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2004年10月,シアトルマリナーズのイチロー選手が大リーグ年間安打数の新記録を樹立し,
日米を沸かせました.
この記録は84年間破られなかったわけですが,
この「84年前」,つまり1920年には,アメリカではどんな競馬が行われていたのでしょうか.
この年のケンタッキーダービーに優勝したのは Paul Jones(ポールジョーンズ)でした.
ダービーは(日本式の表記では)17倍の人気薄,同厩舎の Blazes という馬の方が期待が高かったそうで,
その後もサバーバンH(現在のG1レース)などに優勝した割には名前が知られていません.
せん馬(去勢された馬)だったため,後の馬の血統表に名前が出てくることもなく,
忘れ去られるのは仕方ないのかもしれませんが,実はもっと大きな理由があったのです.
同じ年の残りの2冠,プリークネスSとベルモントSに優勝したのは
Man o'War,
この年の年度代表馬になっただけでなく,
引退後も種牡馬としてリーディングサイヤーに輝き(1926年),
1957年には競馬の殿堂入り,
2001年にはブラッドホース誌主催の「20世紀の名馬」第1位に選ばれるなど,名馬中の名馬でした.
同期にこんな馬がいたのでは影が薄くなるのも当然,運が悪かったと言わざるをえません.
84年前に257安打の大リーグ記録を出したジョージ・シスラー選手も, 今度のイチロー選手の活躍まではほとんど名前が知られていなかったと思います. アメリカではシングルヒットよりホームランを量産するパワーヒッターの方が注目されることもあるでしょうが, 同時期にベーブ・ルースやタイ・カッブなどの名選手がいたことも影響していたようです.
意外なところで1920年の大リーガーとダービー馬の共通点を見つけてしまいました.