Invisible Man II


2007年1月6日(土)「インビジブル2」

HOLLOW MAN II・2006・米・1時間31分

日本語字幕:丸ゴシック体下、加藤リツ子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル

(米R指定)

http://www.sonypictures.jp/movies/hollowman2/index.html
(入ったら音に注意。劇場案内もあり)


あるパーティーの席上、泥酔した客が1人、何者かにトイレで首を切られて斬殺される。シアトル市警のフランク・ターナー刑事(ピーター・ファシネリ)とリサ・マルティネス刑事(サラ・ディーキンス)は被害者の携帯からメモリー・カードが無くなっていることに気付くが、そこへ軍の特殊部隊が現われ、事件は軍が扱うと宣言される。署に戻ったフランクとリサの2人は、死亡したパーティ客の男が勤めていた研究所を解雇された女性博士マギー・ダルトン(ローラ・リーガン)の身辺警護を命じられるが……。

70点

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 アメリカでは劇場公開されず、DVD発売となった作品。明らかに低予算とわかる作りは悲しいほど。ただ、意外とツボは押さえていて、音で脅かすことも少ないのに怖い。この部分は評価できる。

 低予算なので、当然、高価な3D-CGによるSFXは使えない。だから前作で縦横無尽に駆使されていた驚異的なビジュアルを期待すると、かなり失望することになる。確かに前作の監督、ポール・バーホーベンは製作総指揮として加わってはいるが、前作で開発した技術を使って安く作ろうというコンセプトでスターとしているのではないだろうか。

 ほとんど透明人間は出てこない。というかもともと見えないのだから当然だが、ドアが勝手に開いたり、足跡がついたり、足音がしたりというのがメイン。かろうじて雨の中での戦いのシーンが全身がわかるくらいで、後はいないも同然。ただそれをその場にいるように演出することで、逆に怖さが増したような気はする。唯一の有名スターであるクリスチャン・スレーターが登場するのは2シーンほどで、後は声の出演。それさえも少ない。

 特殊部隊の男という設定で、殺しなどはお手の物。その技術で包囲網をくぐり抜け、殺戮を重ねていくのはよくある設定だが、うまくできている。いただけないのは、シンプルにしようとして、殺戮の原因や犯人の悩みというか内面をほとんど全く描いていないこと。感情のないモンスターと一緒の扱いなのだ。だから同情できないし、ドラマにのめり込めない。なぜ緩和剤という死を止める薬だけを追わないで人を片っ端から殺していくのか、まったく理解できない。

 斬殺シーンとHなシーンは、ウケ狙いで入れたようなようなところがアリアリ。必要のない殺し、ストーリーと何の脈絡もないHシーン……悲しい。ただ、そんな条件の中で、監督はよくがんばったのではないかと。

 監督はクラウディオ・ファエという人。どうもスイスの人らしいが、日本公開された作品は「エル・コロナド 秘境の神殿」(Coronado・2003・独、米)のみ。それさえも、いつ、どこで公開されたものやら……。IMDbでは4.4点という低得点。うむむ。低予算での頑張りを考えれば、次作に期待したい。

 男の刑事役はピーター・ファシネリで、ザ・ロックが主演した「スコーピオン・キング」(The Scorpion King・2002・米)や、ジェームズ・スペイダーが出たSF「スーパーノヴァ」(Supernova・2000・米)に出ていた人。本作では刑事役としてフル・サイズのグロック、たぶんG17を使っている。

 相棒の女刑事はサラ・ディーキンス。あまり印象を残さないうちにいなくなってしまうが、なかなかの美人で、ほとんどTVを中心に活躍している人。映画ではクリスチャン・スレーターが主演した「アローン・イン・ザ・ダーク」(Alone in the Dark・2005・加ほか)に出ていたらしいが……。本作で使っているのはサブ・コンパクトのグロック、G26あたりか。

 女博士は、いかにも頼りなげで可憐な感じのローラ・リーガン。どこかで見たような気はするのだが、ほとんどTVで活躍していた人。調べて見たらM・ナイト・シャマランの「アンブレイカブル」(Unbreakable・2000・米)で主人公の妻の若い頃を演じていたらしい。

 軍の指揮官のビショップ大佐は、当たり前だがベレッタM92。特殊部隊はM4カービン。彼らが使うスタン・グレネードが、かなり小型で驚いた。本当にこんなに小さいのがあるのだろうか。女博士が自宅で使っていたPCは液晶のMacだった。

 タイトルの文字は、浮かんできては消えるという演出で、なかなか雰囲気がある。デザインしたのはロドリゴ・ドルシュという人で、初の仕事らしい。今後注目かもしれない。

 公開2週間目の1回目、新宿の劇場は午前中の1回目は別の作品で、その後からの公開。30分前に付いたら誰もいなかった。10分前に入れ替えとなって、その時点で6人ほど。最終的には272席に17〜18人。すくねー。さみしー。おかげで見やすかったけどる。ほぼ全員男性。老若比は半々くらい。

 それにしても、新宿トーアで上映するというから前売りを買ったのに、系列のワーストの劇場になるとは……。銀座は条件が悪いけど……。ガラガラだったからよしとするか。

 気になった予告編は、ビラピと役所広司が共演した「バベル」が新バージョンに。ゼロ戦が出てきて、特攻の話らしい日本映画はタイトルが不明。そんな予告、効果があるのか。まあ覚えていたから効果はあるか。「ケータイ刑事」はどうなんだろう、トミーとマツが出るらしいけど。コテコテというがグタグダというか。そしてTVドラマみたいな感じの邦画「ディア・フレンズ」、新しい解釈なのかもしれないが初上映でブーイングが出たという「マリー・アントワネット」、などいかがなものか。評判の良いらしい「ドリーム・ガールズ」には、久々のエディー・マーフィーが登場。ほとんど歳を取った感じがしないのは、特殊メイクなのか、そういう体質なのか、とにかく凄い。「ジュマンジ」みたいな「ナイト・ミュージアム」は一度新しいバージョンになったのに、また古いバージョンでの予告。公開が延びたのだろうか。公式サイトでも新バージョンを流しているのに……。もう飽きた。


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