| ポエトリー アグネスの詩 |
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ミジャは古いアパートで生活保護を受けながら娘から預かった中学生の孫チョンウクの面倒を見ている60代の女性。ある日彼女は偶然目にした広告がきっかけで詩作教室に通い始める。講師のアドバイスに従い小さなノートを手に周囲に目をこらしては、感じたことをメモし美しい言葉を探して求めていく。そんな中チョンウクが同級生を数ヶ月間にわたり輪姦し続けその女子中学生ヒジンが自殺したことを知る。関係者たちは事件を公にすることを嫌い、被害者の母親に示談金を支払ってことを収めようとするが・・。韓国で実際にあった女子中学生集団レイプ事件から着想を得て制作された映画。表題の「アグネス」とは作品内で自殺した少女の洗礼名。主演は本作が16年ぶりの映画出演という往年の名女優ユン・ジョンヒ。
ユン・ジョンヒ、イ・デビッド、キム・ヒラ、アン・ネサン、パク・ミョンシン 他 出演 イ・チャンドン 監督作 ■ガオのお値段 ラスト。ヒジン(アグネス)が振り返り優しく笑う。 そしてエンドロール。音楽はない。 そのうち、自分でも予期せぬ涙が止まらずあふれてくる。 最後には嗚咽が出てきそうで必死に呑みこみ でも号泣状態になってきてしまい、 このままどうしようと映画館のトイレに駆け込んだ。 とりあえず頑張って落ち着いて、パンフレットを買う。 だけど、帰り道もぐずぐず涙が出てくる。 自力で止めることが出来ない余韻が押し寄せる。 こんなにも力のある映画なのにね。 あんなにも静かなのね。 冒頭、美しい川で和やかに遊ぶ子供たち。 そこに流れてくるヒジン(アグネス)の死体。 そこから映画は始まる。強烈なのに、なぜか穏やかに感じる錯覚。 自然と一体になったかのような死体。でも後からこれがきいてくる。 これがまさに皆の日々。残酷なことは身近にあるのに 心から本気で“見てない”これは普段の普通の人間たちの日々も そういうことなのではと後からひしひし感じる。 ミジャは孫と二人暮らし。たぶん娘から押しつけられたに違いない。 生活は苦しい。でも、ミジャはいつもお洒落をして ほわんとした感じで優しく可愛らしく生きている女性。 生活保護をうけながら介護ヘルパーの仕事をして孫を育て ほそぼそと生活している。そんな矢先、詩作教室に通う。 すでに募集は終わっているけれど、そこをなんとかと頼む時も どこかほんわりしていて憎めない。 きっと、この教室が運命だったのかも。 アルツハイマー、ヒジン(アグネス)、孫の罪、お金・・ 彼女が徐々に辛辣な現実に向き合っていく過程は、 詩と向き合うことでもある。 詩の先生が言う、 「見ることが大切です。どこにでも詩はあります。 林檎にも洗い場にも詩はあります。見るのです。感じてください」 今までミジャが観てきた世界はなんだったんだろう。 詩を通じて初めて、物事を見つめる作業をしていくうち いつしかヒジン(アグネス)の気持ちに寄り添うミジャ。 それはあまりにも過酷。彼女の気持ちを知るために 介護先の男性と一旦は断ったセックスもしてしまう。 そして、この映画が凄いのは、悪人と善人に分けていないところ。 たとえば罪を犯した少年たちも変わった感じの 非行的な人物ではなく、ごくごく普通の感じに描いている。 彼らはミジャと出逢えばちゃんと挨拶するし 孫もよくいるフツーのその辺の少年って感じに描いている。 その親たちもまた、表沙汰にならずに示談にするために 金でなんとかしようというイヤなヤツらなのだけれど まさにイヤなヤツらという感じには描いていない。 普通にいそうな、特にコレといってイヤな印象をもつわけでもなく ヒジン(アグネス)を強姦していた少年たちの親たちで集まった 話し合いの場も、きっとその場に行ったら違和感を感じつつも、 それでも同じ空気にそまってしまいそうな、 そんな親たちとして描いている。 