日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平・大田菜穂/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・SDDS
(米R指定)
中国、ギャングが暗躍する時代。子供の頃の体験から結局、強いのは悪だと信じ、一番勢力を誇る「斧頭会」の構成員になりたいと願っているチンピラ、シン(チャウ・シンチー)は相棒(ラム・ジーチョン)とともに、ゆすり、たかり、かっぱらいなどセコイ犯罪を重ねていた。そんなあるとき、「豚小屋砦」と呼ばれる大きな長屋で、「斧頭会」と名乗ってたかりをしようとしたところ、住人の強力な抵抗にあい「斧頭会」に助けを求めることになる。 |
おもしろい。笑える。ちょっと強烈なところはあるが、前作「少林サッカー」よりずっく良いと思う。しかもスカッとするし。期待していなかったけれど、見てよかった。ちゃんとカンフー映画の基本に乗っ取り、観客が見たいと思う要素を取り入れ、キチンと作っている。大げさなアクションやありえないエフェクトも、充分許せる範囲で、決して「ありえねー」なんてことはない。これくらいでないとむしろつまらない。 ほとんどチャウ・シンチー映画の集大成のような映画で、いつも描く要素は全て入っているし、チャウ・シンチー組とも言えるキャストも出演し、それらがお互いにいい影響を与えあい、おそらくは予期した以上の効果を上げている。最後は凄いヤツらで対決をやって欲しいと思っていると、ちゃんと壮絶な戦いをきっちり描いて見せてくれる。きっとチャウ・シンチーというのは、映画好きのいい人なんだと思う。なんか、ちょっとドニー・イェンに似ている感じがする。 そして凄いのは、とにかくアィディア豊富なこと。こんなにもカンフーの技にはバリエーションがあるのか、というかよくぞこんな技を考え出したものだなと。このワザの数々を見ているだけでも楽しい。確かに「ありえねー」トンデモ技なんだけど、でもひょっとしたら出来るかもしれないというギリギリのところでボクはOKだった。ここが認められないと、たぶんこの映画は楽しめない。分かれ目はここだ。キャラクターも個性豊かで愉快だが、あまりにもステレオ・タイプでカリカチュアライズされていると言えば言える。好きか嫌いか。 チャウ・シンチー映画というと、やはり基本はカンフー。しかもブルース・リー寄り。そして漫画。それも日本の漫画寄り。さらに映画好きだから、いろいろな映画へのオマージュがちりばめられている。おまけに美少女と、ありえないほどリアルなCG使いまくり。 今回のオマージュは、「七人の侍」風の曲、「マトリックス」風黒服の男達との戦い、「ハムナプトラ」風のミイラ、「シャイニング」風の湧き出る血、ハリウッド版「ゴジラ」風の建物のどでっ腹に風穴開き、「ピンポン」風チョウチョ……などなど。まっ、考えすぎということもあるし、そんなことどうでもいいと言えばいいんだけど。 今回の美少女は、口が利けない屋台のアイス売りのホアン・シェンイーというひと。本作が劇場映画デビュー作だとか。お嬢様という清楚な感じがとてもグッド。要チェックかも。ぺろぺろキャンディのエピソードには思わず涙が出そうになってしまった。 キャングが登場するので銃もちゃんと登場する。その他大勢が持っているモーゼルなどは香港伝統の電着のようだったが、画面に大きく映る銃は実銃のプロップのようだった。それらはちゃんと時代を反映し、トンプソン、ウィンチェスターM1897ショットガンなどで、効果も大変リアルで怖いほど。マズル・フラッシュはデジタル処理(飛び出る薬莢も?)のようだったが、ちゃんと手を抜かずに作っているところがいい。 公開8日目の初回、新宿の大劇場に50分前に着いたら、誰もいなかった。45分前にオバサンが1人。40分前に若い男性が1人。あれれ、あれだけTVCMやっているわりには、人が少ないかも。35分前でようやく5人。30分前に10人になったところで、開場した。寒い日だったので助かった。 関係ないが、この劇場にくっついているモスはどうなんだろう。接客がなっていない。客がカウンターにいてもなかなか応対に来ないし、何も説明せず平気で客を長時間待たせるし……モスはオーダーが入ってから作るから時間がかかるのはわかるが、何分くらいかかるとか……えーい、とにかく時間がかかりすぎては上映に間に合わないぞ。映画館と組み合わせるのは無理があるのだモスは。 15分前で30人くらい。さすがに1,064席の箱だとガラガラの印象で、ちょっと寂しい。男女比は半々で、個人的にはあまり好きではないが前作「少林サッカー」がそうだったように、やはり中心は20代。しかしこの少なさは何なんだ。前作であれだけ大騒ぎした20代の連中はどうした? ホントはつまんなかったんじゃないの? 前作が本当に面白かったなら絶対本作も見に来ているはずだ。 下は小学生くらいから、上はおじいさんおばあさんまで。5分前で50人ほど。それでも最終的には1〜1.5割ほどの入り。面白いんだけどなあ。カンフー・ファンは絶対見た方が良いと思う。 初回のみペア・シート以外、10席×4列×左右の指定席と、10席×1列×左右のぴあ席も全席自由。中高年は3割いたかなあ。 |