2005年9月17日(土)「チャーリーとチョコレート工場」

CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY・2005・米/英/豪・1時間55分

日本語字幕:手書き風書体下、瀧ノ島ノルカ/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG指定)
IMAX版と日本語吹替版もあり

http://charlie-chocolate.warnerbros.jp/
(入ったら音に注意。全国劇場案内もあり。重い)

うまいチョコレートを作ることで知られたウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)はやがて大きな工場を建て、世界中に出荷するようになるが、工場に産業スパイが紛れ込んでいたことから、人間不信になり工場を閉鎖してしまった。しばらくしてウィリーは従業員なしで工場を再開、ウォンカ・チョコレートはたちまち世界的ヒットとなった。そんなとき、ウィリーはウォンカ・チョコレートを買って中にゴールデン・チケットが入っていたら、全世界から5人の子供に工場に招待すると発表。工場のすぐ近くで傾いた家に住んでいる貧しいチャーリー少年(フレディー・ハイモア)も最後の1枚のゴールデン・チケットを引き当て、工場見学できるようになるが。

74点

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 まさにファンタジー。奇想天外で冒険いっぱいの完璧なおとぎ話。教訓も夢もたくさん詰まっている。大人が見ても面白い。ただ、ちょっとチャーリー少年の印象が薄かったような気がするのが残念。工場に入るまでは彼にスポットが当たっているのに、工場に入ってからは、それぞれ良くない子を象徴するキャラクター、TVゲームばかりしている暴力的な子のマイク・ティービー、お金持ちの両親がわがまま放題に育てたベルーカ・ソルト、母親の影響で何でも一番にならないと気が済まないバイオレット・ボーレガード、母親が甘やかし食べてばかりで肥満になったオーガスタ・グループ(演じたフィリップ・ウィーグラッツ君はボディー・スーツを身に付けて演技したらしい)の4人を、それぞれにぴったりの方法で罰する方にばかり神経がいってしまって、主人公は存在感なし。彼がイヤな子ばかりだけど彼らを一生懸命助けようとするとかしてくれないと、ラストであまり盛り上がらない。

 とうのも、主人公のチャーリーも、完璧にゴールデン・カードを引き当てたとは言いがたいからだ。2回チョコを買って、いずれも外れている。最後に、たまたま拾ったお金でチョコを買ったら当たったわけで、これは日本的に言うとくすねたのと一緒。拾ったお金は、それで困っている人がいるかもしれないのだから、やっぱりケーサツに届けなきゃ。特に主人公は、正直で、おじいちゃんにサーとつけるような、礼儀正しく優しい子のはずなのだから。せめて、ラストで特別賞をもらうときに、「ボクにはその資格はありません。だって拾ったお金を黙って使ってチョコを買ったんです」とか打ち明けてくれれば良かったのに。こういう寓話では必要なことなのではないだろうか。

 しかし、そうはいいながらも、もしこんな夢のような工場があったら、本当に見学してみたいと、誰もが思うに違いない。それほど工場内は奇想天外で楽しさと驚きに満ちている。このビジュアル化こそ映画だ。映像の力。色もお菓子だけあって原色系でカラフルできれい。ただ、ただ圧倒される。

 そしてこれまた奇想天外な歌と音楽。ミュージカルのようのウンパ・ルンパ族(ディープ・ロイ)の群舞は秀逸。ホント夢の世界。ちょっと毒はあるが、別世界が堪能できる。この人、アフリカのケニア生まれで、ティム・バートン作品には「ビッグ・フィッシュ」(Big Fish・2003・米)や「猿の惑星」(Planet of the Apes・2001・米)、これから公開される「コープス・ブライド」など良く出ている。

 特に素晴らしいのがジョニー・デップ。少年のピュアな心を持ったまま大人になってしまったような奇妙な人物を。実に自然に、しかも本当にこんな人がいそうな感じで演じている。ありえない人物なのに、無理が感じられない。これが演技力だろう。

 もちろんチャーリー少年を演じたフレディー・ハイモアはけなげでかわいく良いのだが、共演していたジョーおじいちゃん役の76歳のデイビッド・ケリーがよかった。こんなおじいちゃんがいたら楽しいだろうなあと。

 たぶんティム・バートン監督の意図なのだと思うが、ほとんどの出演者の皮膚は、メイクとデジタル処理によりのっぺりとされている。ほとんどシワがない。おとぎ話ということもあるのだろうが、見方を変えると、やっぱり人形アニメが好きなのかなと。

 公開8日目の初回、65分前に着いたら銀座の劇場は20人くらいの行列。女性のほうが多く、男性は1/3くらい。年齢層は、字幕版なのに小学生くらいの女の子が1人いたものの、だいたいは20〜30代が中心。中高年は1/3くらい。

 50分前になって行列が50人くらいになったので開場。これは嬉しい。初回のみ2階席も自由で、後方の1列11席だけぴあ席のカバーが掛かっていたがこれも自由。30分前には2F席189席の6割くらいが埋まった。

 その後、小学1年生くらいの女の子を連れた父親も来たが、字幕版で良いのだろうか。

 10分前で2F席はほぼ満席。1F席はレディース・シートが2列あったものの3割ほどの入り。2週目にしては好成績ではないだろうか。

 予告で「大停電の夜に」にやっと映像が付いた。フジテレビ&ワーナーの宮部みゆき原作のアニメ「ブレイブ・ストーリー」は絵なし予告。実写版かと思った。


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