善と悪というのはなく、思えば皆こんな感じで 人間は不完全で、だから、自分で気がつかないうちに 大切なことは見ずさらさら流れて生きている。 そうしてミジャは孫の罪や自分のアルツハイマーのこともあるのに それでもほわんと詩作教室に通うのです。確かに実際、こんな感じかも。 深刻な病気ですと告知されても、実際は今までと同じ 日々を生きるんだと思うんです。ご飯を作り、食べて、好きなことをして・・・ 本当にイ・チャンドン監督の人間を見つめる洞察力がすごく丁寧。 だからこそ、あのラストの余韻に繋がっていったんだと思う。 ヒジン(アグネス)の気持ちに唯一寄り添ったミジャは 彼女が日々を愛していたであろうことを想像する。 ヒジン(アグネス)の実家にいたワンコの笑顔。 ささやかな日々の美しさ。それなのに逝ってしまった。 彼女が自ら命を絶った道のりを想像して精一杯ミジャが書いた詩は シンプルな言葉の中に心のこもった儚い感じの魂が宿っていた。 そして観客のアタシも少しだけヒジャ(アグネス)の思いに ふれた気がした。同時にミジャの涙も見た気がした。 それにしてもいい演者さんたちが目白押しだった。 特に出番は少ないけれどパク刑事が優しい感じでいい。 それからヒジン(アグネス)の母親の目力も心に残る。 そしてミジャ役のユンさんの説得力。 どこか浮世離れしたほわんとした感じがハマっている。 そんな彼女が本物の詩人になった時、それは哀しい瞬間なのに 温かい気持ちにもなるのはなぜだろう。心底哀しいのにね。 この映画のお値段 ¥4800 |
| ものすごくうるさくて、ありえないほど近い |
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9.11同時多発テロで父を亡くした少年オスカーは、
父の突然の死を受け入れられずに日々を過ごしていた。
そんなある日、彼は父の部屋のクローゼットにあった、
青い花瓶の中から封筒がありその中にあった1本の鍵を見つける。この鍵は父が残したメッセージかも知れない。封筒にはブラックという文字が。オスカーはその鍵の謎を探しにブラックという名の人たちを訪ねニューヨークの街へと飛び出す・・・。 トーマス・ホーン、トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、 マックス・フォン・シドー、 ゾーイ・コールドウェル、 ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・グッドマン、 ジェフリー・ライト、 ジェームズ・ガンドルフィーニ 他 出演 スティーブン・ダルドリー 監督作 ■ガオのお値段 まず、主人公のオスカー君はアスペルガー症候群ではないものの それに限りなく近くて、物事に注意深くて とても神経質で 尚且つ頭の回転がとてもよい。 いちいち時間を秒単位で憶えていたり 嫌味な事を言うし嘘も平気でつくので 可愛げがないという設定にされています。 それをふまえてこの映画で個人的に好きだった所を場面ごとにメモ。 パパを空の棺桶で葬式をしたことへの オスカー君の哀しみと怒り。 オスカー君があのビルにいたのが ママだったらよかったのにとママに言うところと そこで彼は本心じゃないとは言うものの、 ママはそれがオスカーの本心だと知っているところ。 アビー・ブラックが、切ない瞳のゾウさんの写真が 昔は好きだったのに今は大切じゃなくなったというところ。 個人的にその心境はすごくわかる。 鍵の謎がとけて、本来の持ち主に辿りつき、 彼も鍵を探していてそのことで貼り紙をしようと思ったら 9.11で行方不明になっている人や 哀しい目にあっている人たちの写真であふれていて 自分のお父さんのことを貼れなかったこと。 3.11でもそうだけれど、 国規模で痛手を感じる大きな哀しみがあると それ以外の哀しみは隅においやられてしまう。 