Burlesque


2010年12月25日(土)「バーレスク」

BURLESQUE・2010・英・1時間59分

日本語字幕:丸ゴシック体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.burlesque.jp/
(入ると画面極大化。音にも注意。全国の劇場案内もあり)

田舎のドライブインでウェイトレスをしていたアリ(クリスティーナ・アギレラ)は、給料を払ってもらえないことから、レジから給料分を抜き取ると荷物を鞄に詰め、得意な歌とダンスで身を立てるため、バスに乗ってロスに向かう。新聞で職を探すがなかなか見つからない。いろいろ回った揚げ句、夜になって、向かいに高層マンションを建設中のクラブ「バーレスク・ラウンジ」を見つけ中に入る。そこはヒット曲に合わせて美女たちの際どいダンスを見せるショーパブ。経営者は自らもステージに立つ伝説的なスター、テス(シェール)と、元夫のヴィンス(ピーター・ギャラガー)だが、巨額の借金で店を手放さなければならないような状態。常連客で地元の不動産王マーカス(エリック・デイン)が100万ドルで店を買い取ると申し出ていた。アリはバーテンのジャック(カム・ジガンデイ)にウェイトレスとして仕事ができるところを見せて、とりあえずウエイトレスの仕事を得ると、ダンサー・オーディションのチャンスを窺うが……。

74点

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 田舎娘がスターの地位を手に入れるという立身出世物語はよくある話で、「コヨーテ・アグリー」(Coyote Ugly・2000・米)、「フラッシュダンス」(Flashdance・1983・米)なんかもよく似ている。ただ、クリスティーナ・アギレラが抜群に歌がうまく、思わず聞きほれてしまうのと、ステージ演出がうまくて、ショーに見入ってしまうところが素晴らしい。ついつい体が動いてしまいそうになるビートの効いた音楽、ダンス、照明……やはりエンターテインメントはアメリカの国技(?)。とにかく見ている人を載せるのがうまい。仮に内容がなくても、うまくのせて感動させてしまう。そこが見事。これぞショービズ。男が曲を作るのは「ラブソングができるまで」(Music and Lyrics・2007・米)的でもあるし。

 単純なスター誕生物語に、「ショーガール」(Showgirls・1995・仏/米)的にな邪魔をするライバル、務めるお店の経営危機、引き抜き、恋愛を重ねることで、映画らしい仕上がりになっている。全体のバランスが良くとれているので、各々がバラバラにならず、ちゃんとアンサンブルを奏でている。ミュージカル的ではなく、音楽は基本的にステージのみの構成だが、その曲がまたいい。つまり、手あかがいっぱいついた定番ストーリーでも、見てくれを変えて味を変えれば、まだまだいけるということ。

 まあ、とにかくクリスティーナ・アギレラの魅力炸裂。美人だし、歌は抜群、ダンスもうまいし、天は2物を与えたかと。TVには出ていたが、もちろん劇映画で演技をしたのは初めて。1980年生まれらしいので、30歳。とてもそうは見えない。身長156cmの小柄な人。デビューは12歳。1999年に「Genie in a Bottle」でブレイク。以来たくさんのヒットを飛ばしている。

 そしてもう1人の驚きがシェール。1946年生まれだから64歳なのに、ほとんどシワもなくめちゃくちゃ若い感じ。日本だったらりっぱなおばあちゃんかというところ、すごいドレスで歌って踊っている。しかも色気があるのだから、どうなってんの。歌手としてばかりでなく女優としての経歴も素晴らしく、「シルクウッド」(Silkwood・1983・米)でゴールデングローブ賞助演女優賞、「マスク」(Mask・1984・米)でカンヌ国際映画祭主演女優賞、「月の輝く夜に」(Moonstruck・1987・米)でアカデミー賞主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞している。最近は出演作がなく、本作は久々の映画。

