Charlotte's Web


2006年12月24日(日)「シャーロットのおくりもの」

CHARLOTTE'S WEB・2006・米・1時間37分

日本語字幕:丸ゴシック体下、桜井裕子/ビスタ・サイズ(1.85)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米G指定)(日本語吹替版もあり)

http://www.charlotte-movie.jp/site/index.php
(入ったら音に注意)


春。アメリカ、メイン州のある農家のブタに11匹の子供が産まれた。しかし母ブタには10個のおっぱいしかなく、1番小さな子ブタが間引かれそうになった。そのとき農家の長女のファーン(ダコタ・ファニング)が、自分が育てるから殺さないでと父親に頼む。ウィルバーと名付けられた子ブタはやがて大きくなってきたため、向かいのザッカーマン農場に預けられることになった。ザッカーマンの納屋には、ヒツジ、馬、ガチョウ、そしてネズミたちが一緒に住んでおり、彼らと仲良くなったウィルバーは、やがて皆から気味悪がられているクモのシャーロットと友達になる。

74点

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 優しい映画。クリスマスや年末年始に見るには、このシーズ中、最も適した映画のような気がする。その優しさに感動して、ちょっと涙が……。特にすごいことが起きるわけではなく、ストーリー的には地味だし、原作はあるにしてもアイディアはどうみても「ベイブ」(Babe・1995・豪)から来ているとしか思えない。でも感動する。面白い。

 とにかく子ブタがかわいい。そして、実物とCGやアニマトロニクスを駆使した動作も本当に動物がやりそうで(でもできないものなのだが)、観客が感情移入しやすい。動物たちに声を当てている声優たちの雰囲気もピッタリで、感情を動かされる。人間の子役、ダニタ・ファニングもめちゃくちゃキュート。

 ただ、それは「レーシング・ストライプ」(Racing Stripes・2004・米)と似たようなパターンで、新鮮味はない。ほかの動物たちが主人公を応援するパターンで、汚れ役の金蝿に相当するのがネズミだし。

 違うのは、主人公の一番の友達がクモで、クモはみんなから気味悪がられているという点。そのクモがクモの巣に文字を編んで見せるのも、英単語では今ひとつピンと来ない。

 それでも感動する。描かれていることが、友情だとか、思いやりだとか、優しさだとか、真実だからだろう。手段は関係ないと。気になったのは、主人公の子ブタと一緒に生まれたほかの10匹はどうなったのかということ。ハムにされたのか、大きくなって食用にされたのか……。ファンタジーでは考えちゃいけないことなんだろうけど。

 演出力なのか、最後には不気味なクモのシャーロットが、とても優しく見えてくるから不思議だ。

 豪華な声の出演は、クモのシャーロットにオスカー女優のジュリア・ロバーツ。お母さんのような優しい声が素晴らしい。不潔で嫌われ者のネズミのテンプルトンに「ファーゴ」(Fargo・1996・英/米)のスティーブ・ブシェミ。クモが大嫌いな馬のアイクに、アカデミー監督賞も受賞した名優ロバート・レッドフォード。豪快な牛のビッツィーに、ベテランのアカデミー賞女優キャシー・ベイツ。その友人の牛ベッツィーに、大ミミズ映画「トレマーズ」(Tremors・1990・米)でたぶん銃好き夫婦の妻を演じていたレバ・マッケンタイア。陽気なガチョウのゴリーは、サミュエル・L・ジャクソンかと思ったら、音楽業界の裏側を描いた「Be Cool/ビー・クール」(Be Cool・2005・米)のセドリック・ジ・エンターテイナー。その奥さんガチョウのグッシーに「カラー・パーブル」(The Color Purple・1985・米)のオプラ・ウィンフリー。愉快な羊たちのリーダー、サミュエルに、「007/ダイ・アナザー・デイ」(Die Another Day・2002・英/米)の武器係Qのジョン・クリース。頭の悪いギャング・カラスのブルックスに、「トゥームストーン」(Tombstone・1993・米)でクラントン兄弟の1人を演じたトーマス・ヘイデン・チャーチ。その相棒のカラス、エルウィンに「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」(Four Brothers・2005・米)で裏切り者を演じたアンドレ・ベンジャミン。主人公の子ブタ、ウィルバーに、まさにピッタリの声だったドミニック・スコット・ケイ君10歳。すでに待機作も含めて20本近い作品に出ているというからスゴイ。デビュー作はトム・クルーズの「マイノリティ・リポート」(Minority Report・2002・米)だとか。

 出演者ではダコタ・ファニングの優しいお父さん役にケビン・アンダーソン。どこかで見たなあと思ったら、「ライジング・サン」(Rising Sun・1993・米)に出ていたとか。また、子供が動物としゃべるといって相談に来る母に、そういうこともあるでしょうと寛大な診断を下すドリアン医師に、ロイド・ブリッジスの息子でジェフ・ブリッジスの兄「恋のゆくえ/ファビラス・ベイカー・ボーイズ」(The Fabulous Baker Boys・1989・米)のボー・ブリッジス。

 監督はゲイリー・ウィニック。プローデューサーとしての作品のほうが多く、監督作品はほとんど日本で公開されていない。今後期待かもしれない。

 公開2日目の字幕版の1回目、銀座の劇場は全席指定で、午前中に確保しておいて、30分ほど前に着いたら、既に開場していた。全席指定なので、みな安心しているのか来るのが遅い。多くの人が予告が始まってからゾロゾロやってくる。いかんなあ。上映が始まってから入ってくる人も数人いた。

 最終的には654席の6割ほどが埋まった。17席×2列のプレミアム・シートにも6人ほど。若いカップルが目立っていたものの、男女比は3.5対6.5という感じて女性のほうが多かった。

 アニメの予告が数本あった後、「スパイダーマン3」の新予告。やっと内容がわかるものになってきた。おもしろそう。なんとプラピと役所広司が共演するという「バベル」も興味津々。予告だけでは何だか良くわからないが、とにかくすごそう。「ナイト・ミュージアム」はなぜか古い予告に逆戻り。どうしたんだろ。またマーベルのコミックの実写化、ニコラス・ケイジの「ゴースト・ライダー」は素晴らし強いビジュアル。これも見たい。

 完全に暗くなってからスクリーンにスピルバーグが現われ、日本語を交えながら紹介したのが、マイケル・ベイ監督の「トランスフォーマー」。ついに内容のわかる新予告。スゴイ絵。こういうのこそマイケル・ベイに向いているのだろう。イケるかも。ケイト・ウィンスレットとキャメロン・ディアスが人生を入れ替えてしまう「運命のホリデイ」も、予告は面白そう。


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