たとえば、9.11の被害者に比べればとか、 3.11の被災者にくらべればとか そんな風に言われがち、思いがちだけれど、 だけれど、哀しみに大きいも小さいもなくて、 同じ時期に別の出来事で哀しい目にあっている人は 山ほどいるということを、そして、その人たちも 心が立ちあがれないほど細胞全体で哀しい日々なのだと サラリと教えてくれる大切な場面。 最後の電話に出なかったことで 自分を責めているオスカー君の哀しみ。 マックス・フォン・シドーさんの存在感。佇まいだけで素敵。 おばあさん役のゾーイ・コールドウェルさんや アビー・ブラック役のヴィオラ・デイヴィスさんや 彼女の夫役のジェフリー・ライトさんなどがさりげなく巧い。 トム・ハンクスさんはセオリー通りすぎて 面白みはないんだけれどやはり巧い。 なんというか子供が絶対的に好きになるだろうな感じの 子供を抑えつけないで大切なことを教えるような 現実にはいなさそうな貴重な大人というのを巧く体現していて こんなお父さんや旦那さん、素敵だなって思いました。 サンドラさんも泣き顔に真実味があってトムさんと 最後の電話の時の泣きだしそうで声が出ないという場面とか 思わずこっちももらい泣きしてしまいました。 オスカー君役のトーマス・ホーン君は少しクサイというか、 僕は繊細なんだというのを あまりにも全面に出しすぎていて、 でも、それは彼のせいではなくて演出の指示だと思うので 彼本人は素晴らしいんだと思います。 素晴らしいからこそ、指示通りに出来てしまい ちょっぴりクサくなってしまったんだなと思いました。 9.11という哀しみ。その事実を題材にしつつも リアリティがほとんどない設定で語られる物語。 最初から事実にないことで完璧なフィクションを 題材にしてくれていたら、気にならないのかもですが 9.11というのがどうしてもひっかかってしまうのです。 なのでNYのブラックさんを探すというところはもちろん、 ママが先回りしていたというのも、出来過ぎていて、 観た時の気分によっては白けてしまいそうなのだけれど、 でも、大切な人を失って、その真っ只中の苦しみ、 そして、それでも生きて行かなければいけない日々のことや 人は独りじゃないこと。他の人たちにも哀しみがあること。 この映画を観て、そんなことを感じました。 (追記・補足) 3.11は震災で(その後のことは人災という場面も多々あれど、きっかけは地震と津波の被災です) 9.11は同時多発テロなので全然違います。震災は震災という共通の受け止め方ができるけれど、 テロは映画のセリフにもあった気がしますが、どう考えても受け止めることが出来ません。 でも皆が共有した哀しみという思いをふくめて同じ場所に書きました。 この映画のお値段 ¥1400 |
| ドラゴン・タトゥーの女 |
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月刊誌ミレニアムで大物実業家の不正行為を暴いたジャーナリストのミカエル。
そんな彼のもとに、ある大財閥会長から
40年前に起こった兄の孫娘失踪事件の調査依頼が舞い込む。
連続猟奇殺人事件が失踪にかかわっていると察知したミカエルは、
天才ハッカー、リスベットにリサーチ協力を求めるが・・。