 その分かれた夫ヴィンスを演じたのはピーター・ギャラガー。ロバート・アルトマンの「ザ・プレイヤー」(The Player・1992・米)やニコール・キッドマンの「冷たい月を抱く女」(Malice・1993・加/米)、コーエン兄弟の「未来は今」(The Hudsucker Proxy・1994・英/独/米)などで二枚目役を演じていた。最近はTVが多く、本作は久しぶりの映画出演。

 バーテンのジャックはカム・ジガンデイ。話題になった吸血鬼映画「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)に出ていた人。最近はドイツ映画のリメイク「エクスペリメント」(The Experiment・2010・米)に出ていたらしい。

 アル中気味でアリを蹴落とそうとするダンサー、ニッキを演じたのはクリスティン・ベル。憎たらしさが良く出ていたが、TVの女子高生探偵「ヴェロニカ・マーズ」を演じていた人。その後「HEROES/ヒーローズ」ではちょっと悪い役を演じていた。そのつながりか。美人だけに怖い。

 舞台監督のショーンはスタンリー・トゥッチ。ほとんど「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)と同じ様な役どころで、これがまたハマる人。うまい。ただ「ラブリーボーン」(The Lovely Bones・2009・米/英/ニュージーランド)では恐ろしい殺人鬼を演じていたが。

 バーレスクの受付で、ダンスも踊って見せるアレクシスはアラン・カミングス。こんなチョイ役にこの人を使うなんて。確かに「X-MEN2」(X2・2003・加/米)以降、あまり大きな役はないようだが……。「プランケット&マクレーン」(Plunkett and Macleane・1999・英)であんなに存在感があって、良い役、良い演技だったのに。

 脚本・監督はスティーヴ・アンティン。役者出身の人で、監督作品としては2本目だが、1作目は日本劇場未公開。出演作としてはジョディ・フォスターの「告発の行方」(The Accuused・1988・米/加)があり、脚本作品として傑作アクションの残念なリメイク、シャロン・ストーンの「グロリア」(Gloria・1999・米)がある。本作の演出は良かったと思うので、本当の評価はこの後か。

 公開2週目の初回、新宿の劇場はペア・シートも含め全席自由なので30分前くらいに着いたら、中高年が6人。男女半々。5分ほどして開場となり場内へ。次第に若い女性も増えて、男女比は3.5対6.5と女性の方が多くなった。ほぼ中高年で、20代以下は1/3ほどいただろうか。最終的に1,064席に2.5割りくらいの入りはちょっと少ない感じ。もっと入っても良い映画だと思うが。

 前方のみ暗くなって始まった予告編は、暗いシーンが良く見えない。もっと暗くして予告を上映して欲しい。気になった予告編は……また「パラノーマル・アクティビティ2」の続編をやるらしい。東京版は第2章で、今度のは「2」だと。いい加減にして欲しい。東京は何だったんだ。

 上下マスクの「パイレーツ・オブ・カリビアン―生命の泉―」は、ジョニー・デップのメッセージなしバージョン。なんだかワクワクさせるものがある。楽しそう。冒険また冒険か。見たい。ただ暗いシーンはほとんど見えなかった。

 「マイティ・ソー」は7月公開だそうで、原作はマーベル・コミック。暗いシーンが多く良く見えなかった。古代、神の国、追放、ナタリー・ポートマンで、現代の話のようでロボットみたいなものまで登場して……なんなんだろう。

 イ・ビョンホン、チェ・ミンシク共演の「悪魔を見た」はかなり怖そうな予告。カマを持ったチェ・ミンシクは鬼気迫って恐ろしいのなんの。見るには勇気が必要かも。

 上下マスク「ザ・タウン」は、ボストンを舞台にしたFBIと強盗団との戦いを描いたものらしい。アクションの中にドラマを描いて行くタイプのようで、マイケル・マン作品のようだが、なんと共同脚本と監督を手掛けたのは主演のベン・アフレック。予告編ではなかなかの模様。果たして腕前のほどは?

 スクリーンが左右に広がってシネスコになってアンジェリナ・ジョリーとジョニー・デップの「ツーリスト」と、「グリーン・ホーネット」の新予告。どっちも見たい。


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