Baburu e gou


2007年2月10日(土)「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」

2007・フジテレビジョン/電通/東宝/小学館・1時間56分

ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル



http://www.go-bubble.com/
(入ったら音に注意。重い。全国の劇場案内もあり)


2007年3月、日本経済は破綻に向かいつつあった。財務省の下川路(しもかわじ、阿部寛)は、失踪した同級生で友人の真理子(薬師丸ひろ子)が開発したドラム洗濯機型のタイムマシンで、真理子の娘、真弓(広末涼子)を、母親捜しと、バブル崩壊のきっかけとなった、大蔵省による金融機関の土地売買への融資規制勧告をやめさせるため、1990年3月に送り込む。

72点

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 言ってしまえば、日本版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(Back to the Future・1985・米)。ファンタジーであり、コメディなので、あまりディテールを気にせず、気楽に楽しんだ方がいい。終った後、後ろの席から「面白かったなあ」という声が聞こえてきた。ただ全体に笑いはあまり多くはなく、後半になってポツポツという感じだった。

 流行りのノスタルジック路線で、3D-CGやミニチュアを使って、1990年当時の東京の街並み、風俗などがリアルに描かれているのも見どころ。本家「八十万年後の世界へ タイム・マシン」(The Time-Machine・1959・米)のように、一瞬だが街が逆回しで時間をさかのぼっていくところも描かれている。

 それにしても、この画質の悪さはどうしたのだろう。時代感を出すための演出、狙いなんだろうか。粒状感(というか解像度というか)は悪いし、色も浅く、昔のビデオのような画質。見ていて疲れる……。

 「バック・トゥー……」同様、いくつかの現代のネガティブな伏線があって、過去に戻ってあることを変えて現代に戻ると、ネガティブなものがポジティブに、良い方に変わっているというパターンが、分かり切っているが面白い。過去の出来事は実際の話に準じているから、過去の間違いを訂正しても実際の今に戻るだけかと思いきや、そこはファンタジー、実際の歴史とは違った結果(過去を変えたのだから当然だが)にしているところがいい。いまさら現実を突きつけられてもねえ。映画はファンタジーなんだから、という映画。小気味良い。音楽も007風で笑わせる。

 日立を全面にフィーチャーしているのは、やはりホイチョイ・プロということだろう。YAHOOもストーリーに全く関係ないのに出し過ぎ。まるでCMを見せられているようだった。

 脚本は、大傑作「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998・日)シリーズの脚本を手がけた君塚良一。監督も兼ねたホラー・ファンタジーの「MAKOTO」(2005・日)もなかなか良かったが、らしい脚本に仕上がっていたと思う。ただ、やはり前半はスベリ気味。ちょっと惜しい。

 監督はホイチョイの馬場康夫。何といっても大傑作は「私をスキーに連れてって」(1987・日)だろう。当時この映画を見てスキーに行った人がどれだけいたことか。女性の間では白いウェアーが大流行した。劇場ではアイドル作品と2本立てで、それを敬遠した人も多かったと聞くが、ビデオやLDを見た人はものすごく多い。そのあとパッとしなかったが、「メッセンジャー」(1999・日)は面白かった。なんで8年も開いてしまったのか。「私スキ……」の後がバブルだったとしても、「メッセ……」のあとは不景気か。

 やはり、多くの邦画のように、カメオ出演的にちょい顔を見せるだけなのに、お笑いタレントや有名俳優が多く出ている。それだけでネタになる人(本人役の人、飯島愛とか飯島直子、ラモス、八木アナなど)はいいとしても、もっと演技力がありながら出番の少ない実力派俳優がたくさんいるだろうに。主要キャスト以外はそういう役者さんをどんどん使ってあげればいいのに。

 良かったのは、意外なコメディエンヌぶりの薬師丸ひろ子。そして眉毛が太くてもかわいい吹石一恵。何といっても良かったのは「あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜」(1999・日)だろう。衝撃的なカワイさだった。

 阿部寛や劇団ひとりの老けメイクがちょっとわざとらしく、いただけなかった。いかにも作りましたという印象で、いくらファンタジーでももう少しナチュラルというかリアルでないとという感じ。

 コンテはなんと樋口真嗣。SFXが多いから依頼したのだろうか。まさか同姓同名ってことはないよなあ。

 最後の大乱闘では、ベレッタM92Fも登場。バイクで窓ガラスに飛び込んでくるのは、どこかで見たような……。

 公開初日の2回目、55分前に着いたらロビーには誰もいなかった。その後、5分置きくらいにポツポツと人が来て、25分前に15〜16人になった。ほとんど20〜30代くらいの若い人。オヤジは4〜5人。カップルが多かったので、男女比はほぼ半々。

 20分前に前回が終了して、出てくる人を見ていたら中高年が多かった。時間帯で客層が違うということはありそうだ。指定席無しの全席自由。座席は千鳥配列なので比較的どこに座っても良いが、若干前席の人の頭は邪魔になる。この時点では30人くらい。

 最終的に586席の3〜3.5割くらいが埋まった。これが普通だと思うが、もっと入っていい映画ではないだろうか。まあ「どろろ」とどっちということになれば、あっちだろうけど。泣きたい人は別にして、お涙頂戴映画よりはずっといいと思うけど。

 カーテンが開いて、たぶん10年以上変わっていない古いCMがあって、薄明るいまま予告編へ。気になったのは、やはり篠原涼子の「アンフェア」。あとは「舞妓Haaan!!!」も「バッテリー」も、長澤まさみ主演のも、さだまさし原作の「眉山」もピンとこなかった。


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