪れたことのある鉄道たちであるが、選定の基準があったわけではなくたまたま訪れたというだけであり、また現在は存続していない路線も含まれているが、そのバラエティの多彩さには驚くばかりである。
 

ロムニー・ハイス・ディムチャーチ鉄道

ドーバー海峡近く、ハイス〜ダンジェネス間23km。381mmゲージで機関車は実在機をスケールダウンしたもの。

ブルーベル保存鉄道

ロンドンの南、シェフィールドパーク〜ホーステッドケインズ間8km。標準ゲージで各地の車両を多数保持、運行している。元国鉄路線の一部で1960年に運行開始。

ライトンバザード狭軌鉄道

ロンドンの北、ペイジスパーク〜ストーンヘンジワークス間4.8km。元採石場の610mmゲージで、SLとDLが運行。

セバーン・バレー鉄道

ロンドンの北西、ブリッジノース〜キッドミンスタータウン間26km。キッドミンスターで国鉄路線に接続しているので車両輸送に利点がある。

ナショナル・トラムウェイ博物館

ダービー北、クラッチ村の石切り場跡の1.6km。英国だけでなく海外の電車も蒐集し運行している。

キースリー・アンド・ウォースバレー鉄道

リーズに近い、「嵐が丘」「ジェーンエア」のブロンテ姉妹ゆかりの地に通じる元ミッドランド鉄道路線、キースリー〜オクセンホープ間8km。キースリーで国鉄に接続する。

ダーリントン

ノースヨークシャー・ムアーズ鉄道

東海岸ダーリントンに近いグロモント〜ピッカーリング間29km。グロモントで国鉄に接続、客車のコレクションが素晴らしい。側線にはポンコツ機関車がズラーリ。

レイバングラス・エクスデール鉄道

リバプールの北、湖水地方に近い。381mmゲージ、スケールダウン機関車の先駆者で延長11.3km。

スチームタウン鉄道博物館など

カーンフォースの広大な機関区がまるまる博物館で、旧施設が現役で機能している。本線を使った特別運転も少なくない。右下は1980年、ロケット150年祭のロケット号。

ウェルシュプール・アンド・スランフェア軽鉄道

ウエールズの軽鉄道の一つ、国鉄ウェルシュプール駅近くからの13kmで762mmゲージ。海外から集めた車両も多い。

ライドール渓谷鉄道

ウエールズの国鉄の終点アビリーストゥイーズからデビルスブリッジまでの19km、600mmゲージ。渓谷沿いを走る観光路線。

タラヒン鉄道

ウェールズの西海岸タウインワーフ〜ナントグェルノール間11km、686mmゲージ。石切り場跡の路線で、世界初の保存鉄道とされる。

フェアボーン鉄道

タウインからすぐ北、海岸沿いの381mmゲージ鉄道。現在は撤去されている模様。

バラ湖鉄道

ウエールズの山間部、スランユースリンからスノードニア国立公園のバラ湖畔に達する7.2km、600mmゲージ。かつての国鉄路線の一部。

フェスティニヨグ鉄道

港のあるポートマドックと国鉄支線の終点ブラエナイ・フェスティニヨグとを結ぶ22km、600mmゲージ。2両の機関車を繋いだようなフェアリー機などを持ち、長編成で地域の足でもある。

スノードン山鉄道

標高107mのスランベリスから1065mのスノードン山頂駅までの勾配200‰を、アプト式で登る英国唯一のラック式登山鉄道。

スランベリス湖鉄道

スノードン山鉄道と同じスランベリスからバダーン湖畔3.2kmを走る。600mmゲージ。

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