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ハプスブルク帝国 南部鉄道

いわゆるハプスブルク帝国は大国であった。
首都ウィーンと、海の玄関口 トリエステ(現イタリア領)とを結ぶ重要路線、南部鉄道は1854年に開通した。
現在この路線は、オーストリア、スロベニア、イタリアと3国にまたがることになってしまったが、路線そのものは健在、現役なので、ウィーンからたどってみることにした。

出発点ウィーン南駅。かつては壮大な建物だったが第2次世界大戦で破壊され、現在はとりえのない実用本位の四角な建屋である。
唯一当時の面影を残すのは、コンコースに置かれたベネチアのシンボル、ライオン像だけ。

途中、立ちはだかるのがセンメリンク峠で、急勾配とカーブにつぐカーブで、トンネル15個所に石造橋は17個所。最大のカルテリンネ橋梁(左)やクラウゼルクラウゼ橋梁(右)などすばらしい。現在は世界遺産に登録されている。
建設したのはカール・ゲーガで、センメリンク駅ホームには彼のレリーフが飾られ、傍らの車両は展示室である。

オーストリア第2の都市グラーツの近代的な駅舎。駅前には路面電車が乗り入れており、ボンバルディアの全低床車も活躍している。
茶褐色の屋根が並ぶ旧市街は世界遺産に登録されていて、シュロスベルクの岡からの眺望がすばらしい。

グラーツを起点に田舎路線を延ばしているのが、私鉄グラーツ・ケフラッヒャー鉄道(GKB)で、非電化ディーゼルの舞台だ。
線路にゆとりがあるためか随時蒸気運転も行われていて、左は牽引の大型機52形式。
庫の中では元南部鉄道の671号機を整備中。1860年製で、オリジナルの動態機としてはヨーロッパ最古のものである。右は1987年のオーストリア鉄道開始150年記念行事の、列車パレードに参加したときの671号機。

グラーツから南下した国境駅シュピールフェルトシュトラス。カラフルな塗色の、スロベニア・マリボールからの2連ディーゼル列車が乗り入れて来ている。

スロベニアの第2の都市マリボールは、まだオーストリアの延長のような雰囲気。ドイツ語が結構幅をきかせている。駅前広場に蒸気機関車が展示してあった。町中をドラウ川が流れ、列車が渡って行く。

スロベニアの主力、3車体4台車の312系連接電車。台車部は高床で、その他の部分は低床。

数は少ないが電気機関車牽引の客車列車も走っている。先頭はフランス製のゲンコツ。

都市間特急ICSには、イタリアのペンドリーノ相当の振り子電車310系が活躍している。

ICSの1等車内。振り子のためか天井は少々うっとうしいが、乗り心地は良好だ。

オーストリアには残っていないハプスブルク時代の駅建築は、スロベニアの首都リュブリャーナに現存していた。
南部鉄道のいわば途中駅ではあるものの、手の込んだ構内の造作・装飾はさすがで、現在もよく手入れされ保存されていて、首都の駅としてふさわしいたたずまいだ。

リュブリャーナは盆地に位置しているため、トリエステへ向かう列車も山岳鉄道の赴きになる。標高をあげた途中駅ポストイナは、大きな駅だが閑散としていて人影もまばら。町から離れていてアクセスに難あり、交通の中心はバスである。
見所は世界で3番目に大きいといわれるポストイナ鍾乳洞。洞内をトロッコ列車で2kmも入ったところからガイドつきでの見学となるが、なるほどすごい広さとすごい規模だ。付近には世界遺産のシュコシャン鍾乳洞もある。

トリエステ中央駅も、ハプスブルク帝国の玄関駅としてのルネッサンス様式の立派な建屋だ。内部はイタリアらしくいささか雑然としているにしてもである。ベネチア方面への発終着駅でもあり賑わっている。

トリエステの終端駅には、もう一つトリエステ・カンポマルツィオ駅があった。現在は駅としての役目を終え、鉄道博物館として機能している。
館内には歴史を示す資料など。屋外は元のホームに沿って各種車両が展示してあるが、天蓋がなくなり雨ざらしで状態は悪い。

港湾都市トリエステの現人口は26万。海岸通りに面して、イタリア統一広場を中心に、帝国の時代に建てられた荘重・優雅な建築が並んでおり、ウィーンの外港としての当時の繁栄振りを偲ばせる。

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トリエステで見逃せないのがオピチーナトラム。 標高300mを超える高台とを結ぶ電車で1902年の開業、途中に260‰の急勾配区間があり、この区間は普通の電車がケーブルカーの後押しによってよじ登るのである。開業時はラック区間だったが、1928年にケーブルカーに置き換えられたもの。
写真33の右が後押しケーブルカー、左の電車は乗客の自転車をぶら下げている。写真35の右は保存古典電車。

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ハプスブルク鉄道 南部鉄道の旅

ハプスブルク帝国 南部鉄道の旅