「ミレニアム」3部作としてスウェーデンで映画にもなったベストセラー小説をハリウッドでも映画化。 ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、 ステラン・スカルスガルド、スティーブン・バーコフ、ロビン・ライト 他 出演 デヴィッド・フィンチャー 監督作 ■ガオのお値段 ごめんなさいね。アタシさ、予告編カッコイイ、 デヴィッド・フィンチャー監督が好きだし、 ダニエルさんも好きだし、っていうね、 それだけのノリで観に行っちゃったもんだから・・ 原作はもちろん(読まない派です・映画は映画なので) スウェーデンのミレニアム3部作のオリジナルの映画も、 全然観てないのでね、こんなアタシみたいな フラリと映画館に観に行ったよんみたいなのはね こう、キャラたちのことが把握できんのよ、関係性が。 なので、前半、脳みそがポカンと爆睡気味でありました(笑) で、 これ本当は哀しい話だと思うんですよね。 自分の父親や兄貴に犯されていたハリエットが 決死の思いで安全をもとめて姿を消したのよね。 でも物語の核になるはずのハリエットの思いや 色々あって頑張って独りで生きてきたリスベットや 犯人の異常さを心をこめて伝えようと言うよりは 表面だけカッコよくてグロければそれで 全然OKじゃん的な感覚を感じてしまう。 だからハリエットと依頼人の再会もイマイチ感動しない。 だけど、ラストシーン。あのベタなラストシーンが 案外この映画のすべてを語ってくれていた気がした。 そうか、これはリスベットのラブストーリーなのか。 ミステリーとしてはイマイチありきたりすぎて面白みに欠けるし 哀しいはずのハリエットの描写も印象薄いんだけれど リスベットを中心にそれらを眺めると ラブストーリーの道具だったんだなって感じになります。 ある意味壮大な思わせぶりの道具です。 で、それをリスベットがバイクで走り去った後の エンドロールでぼんやり思うので 人生の時間ぶんどられた気分になってしまい この映画を前売りまで買って楽しみに観に来た思いが つぶされた気がしてしまった(苦笑) まぁ、なにはともあれ、猫がカワイイんだ、猫ちゃんが。 もぉ、ダニエルさん(as ミカエル)の頭の上で寝ていたりさぁ にゃーんって甘え方がカワイイ、カワイイ。 ミカエルも自然体で優しい。それなのに・・ううう(号泣) この映画の中で一番ショックな場面でありました(涙) この映画のお値段 ¥1799 ■べんのお値段 007のオープニング・タイトルを、エグく進化させた スーパーCOOLな始まりにテンション上るも、 上映時間の割には、内容薄いなぁ〜と感じてしまったのは 俺だけだろうか?? 特に横溝正史並みに張り巡らせた、一族の血縁関係の説明が入る前半は、 ちょうと眠気に誘われた(この辺は、市川 崑さんのがウマかったでしょ) 何より、主人公とドラゴン・タトゥーの女が、 なかなか出会わない展開にはイライラさせられる 中盤、話が転がりだしてからは、眠気から覚めるも、 驚くようなトリックも展開もなく、時間が経過 あっ、コレもしかして、ミステリー映画じゃ・ない?? ・・・と気付いた時にはもう終盤 んんん。。。ですかねぇ〜 しかし、「セブン」「ファイトクラブ」「ゲーム」で、 鮮烈なショックを与えられた世代には、やっぱり、 デビッド・フィンチャーって名前には、新作が公開される度に 反応しちゃうンだよねぇ〜 ただ、彼の持ち込んだ、ミュージッククリップ的な かっこいいアングルもカッティングも真似されすぎちゃってねぇ〜 正統派のドラマ展開にもねぇ〜 ・・・って、ねぇ〜 ねぇ〜 ばかりの映画感想になっちゃっタねぇ〜 この映画のお値段 ¥650 |
| アクシデント 意外 |
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車の渋滞の中一人の男がビルの上から砕け散った大量のガラスの破片を浴びて死んだ。
警察はそれを事故による死亡と発表するが実はブレイン、ふとっちょ、女、オヤジたち4人の仕業だった。
彼らは緻密な計算と周到なトリックにより偶然の事故に見せかけて標的を殺害する闇の仕事人だった。
次の仕事でも完璧な偶然を装った殺しを遂行したはずだったが全く予期せぬ別の偶然により彼らの計画は狂い仲間の一人が死んでしまう。もしかしてこれは偶然ではなく何者かが仕組んだ殺しで狙われていたのは彼ら4人なのか?
