日本語字幕翻訳:手書き下、林 完治/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS
〈米R指定〉
難破船のサルベージ専門の「北極の戦士」号のスタッフに、ジャック(デズモンド・ハーリントン)と名乗るパイロットが近付いてきて、ベーリング海峡の公海上を漂流する大型の難破船を発見したという。国際法上、打ち捨てられた船は回収した者の物となることから、「北極の戦士」号の船長マーフィー(ガブリエル・バーン)は調査に向かうことにする。ジャックの条件は、利益の20%と自分も現場に立ち会わせるということだった。そして、たどり着いた彼等が目にした物は、1962年に行方不明となったイタリアの「アントニア・グラーザ」号だった。
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スバリB級。どう見てもB。アメリカでの評価も低く、IMDbで10点満点の5.3点。話も荒唐無稽に近い……けれど、ボクは面白かった、恐いというよりも。かつて世界各国で作られたこの古典的で荒唐無稽なおとぎ話を、現代のお話として、現代の技術でリアルに作り直すとどうなるか。これがその答えだ。そして、それにずっと取り組んでいるのが、ジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスが作った製作会社「ダーク・キャッスル」なんだとか。本作は「TATARIタタリ(House on Haunted Hill・1999・米)」、「13ゴースト(Thir13en Ghosts・2001・米)」に続く第3作目なんだとか。 確かにそう思ってロバート・ゼメキスのプロデュース作品を振り返ってみると、日本劇場未公開の「デーモン・ナイト(Demon Knight・1995・米)」あたりから始まって、ニュージーランドで撮った傑作「さまよう魂たち(The Frighteners・1996・ニュージーランド/米)」と続き、リメイクの「TATARIタタリ」、自身の作品でも「ホワット・ライズ・ビニース(What Lies Beneath・2000・米)」というホラーを撮り、続いて「13ゴースト」、未公開「(Ritual・2001・米)」を挟んで本作という感じで、「さまよう……」以外はどれもちょっと……。ホラー映画お宅の側面が炸裂というところ。 本作は「さまよう……」の次に良いんではないだろうか。雰囲気的には「ザ・グリード(Deep Rising・1998・米)」に近い。ただ、単なるショック・シーンを描く舞台設定の“幽霊船”ではなく、しっかり正面から“幽霊船”を描こうとしている分、こちらのほうが一所懸命な感じがする。どちらも観客を楽しませようという気持ちは十分に感じられるから。その点だけでもお金を払う価値がある。 現実的な話から、徐々に話はエスカレートしていって、ラストはとんでもないことになっちゃう。その過程がうまい。ラストだけを取り上げたら「とんでも映画」ということになってしまうのだろうけれど。 ボクはてっきり主人公はキャプテンを演じるガブリエル・バーンだと思っていたんだけど、「ヴァイラス(Virus・1998・米)」みたいに最近の船長は頼りない。実は相棒の女性、エップスを演じたジュリアナ・マグリースが主人公。見たことないと思ったら、全米の人気TV番組「ER」で看護婦のキャロル・ハサウェイを演じていた人だとチラシにあった。 のっけにSFX使いまくりのすごいシーンがある。この設定が1962年だから、映画は往年のオールド・スタイルの書体を使ってキャストを出し、期待感たっぷりの始まり方をする。そして、そのスタイルは最後も貫かれていて、エンド・クレジットは最近の流行りであるロール(上に流れるやつ)ではなく、カードのように1枚1枚変わっていくスタイルを取る。 ダッジを演じた金髪の青年は、残酷青春感動秘話「スリーパーズ(Sleepers・1996・米)」や、最近では傑作戦争映画「ブラックホーク・ダウン(Black Hawk Down・2001・米)」に出ていたロン・エルダードという人。あとはあまり有名な人は出ていないかな。 公開2日目の初回、銀座の劇場は30分前に着いたら何とすでに20人ほどの行列。男女比はほぼ半々で、20代が4分の1ほど。やや若い女性の方が多いか。25分前に開場し、この時点で30人ほどに。 下は小学生くらいから上は白髪の老人まで。でも中心はやっぱりオヤジとオバサン。初回は全席自由らしく、カバーの掛かった10席×2列×左右と、ぴあ席6席から埋まっていった。でも2回目以降、指定席の一番端に2,500円払って座るのと、ちょっと早く行って1,800円(前売りなら1,300円)でいい席に座るのと、一体どっちが得だろう。考えてしまうなあ。 さすがにEX劇場だけあって、音はいい。音楽ががんがん鳴っていてもちゃんとセリフがクリアに聞こえる。水の音やきしむ音など、はっきり右横とか周辺とかから聞こえる。すばらしい。お金を払う価値がある。椅子もゆったりしているし。 最終的には435席に4〜4.5割の入り。まあまあというところか。 |