2005年3月5日(土)「アナコンダ2」

ANACONDAS:The Hunt for the Blood Orchid・2004・米・1時間36分(IMDbでは97分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、ARRI)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.sonypictures.jp/movies/anacondas/site/index.html
(全国劇場案内もあり)

ニューヨークのある研究所のチームは、インドネシアのボルネオのジャングルに7年に1度、半年だけ咲くという不死の蘭といわれる幻の花を老化防止薬の臨床実験に使うため、採取に出かけることを決定する。しかし現地に着いてみると雨季で、ジャングルをさかのぼるための船を持つ船長は誰も危険だからと船を出してくれない。あと3週間すれば乾季になるが、花はあと2週間しか咲いていない。そこでチームは唯一、船を出しても良いという借金に追われる男、ジョンソン(ジョニー・メスナー)の法外な5万ドルという要求をのむことにする。しかし目指す場所は大蛇アナコンダが生息する地域だった。

70点

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 うーん、いいシーンもたくさんあるのに、見終わった後の印象が薄い。意外に主役(?)であるはずのアナコンダがあまり出てこない。いわば「JAWS/ジョーズ」(JAWS・1975・米)の前半部分がずっと続き、あまり出てこないまま終わる感じ。もう第1作であれだけアナコンダが登場しているのだから、2作めは少なくともそれを踏まえたものになっていてもらわないと、作る意味がないと思うのだが……。おそらくCGやアニマトロニクスに割ける予算がなかったということなのだろう。だから見せ場が少なくて、前作よりスケール・ダウンした感じになってしまったと。

 演出とか演技とかストーリーとか、特に悪いわけではないと思う。ただアナコンダが足りないだけ。本作は原題が複数形で「アナコンダス」なのに、やられてもまた次に出てくるだけで、一度にドドッと出てくるわけではない。出てきても穴の底の方でうごめいているだけ。これはちょっと辛い。

 そしてB級ティストなのが主人公。だいたい設定自体がステレオタイプで思いっきりB級なのだ。だって、船長で、もと特殊部隊員かなんかで、Tシャツ一枚で現れて、無愛想で自信家で無精ヒゲで……絵に描いたようなB級映画の主人公ではないか。演じているのはジョニー・メスナーという人で、彼には悪いが彼の雰囲気もまたいかにもB級というイメージなのだ。1998年からTVに出ていて、主な出演作にはブルース・ウィリスが主演したアクション映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(Tears of the Sun・2003・米)、同じくブルース・ウィリスが主演したアクション・コメディ「隣のヒットマンズ 全弾発射」(The Whole Ten Yards・2004・米)というところ。

 印象に残った、若くて美しく、しかし気安く男を寄せ付けない科学者のヒロイン、サムを演じたのはカディ・ストリックランド。ついこの前「HE JUON呪怨」(The Grudge・2004・日/米/独)で、とばっちりをうけて殺されたスーザンを演じていた人。

 あとの出演者はほとんど印象に残らなかった。決して悪くはないのに……。ライフルもちらりと出てきたが、あとあと利いてくるのはパイソンの4インチ。わざわざ大蛇の名前がついた銃を選んだのだろうか。

 監督はドワイト・リトルという人。劇場映画では「フリー・ウィリー2」(Free Willy 2: The Adventure Home・1995・仏/米)、ブランドン・リー主演のアクション「ラピッド・ファイヤー」、スティープン・セガールの「死の標的」(Marked for Death・1990・米)などがあるが、最近はほとんどTV界で活躍している。「ミレニアム」とか「Xファイル」「プラクティス」なんかを手がけている。うまいんだと思うが、やっぱり予算なんだろうなあ。

 特に良かったシーンは一行が川の中を歩いて進んでいると、足もとの水の中をアナコンダがゆっくりと並走していくところ。だれも気付かず、俯瞰のカメラだけがそれをとらえるのだ。これは怖い。しかも本当に水中を泳いでいるように見える。

 それとタイトル。水平の線と垂直の線が地図の上を動いて座標のようになり、地図とダブり、しかも実写ともダブり、名前が出てくるという凝ったもの。デザインを手がけたのはアニマル・ロジックという「ベイブ/都会へ行く」(Babe: Pig in the City・1998・豪/米)などを手がけたオーストラリアの特殊効果会社。さすが、うまい。センスが良いよなあ。

 公開初日の3回目、新宿の劇場は30分前に着いたらロビーに男性ばかり7人ほど。全員が初老という感じの男性。うむむ、昔はこういうちょっとゲテモノ系は若い人が見にきたものだが……ひょっとしたらその若い人達がそのままゲテ系を見続けて今に至っているということか?

 10分前に入れ替えとなり、清掃後の入場になるとちゃんと案内があった。この時点で20人ちょっと。最終的には300席に50人ほどの入り。中高年のカップルも着たので、かろうじて女性も数人。

 予告では「13金」パターンのホラー「キャビン・フィーバー」と、凶悪な殺人者の死刑囚を凶暴性を押さえる新薬の実験で使うという「コントロール」というのが面白そうだった。ただ、ピンが甘いのはイカンなあ。映画館は上映のプロなんだから。


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