Aliens vs. Predator: Requiem


2007年12月29日(土)「AVP 2 エイリアンズ VS. ブレデター」

AVPR: ALIENS VS. PREDATOR - REQUIEM・2007・米・1時間34分(IMDbでは米版は86分)

日本語字幕:手書き書体風下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー、dts(IMDbではドルビー・デジタル、SDDSも)

(米R指定、日PG-12指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/avp2/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

エイリアンの研究を重ねているらしいプレデターの宇宙船で、プレデターの胸を破ってチェスト・バスターが出現、たちまちハイブリッドのエイリアンに成長するとプレデターたちを襲い始めた。やがて宇宙船はコントロールを失って近くの惑星、地球のアメリカ・コロラド州ガニソン郡の片田舎の森に墜落する。宇宙船には多数のフェイスはガーのサンプルが積まれており、墜落とともにすべてが逃げ出す。墜落のSOS信号を受けたプレデターの星では、1体が宇宙船に乗り込み、処理に向かう。その頃、ガニソン郡の町では住民が次々と惨殺される事件が起きていた。

71点

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 ドラマがない。だから感情が伝わってこない。たしかにタイトル通りエイリアンズ(非常に多数)とプレデター(なぜか戦うのは1体のみ)の戦いはたくさんある。ほとんど全編が両者の戦いといってもいいほど。人間はエイリアンが増えるための寄生相手であり、両者の戦いに巻き込まれただけの存在。ドラマの種はちゃんと冒頭に蒔かれているのに、どれひとつとしてまともに育っていかない。

 あえて安直なドラマを排して、行動からドラマを感じさせるという演出もあるが、それはめったに成功しない。ごくわずかの作品がなしえたのみ。本作はそれを目指したのだろうか。戦いはなかなか面白い。ただ音がデカイ。そして出演者が地味。

 唯一「24」のミシェル・デスラー役のレイコ・エイルスワースが見たことあるくらい。彼女がシガニー・ウィーバーみたいに活躍してくれるのかと思ったら、まったくダメ。アクションができないのか……子供を連れて逃げるという「グロリア」(Gloria・1980・米)か「エイリアン2」(Aliens・1986・米)を彷彿とさせる設定なのに……。女性兵士で、久しぶりに戦場から帰ったら娘がなついてくれず、落ち込むだけ。予告では両手にM4カービンか何かを持ってぶっ放すシーンがあったのに、本編では小さな扱い。あれれ。

 ただ、エイリアン、プレデター、レゲエのエイリアンみたいなプレデリアンは良くできている。見どころはここ。たぶんここに一番予算がかけられ、ほかに回す余裕がなかったのだろう。銃器としては、州軍のM4カービン、ベレッタM9、M2ブローニングのほか、警察がMP5やグロックも使っていた。

 主人公の弟の憧れの金髪美人で、突然の事故のようにあっさりと殺されてしまうのはクリスティン・ヘイガーという人。これまではTVで活躍しており、本作が劇場長編映画出演2本目らしい。1本目のボブ・ディランを描いて高評価の「アイム・ノット・ゼア」という作品は、2008年のG.W.に公開予定とか。

 監督はコリンとグレッグのストラウス兄弟。どうやら本作が劇場長編デビュー作らしい。コリンが1976年生まれ、グレッグが1975年生まれ。二人とも特殊効果(Visual Effect)を1996年頃からやっていたらしい。最近では「300」(300・2006・米)や「ザ・シューター 極大射程」(Shooter・2007・米)、「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」(4: Rise of the Silver Surfer・2007・米)といった大作がズラリ。なるほどなあ。だからモンスターと特殊効果に一番お金が掛けられているんだ。

 脚本は、シェーン・サレルノという人。1972年生まれというから35歳の若さ。脚本にはもっとドラマが書かれていたのかもしれないが、これまでの作品を見るとTVの仕事が多いようで、映画は「アルマゲドン」(Armageddon・1998・米)と「シャフト」(Shaft・2000・米)の脚色で、まあどちらも?な作品だったからなあ。でも新作は4本も控えている。評価はそれらが公開されてからということになりそう。

 筆頭プロデューサーは、前作も手がけたジョン・デイヴィス。驚いたことに、あの最弱ファンタジーの「エラゴン 遺志を継ぐもの」(Eragon・2006・米)のプロデューサーだ。さかのぼれば、原点たる「プレデター」(Predator・1987・米)のプロデューサーだった。途中「ザ・ファーム/法律事務所」(The Firm・1993・米)や「戦火の勇気」(Courage under Fire・1996・米)などがあったものの、それほど大ヒット作は作っていない印象。なのに公開が控えている作品は14本ほどもある。不思議だ。

 金曜初日だったので、公開2日目の初回に行くと、銀座の劇場は50分前に5〜6人だったので、コーヒーを買ってから戻ったら10人くらいになっていた。だいたい30代くらいの男性と中高年のオヤジが半々くらい。女性は1人のみ。中学生くらいの男の子が1人。案内もないまま列は延びていき、車が来て危ないので並んでいる人たちが自主移動。30分前に窓口が開いた時には20人くらいになっていた。関係者らしい4〜5人のグループがいたが、あまり気にならなかった。

 初回のみ全席自由で、スクリーンはフル・サイズで開いていた。最終的には400席の4割りくらいが埋まった。やや女性が増えたくらいか。下は小学生くらいから。かなり残酷シーンも多いのに、日本ではPG-12指定で、日本語吹替版まであるという念の入れ方。ストーリー的には子供向きということなんだろうけど……。

 気になった予告編は……「アメリカン・ギャングスター」は重厚で面白そうなのだが、いかんせん暗いというか重苦しい雰囲気。当然なんだろうが、見て楽しくなるような映画ではないことは確か。スクリーンがシネスコになって、「大いなる陰謀」は実に興味をそそる内容。トム・クルーズ演じる若い政治家が仕組んだ作戦で、若い兵士たちが悲惨な状況に追い込まれるという感じだろうか。「ライラの冒険」はまだ先のようで飽きてきたが、ヘイデン・クリステンセンがビデオ・メッセージで登場する「ジャンパー」はおもしろそう。テレポーテーションのビジュアルがすごい。ストーリーも面白そうで、早く見たい。


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