Luckey Number Slevin


2007年1月13日(土)「ラッキーナンバー7」

LUCKY NUMBER SLEVIN・2006・独/米・1時間51分(IMDbでは109分)

日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision、3パーフォレーション)/ドルビーデジタル(IMDbではdtsとSDDSも)

(独16指定、米R指定、日R-15指定)

http://www.lucky-movie.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)


スレヴン(ジョシュ・ハートネット)は突然失業し、そのまま恋人の家に行くと、まさに浮気の真っ最中。友人を頼ってニューヨークへ行くが、途中で暴漢に襲われ負傷した上、身分証明書と財布を奪われてしまう。友人宅は留守だったが、鍵のありかを知っているので中に入ってシャワーを浴びていると、ギャングが現われ友人と間違われボスのところに連れて行かれてしまう。

85点

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 うわー、まいった。ツボにはまって、たっぷり堪能した。おもしろい。すぐにもコレクターズ・エディションのDVDが欲しい。

 タイトルからして、文字が空港の掲示板のようにパタパタとめくれながら、数字からアルファベットに変わって行くというシャレたデザインで、魅せられた。手がけたのは1741というプロダクションで、クリエーターはエリック・スミスという人。これまでに手がけた作品は、クレジットはされていないが「スポーン」(Spawn・1997・米)、「トルーマン・ショー」(The Truman Show・1998・米)、「マスク・オブ・ゾロ」(The Mask of Zorro・1998・米)、「ベティ・サイズモア」(Nurse Betty・2000・米)、そしてクレジットされたものに「プルーフ・オブ・ライフ」(Proof of Life・2000・米)などがある。最近はメジャーな作品に恵まれなかったようだが、本作で再び注目を浴びたのではないだろうか。

 そして、オープニング。いきなりショッキングな殺人シーンから始まる。しかもかなりリアル。「オーシャンズ11」(Oceans Eleven・2001・米)とか「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米)のようなちょっと軽めのものを予想していて、度肝を抜かれた。凄い暴力表現。銃声もまがまがしい。

 わけのわからない、しかし興味深い断片を重ねていって、やがてそれが次々とつながっていくという、サスペンスものによくあるパターンなのだが、とにかく見せ方がうまい。引き込まれる度合いと、訳がわからず突き放される感じのバランスが絶妙。はたしてカンザスシティ・シャッフルとは……。

 しかも、強烈な暴力だけでなく、会話の面白さ、しゃれたギャグの入れ方も完璧なさじ加減。おちゃらけにならず、かといって暗いシリアスものでもない、けれど真剣勝負、というような感じ。美術も良い。空港のロビーのようなところは、真っ白な部屋に真っ青なイス。ビルの廊下はみんな変な雰囲気の壁紙が使われている。部屋の中はまともなのに。ここも見どころか

 監督はポール・マクギガンという人。スコットランド生まれで、1963年生まれというから44歳。「ギャングスター・ナンバー1」(Gangstar No.1・2000・英/独/アイルランド)やジョシュ・ハートネットが主演した「ホワイト・ライズ」(Wicker Park・2004・米)などがあるが、どれも小劇場での公開だったので見ていない。というわけで、今後に多いに期待したい。

 巧妙な脚本を書いたのは、ジェイソン・スマイロヴィックという人。TVの脚本家として活躍しているようだが、公式サイトによれば本作の第1稿は1997年に完成していたという。それを10年近く掛けて書き直しを続けた。そしてこの脚本を読んだプロデューサーのロバート・S・クラヴィスが、ジョシュ・ハートネットが設立メンバーの1人になっているフィルムエンジン社に持ち込み、映画化が決定したという。豪華な出演人のほとんどは、脚本の出来の良さで出演を決めたらしい。

 とにかくジョシュ・ハートネットが良い。いかにもヒッチコック的な巻き込まれパターンの不運な青年という感じ。しかもさわやか。「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)のエヴァースマン軍曹とはだいぶ感じが違う。

