2003年1月11日(土)「ハードキャッシュ」

RUN FOR THE MONEY(米ビデオタイトル=HARD CASH)・2002・米・1時33分

日本語字幕翻訳:手書き下、佐藤真紀/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

〈米R指定〉

http://www.artport.co.jp/
(劇場案内もあり)

偽札を買い取ってもらう話を持ち掛け、その夜、取り引き相手の屋敷に忍び込んだテイラー(クリスチャン・スレーター)は、仲間のドジで身代わりに逮捕されることに。1年後シャバに戻ったテイラーは、幼い娘メーガン(ホリストン・コールマン)の面倒を見てくれたペイジ(サラ・ドーニング)と結婚し家庭を作るため、最後の強盗を計画するが……。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
   うーん、おそろしくB級な作りなのに、なんでこんなにも有名な俳優たちがチョイ役で出ているのだろう。旧ユーゴスラビラで高い評価を得ながらあまりに政治性の高い内容から国内での製作を禁じられ、次いでアメリカで撮った「セイヴィア(Savior・1998・米)」でも高い評価を得た、プレドラッグ・アントニジェビッチ監督の名声ゆえか。この監督、4つほど名前を持っていて、英語名の一つがピーター・アントニエビッチ。残念ながら娯楽作となった本作はアメリカでは散々な結果に。IMDbでは10点満点中わずかに4.6点。うーん。確かに出演者はすごいが、メリハリがなかったかな。ストーリーも二転三転、よく練ってあるのに……。

 もちろん面白くないわけではない。面白いのに全体としてバッとしないのだ。これは惜しい。

 まず主役がクリスチャン・スレーターで、これはまあ納得。その娘メーガンは「ブレス・ザ・チャイルド(Bless The Child・2000・米独)」でキム・ベイシンガーの娘を演じたホリストン・コールマン。相手役の悪党が、まるで「処刑人(The Boondock Saints・1999・米)」のウィレム・デフォーのようなヴァル・キルマー。かなり意識しているのではないだろうか。そして、犯罪仲間の1人となる女性が「ブレード・ランナー(Blade Runner・1982・米香)」のダリル・ハンナ。このへんで驚きが始まる。まるでオール・スター・キャストじゃないかと。

 チラッとしか出ないのに重要なロールである小人のアティラ役ヴァーン・トロイアー。言わずと知れた「オースティン・パワーズ」のミニミーの人。冒頭出てくるヤクザの人も最近良く出てくる人。ああ、名前が思い出せないけどウィリアム・フォーサイスじゃなかったっけ。思いっきりの悪役顔。以前は刑事役なんかも多かったようだけれど、まあ強面ということで。

 映画はいきなり100ドル札の肖像画、ベンジャミン・フランクリンのアップから始まる。なんだか「グッドボーイズ(All about the Benjamins・2002 )」と似た臭いがしていい。系としては同じようなところを狙ったのだろう。ラスト、このベンジャミンがCGでニヤリと笑って終わる。悪くないんだけどねえ。

 奇しくも新宿の「グッドボーイズ」上映館で、その後を引き継いでの上映。初日の初回、40分前で12人ほどの行列。20代後半らしき女性4人、オヤジ6人、オバサン2人。

 35分前に開場。ちゃんと事前に「初日プレゼント」(クリスチャン・スレーター、ヴァル・キルマー、ボディガードを構えたダリル・ハンナ、奇妙なちっこい麻酔銃を構えたヴァーン・トロイアーの生写真セット)があるので忘れずにもらってくださいとのアナウンスあり。なかなか誠実で好感が持てる。その後、若い男性も増え、20分前で24人ほど。最終的に指定席なしの300席の6割が埋まったとは驚き。やはりたくさんTV・CMを打ったおかげだろうか。

 相変わらずピントは甘かった。


1つ前へ一覧へ次へ