2005年1月9日(日)「TAXI NY」

TAXI・2004・米/仏・1時間37分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/・2.2サイズ上映(2.35シネスコサイズ・マスク)/ドルビー、dts

(米PG-13指定)

http://www.foxjapan.com/movies/taxi-ny/
(音に注意。動かしまくり)

 ニューヨークの自転車便メッセンジャー会社に勤めるスピード狂のベル(クィーン・ラティファノ)は、遂に念願かなって独立し自前の車でタクシー・ドライバーをやることになった。どこへでも最短時間で到着することが自慢の彼女は、ある日自動車の運転音痴のドジ刑事ウォッシュバーン(ジミー・ファロン)が乗り込んできて捜査の手伝いする羽目になってしまう。

70点

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 ど派手なカー・アクションとナイス・バディの3美女以外には見るべき所なし。IMDbでは3.8などという稀に見る低得点。オリジナルのフランス版ジェラルド・ピレス監督「TAXi」(Taxi・1998・仏)は主人公となる弥次喜多コンビが魅力的で、予想の付かない展開と度肝を抜くような脅威的カー・アクションでボクらを楽しませてくれたが、うーん……あんまり笑えないし。

 最悪なのが、キーとなる弥次喜多コンビのベルとウォッシュバーン。フランスのオリジナル版ではタクシー・ドライバーのサミー・ナセリと運転音痴刑事のフレデリック・ディフェンタールの2人が魅力的で、ステレオ・タイプながらドジなんだけど愛嬌があってどこか憎めないキャラクターだった。しかし本作では黒人女ドライバーのクィーン・ラティファノが肝っ玉かあさんタイプで、ルールは無視だし、わめき散らしてばかりでどうに好きになれない。そして一番の問題はあまりにバカで警察をクビになるアンディを演じるジミー・ファロン(サタデイ・ナイト・ライブ出身)。本当に最悪のキャラクター。始まってすぐに「ウザイ」と思い、途中でイラ付きもう見たくなくなってしまう。カン高い声さえもがカンに障り、絞め殺したくなるほど。たぶん、ピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンスやアダム・サンドラー(サタデイ・ナイト・ライブ出身)と並ぶ日本では受けないキャラクターのベスト3だろう。できれば今後、同じキャラクターならスクリーンでは二度と見たくない。

 ジミー・ファロンは、IMDbによるとトム・ハンクスとスティーブン・スピルバーグ提供で話題になった戦争TVドラマ「バンド・オブ・ブラザーズ」の第5話に中尉で出ていたというのでさっそくチェックしてみたらバストーニュでシープで弾薬の補給に来る将校だった。声も甲高くなく、演技も普通だったから(シリアスドラマだから当然だが)、個性が出ていないといえばそうだが、今回は演出で やり過ぎたということか。

 監督はティム・ストーリーという人で、もしカンに障るキャラクターを生み出したのが監督の演出だとしたら、次回作「ファンタスティック・フォー」はかなり心配しなければならないだろう。アイス・キューブの日本劇場未公開作品「Barebershop」(2002・米)などを撮っていて、IMDbで4,000人以上が投票して6.6点なので、うまいんだか、ヘタなんだか。

 「ファンタスティック・フォー」は「ダーク・エンジェル」の美女ジェシカ・アルバがインビジブル・ウーマンを演じるマーベル・コミック原作の実写SF。撮影中にも関わらず、「Mr.インクレディブル」のインクレディブル夫人の活躍を受けて、同様の能力を持つミスター・ファンタスティックの活躍場面を含む後半のアクション・シーン全てが大幅変更となり、さらに22億円が投入されることになったのだとか(詳しくはeiga.comの記事参照)。大丈夫なんだろうか。

 脚本は原作のリュック・ベッソン以外、2人がTVドラマのライターで、たぶん最後に手を加えた1人が「張り込み」(Steakout・1987・米)や「ヒドゥン」(The Hidden・1987・米)、「ラッシュ・アワー」(Rush Hour・1998・米)、最新作は去年アメリカで公開されベスト10に入っていた「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)の名人、ジム・コウフという人。さすがに彼でもこの脚本はハリウッド風にして面白くすることはできなかったということだろう。

 チラシやポスターに使われているピストル、デザートイーグルは出てこないで、かわりにP7やPPK/Sステンレス、M84、M4カービンなどが使われていた。女タクシー・ドライバーはP230を使い、バカ刑事はS&WのM659のようなオートマチック。バカだからか何度もスライドを引いて弾をこぼしていた。もうわけがわからない。

 主人公の母親役で往年の美女スター、アン・マーグレットが出ていた。でもこの映画ではどうでもいいかって感じ。

 ラストのクレジットにはNG集があったものの、本編のできが良くないと当然NG集も面白くない。

 公開2日目の初回、公開劇場を見て見ると、あまり力の入っていない作品だという気がする。どの劇場も正直言って辛い。比較的まともな新宿の劇場は、驚いたことに45分前についたら7人が並んでいた。オヤジが6人のオバサン1人。

 それが40分前には15人になり、なんと30分前には50人くらいになってしまった。なんでこんなに人気が? 若いカップルも2〜3組、20代は2割くらいいただろうか。これはリュック・ベッソンの人気か。それともフランス版「TAXi」(TaXi・1998・仏)の1作目がおもしろく、2作目もまあまあで、3作目はコケたけど、ハリウッド版は面白いかもという期待?

 20分前になってやっと開場。ここの劇場はいつもそう。期待するだけ無駄。ただ外に並ばなくて済むだけありがたいが、足腰の弱い人、高齢者には、階段に並ぶのは辛いと思う。特に60〜70人の列となると上り下りはかなりしんどい。今回のように中高年がメインの場合はなおのこと。諦めて列に並ばず上で待っていた人もいた。

 床がフラットでどこに座ってもスクリーンが見にくいというこの劇場は、スクリーンまでが遠いから、あるいは最前列がゆったり座れていいのかもしれない。とにかく、ここは混むと最悪。最近は字幕がスクリーン下に出るから、まず字幕が読めない。今回は最終的に指定席なしの(あったら怒るけど)272席に、なんと予想外の9.5割の入り。ほぼ満席状態。この劇場で! 本当に久しぶりに観た。ここが満席なんて。いまどき禁煙の赤いランプが消えないなんて。

 男女比は8対2で圧倒的に男性が多く、8割が中高年。設備もよくなければ、上映品質もよくない。中央がピンボケ。映写技師は画面を確認しないらしく、ずっと最後まで真ん中はピンボケのまま。映写技師がちょっと見ればわかることなのに。しかも初回からというのでは……。プライドもないし、お金を取る資格もないのでは? ホント腹が立った。


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