 そして、良いのがヒロインのルーシー・リュー。「チャーリーズ・エンジェル」(Charlie's Angels・2000・米)とか「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2003・米)、「バリスティック」(Ballistic: Ecks vs. Sever・2002・米)とか「ドミノ」(Domino・2005・米)といったアクション映画でよく見かけるので、肉体派の女優さんというイメージだが、本作はとてもチャーミングで魅力的。かわいい女性を演じている。大胆ベッド・シーンはあるが、アクション全く無し。新たな一面が発見できる。

 もちろんアカデミー賞俳優のモーガン・フリーマン、サー・ベン・キングセスレーは存在感充分。いうことはない。この2人が共演しているだけでも驚きだが、そこにブルース・ウィリスまで出ているのだから凄い。さらに、つい最近「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Pradas・2006・米)のデザイナー役でいい味を出していたスタンリー・トゥッチが刑事役で、ちょい役のノミ屋役で「ジャック・ルビー」(Ruby・1992・米)や「2 Daysトゥー・デイズ」(2 Days in the Valley・1996・米)のダニー・アイエロが出ている。さらにスタンリー・トゥッチの相棒の刑事役で、ミステリーTVシリーズ「ミレニアム」の捜査官や、「ランド・オブ・ザ・デッド」(Land of the Dead・2005・米ほか)のカナダ人俳優ピーター・アウターブリッジも。さらにちょい役にシブイ俳優、「ジャッキー・ブラウン」(Jackie Brown・1997・米)や「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・米)のロバート・フォスターまで出演。

 冒頭、ギャングたちが持っている銃は、ガバメントやソオード・オフ・ショットガン。ブルース・ウィリスは、回想シーンでガバメント、初めの方でサイレンサー付きのシルバーのベレッタM84のような銃を使う(スチルではなぜかPPK)が、後半ではサイレンサー付きのCZ75系の2挺拳銃。ギャングたちはMP5Kなども持っていた。

 公開初日の初回、銀座の劇場へは前日に座席を確保しておいたので15分前くらいに到着。すでに開場していて、全席指定の540席に2割ほどの入り。ほとんどが中高年。しかも3対2くらいで老の方が多い感じ。男女比も3対2くらいで男性の方が多かった。

 全席指定のためか、予告編が始まってから上映ギリギリに入ってくる人が多く、これはちょっと迷惑。5分前くらいには入って欲しい。最終的には540席に4割ほどの入り。これは、この映画にしては少ない。もっと入って良いと思う。

 初日の初回だったためか、関係者らしい人たちが10人以上、かなり多くいた。うーん、じゃまだなあ。

 「ノラビッツ」は、ボクには相変わらず意味がよくわからなかったが、気になった予告編は……「怪談」10年に1本の映画らしい。断片だけでよくわからなかったが、まっとうな時代劇の雰囲気で、確かに映画らしい映画という感じはした。いいかも。「ゲゲゲの鬼太郎」は劇場窓口で前売りを買うと、目玉のオヤジの携帯ストラップがもらえるらしい。それにしても、田中麗奈の猫娘と室井滋の砂かけ婆は絶品。すばらしい。見たい。

 ダンス映画「ステップ・アップ」はダンスがすごくて楽しそうだが、よくあるパターンの感じがして、どうだろう。上下マスクの「墨攻」はかなり内容よりのものになって、ますます楽しみに。アンディ・ラウ、いいなあ。同じく上下マスクの「ハッピー・フィート」は明らかにアニメチックな3D-CGなのだが、とてもリアルな感じ。しかも楽しそう。期待してしまう。このノリのよさはミュージカルというか、ダンス映画というか、ご機嫌な曲満載の感じ。サントラは買いかも。劇場窓口で前売り券を買うと、小さなぬいぐるみ付き携帯ストラップがもらえる。


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