2005年9月4日(日)「Be Cool」

BE COOL・2005・米・2時間00分(IMDbでは118分)

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.foxjapan.com/movies/becool/
(入ったら音に注意。劇場リストのリンクが?)

映画プロデューサーのチリ・パーマー(ジョン・トラボルタ)は、友人のインディ・レーベル“NTL”の音楽プロデューサー、トミー(ジェームズ・ウッズ)から、オレの物語を映画にしないかと持ちかけられる。若い女性シンガーを掘り出し、スターとして育て上げる話をだと。ところがトミーは目の前でロシア・マフィアに射殺されてしまう。ひとり残されたトミーの妻、イーディ(ユマ・サーマン)の仕事を手伝うことにしたチリ・パーマーは、才能ある若い女性シンガー、リンダ(クリスティーナ・ミリアン)を発見し、NTLからデビューさせようとする。しかし、リンダは酒場の歌手レベルとか考えていないニック(ハーベイ・カイテル)のレーベルと契約しており、あと5年の契約が残っていた。

74点

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 面白い。ヤクザの切ったはったの世界(この映画によれば、アメリカのレコード業界はみんなマフィアらしい)なのに、暴力もたっぷりあってウンザリするほどなのに、汚い言葉、裏切りダマシが満載なのに、笑えるし、見終わって面白かったねと言える雰囲気。まあこれがハリウッドということなんだろう。それにこれを真剣に描いたら、音楽業界から圧力がかかって映画化できなかっただろう。J.ローはリミックスの賜物だ、なんて断言しているし。

 ちょっと「ハリウッド的殺人事件」(Hollywood Homicide・2003・米)でチラリと描かれた音楽業界と似ているので、本当にこんなヤクザな世界なのかもしれない。お話としては、ダニー・デビートがプロデュースし、バリー・ゾネンフェルドが監督した「ゲット・ショーティ」(Get Shorty・1995・米)の続編になるのだとか。そのパロディーもある。

 それにしても、この豪華なキャストは素晴らしい。これは自らチョイ役で出演もしているプロデューサーが、ダニー・デビートだからで、監督が「交渉人」(The Negotiator・1998・米)や「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米)のF・ゲイリー・グレイだからかもしれない。

 主演が「閉ざされた森」(The Basic・2003・米)のジョン・トラボルタ、その相手役に「キル・ビル」(Kill Bill・2003・米)のユマ・サーマン(本人はウマと呼んでくれていっているらしい)、チョイ役で最近映画が少ない「ジョンQ」(John Q・2002・米)のジェームズ・ウッズが出てきて、ライバルは「レザボアドッグス」(Reservoir Dogs・1991・米)のハーベイ・カイテル。その部下でポン引きの格好をわざわざしているラジに「ザ・セル」(The Cell・2000・米)のビンス・ボーン。そのボディーガードで、実はゲイのサモア人エリオットを「ライルド・タウン 英雄伝説」(Walking Tall・2004・米)のあの硬派のザ・ロックが如何にもといった感じで演じている。そして、何よりビックリしたのは、エアロスミスのスティーブン・タイラーが本人役で出ていたこと。結構セリフは自然だった、というより何より、ステージ・シーンが抜群。めちゃくちゃ盛り上がる。

 さすがに、どの人もみんなうまい。そして、エンディング・クレジットで出るように、みんな踊って、ノリノリ。楽しんで撮影できたようだ。それが伝わってくる。

 ちゃんと笑えるギャグもたっぷり。明らかにカツラとわかるウィグを載せているロシアのマフィア。これが銃を撃つと反動でズレるのだ。チリ・パーマーは常にクールで、銃で狙われてもビビらないし。とんでもない強運の持ち主。銃撃でベンツが台無しになり、その代車が極端に小さなハイブリッド・キャデラック……とか、ほかにもたくさんあるが、それらはぜひ劇場で楽しんで欲しい。

 コメディでも銃はなかなか凝っている。すぐに銃を出してくる黒人プロデューサー、シンはジュエリング(エンジン・ターン)加工したタウルス・リボルバー。その手下は珍しいVP70なんてものを持っていたりする。一方ロシア・マフィアはSIG P226だったりコンペンセーター付きガバメント・カスタムだったり。他にもS&Wのオートマチックだとか、ベレッタM8045クーガーなどが出てくる。

 公開2日目の2回目、新宿の劇場は60分前に入ったらロビーに誰もいない。ロビーは少し暑く、眠かったので、先に場内に入って隅っこの席で仮眠をとることに。

 15分前に入れ替え。指定席なしの場内は、この時点で50人くらい。男女比は5.5対4.5くらいで、やや男が多い感じ。20代はカップルが多く、老若比は7対3で中高年が多い。左右に開くカーテンがあり、指定席はなし。外人さんがそれぞれ別々に男性2人、女性1人、日本人と一緒に来ていた。

 最終的には350席に3.5割ほどの入り。もっと入っても良い映画だと思うけど。ただ、ドリンクの自動販売機は補充したばかりだったのか、ジンジャーエールがまったく冷えていなくてまずかった。やっぱりボクはカナダドライよりウィルキンソンの方が好きだなあ、あんまり見かけないけど。


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