Fright Night


2012年1月7日(土)「フライトナイト-恐怖の夜-」

FRIGHT NIGHT・2011・米/印・1時間46分

日本語字幕:手書き風書体下、菊地浩司/ビスタ・サイズ(デジタル、3D、RED One)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://disney-studio.jp/movies/frightnight/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ラスヴェガス郊外の小さな町に、シングル・マザーのジェーン(トニ・コレット)と住む高校生のチャーリー(アントン・イェルチン)は、オタクだった過去を捨て、悪ガキのマーク(デイヴ・フランコ)たちとつるむようになり、美人の同級生エイミー(イモージェン・プーツ)とつき合い始めた。そんなとき、隣家にジェリーと名乗る怪しい男(コリン・ファレル)が引っ越してきて、町から人が消える事件が起き始める。かつてのオタクの親友エド(クリストファー・ミンツ=プラッセ)は、同じオタク仲間のアダム(ウィル・デントン)が消えたため、チャーリーに過去の恥ずかしいオタク写真をばらまかれたくなかったら調査に協力しろと言ってくる。エドは事件はヴァンパイアの仕業だと信じ込んでいた。

72点

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 普通に面白く、楽しめた。結構ハラハラ、ドキドキ。ただ、リメイクであることを考えると、3D上映などよりもう少し何か新しいことがあっても良かった気はする。

 思ったより、ちゃんとていねいにドラマを組み立てている。リメイクなのでストーリーを知っている人もいるだろうと展開を早くすることなく、じっくりと描いているところが良い。ただ、SFXもキャストも、トニ・コレットとコリン・ファレルが出ているものの、どこかB級の低予算の雰囲気が溢れ、どこか物足りないというか寂しい感じ。せめてラストの戦いを、いろんな武器を使って派手にしたら、良かったのに。ヴゥンパイアの死に方、消滅の仕方もジョン・カーペンター監督の「ヴァンパイア/最後の聖戦」(Vampires・1998・米/日)的というか、ウェズリー・スナイプスの「ブレイド」(Blade・1998・米)的だもんなあ。もう少しオリジナリティが欲しかった気も。そして、ラスト、人間に戻った人と消滅してしまった人の基準は何? よくわからなかった。

 オリジナル版は「フライトナイト」(Fright Night・1985・米)。監督も脚本も、このあとウーピー・ゴールドバーグの「危険な天使」(Fatal Beauty・1987・米/日)や「チャイルド・プレイ」(Child's Play・1988・米)を撮る、アクションとホラーのトム・ホランド。これもお手軽B級のアクション・ホラーと思って見に行ったら、意外としっかり作られていて驚いた記憶がある。たしか、地下の新宿東急だったような……。

 オリジナル版ではヴァンパイアはもっと二枚目を笠に着たキザな嫌らしいヤツだったと思うが、本作では二枚目的なところよりワルを増幅させている。そこがどうなんだろう。コリン・ファレルが男の反感を買わないことは確かだ。そしてヘタレ的なヴァンパイアー・スレイヤーの役者役は、ロディ・マクドウォールが演じることでそれが一層際立っていたが、本作ではヘタレというよりちょいワルのチンピラのみたいで、いまひとつノレない感じ。

 有名俳優はヴァンパイアの親分を演じたコリン・ファレルと、シングル・マザーを演じたトニ・コレットの2人のみ。まあ確かにコリン・ファレルは「マイアミ・バイス」(Miami Vice・2006・米/独ほか)以降パッとしない感じがする。トニ・コレットも「いつか眠りにつく前に」(Evening・2007・米/独)以降、あまり出ていないようだし。トニ・ママは不動産会社のセンチュリー21に勤めているという設定。

 主役となるチャーリーを演じたのは、アントン・イェルチン。髪形によって凄く若く見えたり、老けて見えたりする。1989年生れというから23歳か。でも、ちょっと主役としては弱いかも。ロシア出身で、メジャーな「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)や「ターミネーター4」(Terminator Salvation・2009・米/独ほか)に出ている。これからの活躍が楽しみというところ。

