CineLive (仏)2008年2月号 120巻
[この記事はフランス語の原文から訳しています。英訳 からの二重訳ではありませんが、参考にはしました。]
[英訳:Véronique Trouillet at GB.Net]


彼は何もかも手にしている。美貌と知性、思いやり、剽軽さ・・・そして、自分でそのことがわかっていて、それを使うことが好きだ。特に、アクション・ヒー ローとして知られているが、今回は猛者の映画はやめて、ロマンティック・ドラマ『P.S. アイ・ラブ・ユー』にした。そこでは彼と良く似たタイプを演じている。美貌と知性、思いやりと、剽軽さ・・・しかし、それはもう言いましたね。

ヴェロニカ・トルイユ

ジェラード・バトラー、追伸、愛しています

Ciné Live:この映画はすがすがしいですね。今回は映画の終 わりで亡くなるのではなく、冒頭で亡くなります・・・。

ジェラード・バトラー:(笑) そう、散々死んでるからね。そういうのが続いた後ではすごく珍しいよ・・・(ドアの方に向かって叫ぶ)インタヴューするところなんだぞ!・・・(すぐに穏 やかになって)大丈夫。時々やるんだ。(げらげら笑い出す)すまん、ルパート。(彼のアシスタントが、ドアを開ける)

ルパート:大丈夫です。

GB:すまん。 (笑)

CL:わたしは 悪態用の貯金箱を持って来ましょうか? このインタヴューが終わる時にはたっぷりと貯まっているでしょうね。[先ほどジェリーが叫んだ時、悪態を2つついたので]

GB:(笑)それは アビゲイル・ブレスリンが『ニムの島』の撮影でやったことだよ。悪態1つにつき2ドルなんだ。悪態1回につき6ドルまで上げたよ、悪態をついたと気がつく たびに釣り上げたんでね。そして、アビゲイルはけっして見過ごさないんだ。お釣りさえくれないんだよ! あの子に後々のために貸しにしておくって言った ら、こう言うんだ。「借りにはしないもん!」そのお金はチャリティに行った。結局、彼女が言ったのはそういうことだった。くそいまいましい悪態の積立金箱 なんて大嫌いだ(笑)。ところで、ぼくは死ぬ。またね。だけど、15ページもあるト書きと2人の間で交わされる滑稽な会話の冒頭部分を読んだ時、滑稽で知 的だし、この夫婦について多くを語っていると思った。それから、ぼくが死ぬ。いかしてるね! そして、ああいう風に手紙を介して戻ってくる・・・伴侶とか 永久(とわ)の愛の概念を表す美しい着想だ。

CL:その手紙 では、あなたの役ジェリーがホリーに、カラオケに歌いに行けとか、ヴァカンスに出発しろとか、言いますね。状況は考えずに、もしもあなたが妻を失なうとし たら、そうした手紙で何を語りかけますか?

GB:もちろん、他 の奴と会うな(笑)。それと、ダンスに行くために綺麗な服や靴を買わないこと。でも、ホリーと似た所もあるだろう。この瞬間の価値を知ること、自分をもう 少し好きになること。もっと楽しむこと。ぼくは、物事をすごく深刻に捉えがちだからね。それに、状況のなすがままになってしまう。ホリーと同じく、世間の 人と同じくね。そういう人生の瞬間にすっかりだまされて、後になってこう言うんだ。「何という時間とエネルギーの無駄だ」ってね。なぜなら、しばしば何も かもうまく行くんだから。それは、物事の解釈の仕方にすぎないんだ。何事も否定的であってはならない。(彼はじっと考えてから首を振った)ま、そういうこ と。(笑)

CL:あなたは しばしば勇壮な戦士を演じています。普通の男を演じることはいかがですか?

GB:いいね! ぼ くは普通の男なんだから。ぼくの一部はジェリーと似ているからね。彼は愉快で、バカなことをするのが大好きだし、物事を軽く受け止めるけれども心優しい。 ぼくは、『オペラ座の怪人』などで演じた偶像的な人物よりもジェリーに似ている。ぼくの精神や心には彼らと共通するある特徴を持っているけれども、それは ぼくの主な特徴じゃない。もっとおかしいのは、ぼくのキャラクターが極端から極端へと移っていることだ。ミュージカル、歴史ドラマ、勇壮なアクション映画 で演じたけど、ぼくを、ぼく自身を、滑稽なのを、あるいは滑稽であろうとしているのを見て取った人はほとんどいない。(笑)ロマンティックであれ暗いので あれ、もっとコメディをやってみたい。ぼくはいろんなこと、意表をついいたりつかせたりするものをやるのが大好きだ。いつも、自分ができることをかすって いるだけなんじゃないかって気がしている。それに、最近やったことや現在やっていること、これからやってみたいことで、可能性は膨大で刺激的で、新しい。 ぼくにとってはいい時期だ。ものすごいよ。

CL:『300』 以来もっとすぐれた脚本をもらっていますか?

GB:そうだよ!  『300』の前にもうすでに状況は良くなっていたけど、それはサッカーみたいなもので、上位のリーグに上がったんだよ。6つの脚本から1つ良いのを得る代 わりに、4つ得ている。それに、あるものにノーということはとても重要だ。だって、全部はできないんだからね。

CL:どのよう に選ぶのですか?

GB:いつでも脚本 と役に戻ってくる。それから、だれと仕事をするのか、だれが監督するのか、すでにやったものと似ていないかどうか、やるのにいい時期かどうか、中休みを取 る価値があるかどうか・・・。それからいきなり気がつく、こんな風にね。「ちょっと待て、お前は素裸で、シベリアにいて、真冬だぞ。」ぼくは真冬にシベリ アで素裸でいたいとは思わないね。(笑)でも、ぼくはこういうことをもう手遅れになってから考えがちなんだ。『ニムの島』では、ぼくは映画の大半はぐしょ 濡れだ。オーストラリアでは冬で、サメがうようよしている海に飛び込み、凍り付く風に立ち向かわなくてはならなかった。死ぬと思ったよ。(笑)

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