ジョニー・トーが製作を手掛けるサスペンス・ノワール ルイス・クー、リッチー・レン、ミシェル・イエ、 フォン・ツイファン、ラム・シュー 他 出演 ソイ・チェン 監督作 ■ガオのお値段 地味な展開が味わい深いし、ストーリーはなかなか面白い。 疑心難儀の悲劇というか、疑い出したらキリがないのは 結局、後ろめたいからそうなるわけで。 後ろめたいところがなければ、疑うこともないわけで。 そして結果的に自滅という、そういう人間の愚かなところとか 弱いところを見つめるところは面白いし 雨の日を狙って感電で殺すというのも根気がいりそうだし 雨の場面とか雑多な感じとか視覚的にも楽しめた。 だけどなんていうか・・、尻すぼみ感がぬぐえない。 クライマックスでオヤジが、ふとっちょが バスに轢かれて 死んだ日の事故のことを彼是思い出して ブレインに電話で教えてあげると、すぐに彼が 平常心に戻るってのがさ、あそこまで疑心難儀な人なのに たったそれだけのことで自分の間違いを確信するものなの? あれではミシェル・イエさん演じる女や リッチー・レンさん演じる男や、その奥さんなんかさ とばっちりもいいところですよ、ほんと。 あの展開が、ハードボイルドになれない感じで残念。 もっと、キリキリするような愚かで暗くて 哀しいものを期待しすぎてしまったのか ちょっとライトすぎて、物足りない、食べ足りない。。 でも、この映画でバスで美味しそうにパンを喰っていた 愛しの林雪さんを確認出来たから、それだけで、ウレシイ(笑) けど、“ふとっちょ”って・・・そのまんまじゃんか(笑) この映画のお値段 ¥1700 |
| ゴダール・ソシアリスム |
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3楽章のシンフォニー構成 第1楽章「こんな事ども」 地中海を周遊する豪華客船ゴールデン・ウェブ号を舞台にスペイン内戦時に行方不明になった大量の黄金をめぐるミステリーを軸に展開。 第2楽章「どこへ行く、ヨーロッパ」 フランスの片田舎の8月4日。4人家族の一家と動物たちが主役。子供たちは被選挙権を主張する。 第3楽章「われら人類」 人類史を築いた6つの場を訪問。エジプト、オデッサ、パレスチナ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナ。それは第1楽章でゴールデン・ウェブ号が辿った航路だ。そして終章でバルセロナに到着した後・・・。 (第1楽章)マチアス・ドマイディ、ナデージュ・ボーソン=ディアーニュ、 ジャン=マルク・ステーレ、アガタ・クーチュール、カンタン・グロセ、 マリー=クリスティーヌ・ベルジェ、モーリス・サルファティ、オルガ・リャザーノワ、 ドミニク・ドヴァル、ルーマ・サンバール、ロベール・マルビエ、パティ・スミス、 レニー・ケイ、アラン・バディウ、エリアス・サンバール、 (第2楽章)クリスチャン・シニジェ、カトリーヌ・タンヴィエ、マリーヌ・バタジア、 ギュリヴェール・エック、エリザベート・ヴィタリ、アイ・アイダラ 他 出演 ジャン=リュック・ゴダール 監督作 ■ガオのお値段 ゴダールの映画を観るたびに、映画ってなんだろうって思う。 すっかり起承転結に慣れてしまっている時に たまにゴダールの映画を観るとドカンと脳天を殴られた気分になる。 アタシたちは知らない間に決めてしまっていることが多すぎる。 自分の個性だと思っていたことが実は誰かの引用だったりする。 時計が時を決めるようにいつの間にか朝昼晩と決めている。 太陽が昇ったからって朝だと思っているのはなぜだろう。 太陽が沈んだからって夜だと思っているのはなぜだろう。 遠い昔、誰かが決めたことを、なんの疑いもなく守って生きている。 心に残るセリフがいくつかある。 「私の言葉は誰かの引用。私の心は私の口にない」 「最近は皆、“私”と言わない。“我々”と言う」 「本当の友は私のしていることを否定しても、私の存在を否定しない」 「BE動詞を使うやつらとは口をきかない」 「光はなぜある?闇があるから」 映像と、雑音と、不規則な音楽と、セリフ。 猫の恋するような会話、船の上の人々、青、赤、黄色。 同じ階段の死体と、同じ階段の微笑み。 昔惨殺された人たちがいた。でも、今は観光地。 遠く離れた日々。でも、つながっている日々。 そのことを思い出させてくれる。そして、ノー・コメントで幕が降りる。 相変わらずのゴダール節。不可解で時にイラつくのに 時々胸から背中にグッサリくるのは、どうしてだろう。 目に投げ込まれる、耳に入るものすべてが、詩のよう。 彼だけにしか作れないもの。だからアホくさくて捨てる人もいる。 でも、大切に抱きしめる人もいる。個性って簡単に言えない。 だけど、自由は高くつくのね。そう思い出させてくれる。 博愛、自由、平等って、なんだろね。ノー・コメントですかね(笑) この映画のお値段 ¥1800 |