 恋人役の若い女の子はエイミーはイモージェン・プーツ。ーター・ヴィンセントの部屋に展示されていた彫刻入りのSAAと銀の弾丸を使い、それは狼男用だと指摘される。ゾンビ映画の「28週後...」(28 Weeks Later・2007・英/西)に主人公の姉弟と一緒に逃げる少女を演じていた。ただ、好みの問題だろうが、お水系の近所の女性ドリスを演じたエイミー・モンタギューのほうがきれいだったなあ。エイミーはTVの人で、これから映画で活躍というところだろう。一方、イモージェンは公開を控えている新作が6本もある。1989年生れ。

 チャーリーのオタクの友人エドを演じたのはクリストファー・ミンツ=プラッセ。傑作アクション・コメディの「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)でマフィアのボスの息子を演じていた。「キック・アス」ではいかにも悪そうだったが、本作ではいかにもオタクっぽい。説得力がある。この人も1989年生れ。

 オリジナル版ではロディ・マクドウォールが演じたピーター・ヴィンセントを演じたのは、デヴィッド・テナント。どこかで見たようなと思ったら、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(Harry Potter and the Goblet of Fire・2005・英/米)に出ていたようだ。メインの武器はフラッシュライトを付けたクロスボウ(ボウガン)。

 脚本はTVの「バフィー〜恋する十字架〜」(1997〜2003・米)シリーズで製作総指揮を務め、「アイ・アム・ナンバー4」(I Am Number Four・2011・米)の脚本も書いた女性のマーティ・ノクソン。こういう系のものが守備範囲の人らしい。

 監督はクレイグ・ギレスピー。CMの監督を16年もやってきた人だそうで、等身大の女性の人形と暮らす男を描いた「ラースと、その彼女」(Lars and the Real Girl・2007・米/加)の監督。それで、コミカルな設定が多いのか。まあ、怖さと笑いは紙一重という面もあるので、この出来となったのだろう。今後どういう作品を撮るのか。まだ何とも言えない感じ。

 武器は他にポンプ・ショットガンとS&Wではないチーフ型のリボルバー(ロッシかタウルスか)が登場。手書きのような文字が血煙のようになって消えて行くタイトルは、プロローグ・フィルム。

 公開初日の初回、銀座の劇場はこの回は2D上映ながら、全席指定。金曜に確保しておいて、35分くらい前に着いたらボックス・オフィスにオヤジが1人。コーヒーを飲みながら待っていると、20分前くらいにエスカレーターが動き出して、エントランスへ。この時点で3〜4人。最終的には395席に40〜50人ほどの入り。ほとんど中高年で、ファミリーが1、男女比は半々くらい。

 予告の前に新作ニュースがあって、リドリー・スコット監督の「プロメテウス」、ティム・バートン監督の「リンカーン:ヴンパイア・ハンター」、アン・リー監督の「ライフ・オブ・パイ」、スティーブン・スピルバーグ監督の「ロボカリプス」、クリスティン・スチュワートが主演し、シャーリーズ・セロンが悪役を演じるという「スノーホワイト」が公開されることになるらしい。どれもかなり面白そう。

 ほぼ暗くなって始まった通常の予告で気になったのは……上下マスク「ALWAYS三丁目の夕日'64」はやっぱり3D上映もあるらしい。ホームドラマ系なのにスペクタクルが必要なのだろうか。

 うまく作れなかったロボットの中にジイサンが入るというコメディ「ロボジー」は新予告に。やっぱり濱田岳がいい感じ。

 上下マスクの「テルマエ・ロマエ」は古代ローマが舞台で……となぜか阿部寛主演で、日本の銭湯につながるというこれは、コメディか。

 上下マスクの「TIMEタイム」は新予告と言うか、長いバージョンでの予告。配役も豪華だし、SFチックで、ミステリーぽっい雰囲気もタップリながら、アクションも満載という感じ。面白そう。

 上下マスクの「ドラゴン・タトゥーの女」も新予告に。やっばり3部作すべて作るのだろうか。

 ベン・スティラーとエディ・マーフィーが共演する「ペントハウス」は、コメディなのだろうが、単なるドタバタではないような雰囲気。そうなら見たい。タワーに住むものから、タワーで働くものが盗む話らしい。しかもプロの泥棒に教わって。

 上下マスク「ジョン・カーター」はエドガー・ライス・バローズ原作のSF。「火星シリーズ」と「ペルシダー・シリーズ」を読んだなあ。ジョン・カーターが惑星バルスームに迷い込んでしまう話らしいが、どの原作なんだろう。


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