2005年3月6日(日)「レクイエム」

WAKE OF DEATH・2004・米・1時間30分

日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

(米R指定、日R-15指定)

http://www.action-movie.jp/requiem/
(全国劇場案内もあり)

中国マフィアのボスの娘キム(ヴァレリー・ティアン)は、母が父であるボス(サイモン・ヤム)クアンに殺されるところを目撃し、難民船に紛れてアメリカへ逃げる。たまたま入国管理事務所の仕事をしていたシンシア(リサ・キング)は、幼いキムが不法入国で処分が決まるまで留置所に入れられるのはかわいそうだと自宅につれて帰る。しかし、中国から娘を追ってきたクアンはシンシアを惨殺し、キムと一緒にシンシアの息子ニコラ(ピエール・マライス)まで連れ去ってしまう。それを知ったクラブの用心棒を務める父であり夫のベン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)はすぐに後を追う。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 いかにもB級の作りのB級映画。観客に受けるだろうと考えた不要なサービス・シーンや、掘り下げの浅い人間ドラマ、そしてあんなにハンサムだったのになんだか猿みたいな顔になってきたジャン=クロード・ヴァン・ダムのしかめっ面が、映画を台無しにしている気がした。プログラム・ピクチャーのような感じムンムン。もうジャン=クロード・ヴァン・ダムはダメかも。

 メインとなるアクションもヴァン・ダム本人がどこまで演じているのか……。フランスからハリウッドへ進出して、ちょっと成功したらスキャンダルを起こしてという絵に描いたようなパターン。悲しい。それでも、本作はヴァン・ダムが出演を承諾したことで予算規模が大きくなり、企画がスムーズに動き出したらしい。ふーん、そうなのかなあ。

 さらに、アメリカは近年撮影の規制が多くなったため(夜何時以降は発砲しちゃダメとか、何時以降の撮影は禁止とか)、LAと似た風景のある外国で撮影しているという。たいていはカナダで撮影されることが多いのが、過激なカー・スタントが多いことから、なんと南アで撮影されたという。

 でも、そこまでやって、これかよ、という感じはするが。

 いいのは、憎たらしい中国マフィアのボスを演じたサイモン・ヤム。つい最近、千葉真一の「爆裂都市」(Explosive City・2004・香)で警察の管理官を好演していた人。ほかにも反町隆史が殺し屋を演じたアンディー・ラウの「フルタイム・キラー」(Fulltime Killer・2001・香)や「トゥーム・レーダー2」(Lala Croft Tomb Raider: The Cradle of Life・2003・米)にも出ていた。

 監督はフィリップ・マルチネスという人で、マルセイユの劇場主から身を起こしたらしい。その後プロデューサーになり、たくさんの映画を手がけてきたものの、ほとんど日本公開はされていない。監督としては2作目になるのだとか。この出来でも、本人がプロデューサーなんだからこの先も作品を作ることは出来るんだろうな、お金さえあれば。

 定番のM92Fに混じって、チラッとでよくわからなかったが、イングラムに似た珍しいサブマシンガンが出ていた。たぶん南アで撮影したとすれば、南アの銃だろうからBXP MK9の可能性が高い。そしてボスのクワンが持っていた丸みを帯びたVP70風のピストルも、南アということを考えるとベクター・モデルCP1だったかもしれない。

 ヴァン・ダムが復讐で使う二挺拳銃は、ハイパワーのカスタム。南アは射撃も盛んらしいから、こういうカスタムも多数存在するのだろう。ひょっとするとM92Fも実際には南アで作られているベクター・モデルZ88だったかもしれない。でもDVDが発売されても確認するのは難しいだろうなあ。

 公開2日目の初回、銀座の劇場に40分前に着いたら、誰もおらず明かりさえついていなかった。そんなに早朝でもない、むしろ昼に近い11時10分からだってのに。3館共通のボックス・オフィスもシャッターがおりていた。

 30分前になってやっとボックス・オフィスが開き、並んで待つように案内があった。この冬屈指の寒い日で、7〜8人の高齢者男性がならんだ。そして「こんな寒い日に早くから来ている客は大事にしろよ」とつぶやいているオヤジがいたが、まったくそのとおり。早く入れてくれればいいのに。

 15分前にやっと明かりがつき、すぐ開場。3館あるうち一番大きな、指定席なしの177席の劇場での上映。開けたばかりで暖房も入っておらず、場内も寒い。この時点で30人弱。20〜30代が2〜3人。オバサンを含めた女性も2〜3人。

 スクリーンはカーテンなく最初からビスタで開いている。最終的には50人くらいの入り。これはこの作品なら良い方かも。場内は暖房が入らず、最後まで寒いまま。あまりに寒くて(内容も)、途中でジャンパーを着るほどだった。


1つ前へ一覧へ次へ