英国マン島の骨董鉄道達

 TTレースでも著名な小島だが,鉄道好きにとってもこれくらい面白い島はない。これぞ骨董といえる鉄道ばかりが5路線も堂々と走っているのだから。金輪際VVVFの新鋭電車がつっぱしるなどという事態にはならないだろう。                                      

Douglas Horse Trams

 
本土リバプールからの連絡船が到着するのはダグラス、ホテルが軒を接する?リゾートである。そしてすぐに目にするのが海岸のプロムナードを走る馬車鉄道、複線の線路を頻繁に往復し、客もそこそこに乗っている。車両の形状はさまざまで、なかには車体だけでも重そうなのもあるが、馬たちは文句もいわずにけなげに駆けている。

 延長3km ほどで、マンクス電気鉄道へ乗換のダービーキャスルが終点である。電車化の計画もあったらしいが、架線がプロムナードの景観を損ねるとして、1876年の開設以来、915mm ゲージのこの馬車鉄道は公共交通機関として、現役であり続けているのである。

Manx Electric Railway

 マンクス電気鉄道は1893年の開業、馬車鉄道と同じゲージでダービーキャスルから島北端のラムジーまでの27.4kmを結ぶ路線で、英国では最長の狭軌鉄道であり、開業時から使われている1、2号車は、世界で最も古い現役電車として著名だ。電車は全部で24輌、最も新しいのが1906年製!古式ゆかしい電車達で、ほぼ半数はサイドがオープンの骸骨車である。

 この路線の、ダービーキャスルから11kmほどの途中駅ラクセーが、次のスネフェル山鉄道への乗り継ぎ駅となる。また終点のラムジーには当鉄道の博物館がオープンしている。

Snaefell Mountain Railway

 英国唯一の電気登山鉄道。マン島最高所、標高621mのスネフェル山頂へ、最大勾配83‰の路線を登り、延長は8km ほど。開通は1895年とこれまた古く、マンクス鉄道のすぐ後であり、車両は開業時の1895年製が5両と1971年製1両がすべて。軌間は1067mmで、2本のレールの中央にはフェル式のレールが敷かれ、これを回転軸で挟みつけて、スリップの防止とブレーキ力を得ている。

 訪れたときには、ラクセーではそこそこの天候だったのが、山頂ではすごい霧で何も見ることができず、その上ひたすら寒いばかりとあって早々に下山したのであった。まあこの国では普通の天候だったのだろうけれど。

Isle of Man Steam Railway

 マン島の鉄道では最も古く、1874年に同島南端のポートエリンからの最初の区間が開通した。その後ダグラスへ、さらに島の北西部へも路線を延ばし、一時はかなりの総延長をもっていたが、現在はダグラス、ポートエリン間の24.5kmだけが存続している蒸気鉄道である。

 軌間は915mm 、機関車はベイヤーピーコック製の2-4-0T構成、1874から1910年製の4両が現役のすべてで、小型の、まちまちな形状の古典木造客車数輌を牽いて田舎の線路をのんびりと走る。観光客を除けば地元の客はちらほら程度でしかない。ポートエリンには博物館があり、機関車や歴史を展示している。

  以上の鉄道はトーマスクックの時刻表に記載があり、運行季節、曜日には要注意。
この他にGroudleGlen Railway という延長 1km、軌間610mm の蒸気鉄道があって5路線となる。

ダグラス馬車鉄道

マンクス電気鉄道

スネフェル山鉄道

マン島蒸気鉄道

プロムナードを行く

ただ今給水中

古式ゆかしいボディ。乗降口が車体コーナーにあるのが珍しい

骸骨電車

ラクセーの集落

変わった形のビューゲルをかざした登山電車

フェル式第3軌条で急勾配に対応

頂上は濃いガスでなにも見えず

伝統を守るダグラス駅

きれいに整備されたベイヤーピーコックの蒸気機関車

旧式な木造客車を連ねて

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