日本語字幕：黒フチ丸ゴシック体下、松浦美奈／シネスコ・サイズ（デジタル、Arri Alexa）／ドルビー・デジタル
（米PG-13指定）（日本語吹替版もあり）|
エルサレムに新しいローマの総督ピラト（グレッグ・ヒックス）が赴任してくる。そのころエルサレムに奇跡を起こす男、イエス（ディオゴ・モルガド）が現れ、神の子と称し次々と弟子を増やすと、いつしか人々から救世主と呼ばれるようになる。しかし、これに脅威を覚えたユダヤ教の指導者たちは、冒涜の罪だとしてイエスを捕え、ローマ軍に渡し死刑を求める。
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うーむ、これは……。一言でいえば、TVのミニ・シリーズをまとめて劇場公開したような感じ。有名俳優も出ていないし、特殊効果も解像度が低く劇場向きではないし、釣りたての魚は皆死んでるし、冒頭に要約したあらすじのようなものが、予算を掛けたらしい映像付きで流れるし……。眠かった。調べてみたら、本作は「The Bible」（2013・米／英）という43分10話からなる評価の高いTVのミニ・シリーズの再編集版だった。 たぶん、これは聖書物語的なもので、その内容を忠実に映像化していったというのではないだろうか。映画としてメリハリや盛り上がりが無く、淡々と進行する。リアルを狙ったらしいが、舞台は中東でも、しゃべっているのは英語だしなあ。あえて、こういうものを劇場でやる必要があるのだろうか。TVなら意味はあるような気がするけど。映画なら、たとえば賛否両論で大きな社会問題となったマーティン・スコセッシ監督の「最後の誘惑」（The Last Temptation of Christ・1988・米／加）とかメル・ギブソンが監督した「パッション」（The Passion of the Christ・2004・米）のように、独自の解釈を見せるとか、徹底的にリアルに作ってみるとか、何か違う視点で見せてくれないと。 そして、こういう有名な物語で難しいのは、人名などの固有名詞。特に日本のキリスト教はフランシスコ・ザビエルが伝えたとされるのでスペイン経由で、本作はアメリカの作品。いろいろと違いがあるのだ。なにしろイエスは本作ではジーザスだ。メシアがメサイア、アブラヒムはエイブラハム、ヨハネはジョン、ペテロはピーター、マタイはマシュー、ユダはジュダ……という具合に、音声と字幕で違いが出てしまう。違和感があって辛い。 さらに、聖書というか聖書物語どおりだとしても、具体的な映像の物語としてみると、改革と称して、古くからのしきたりなどを一方的に破っていったように見えてしまうこと。そして、障害や迫害が取り除かれるには「まず神を求めよ」などの交換条件が出されているにも気になった。なぜ神は交換条件を出し、脅すようなことをするのかと。 TVドラマなので有名な俳優はほとんど出ていない。主演のキリストを演じたディオゴ・モルガドはかなり二枚目らしいが、本作ではかすかに微笑むというより、薄ら笑いのようで、どうにも馴染めなかった。 脚本も、TVの連続ものらしく4人の人が書いているが、やはりほとんどTVの仕事をやっている人ばかり。監督はクリストファー・スペンサー1人で、TV版では3話を演出。やはりTVの人。特にそれで問題はないが、問題があるとすればミニ・シリーズをまとめて138分にまとめてしまったことだろう。やはりこれは全長版、43分全10話を家のTVで見た方が良いと思う。 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで確保。当日は10分前くらいに開場。観客層は中高年というか、ほとんど老という感じ。白髪が目立つ。一方、遅れてくるヤツはほとんど若いヤツばかり（少なかったが）だった。男女比は半々くらい。宗教関係の人は割引があるそうで、数人来ていた。また関係者らしい一団は7〜8人。多いって。しかも入場者は最終的に232席の4割くらい。初日でこれは……。しかも今後増えるとは思えない。全長版をレンタルして家のTVで見た方がいい。 スクリーンはシネスコで開いており、気になった予告編は…… 左右マスクの「はじまりのうた」は、キーラ・ナイトレイとマーク・ラファロによるストリート・ミュージシャンのラブ・ストーリーらしい。マルーン5のメンバーも出ているらしい。2/7公開。 四角の枠で「ジャッジ 裁かれる判事」は、判事の父親が殺人事件に巻き込まれて、息子の弁護士が弁護するという話らしい。もっと違うものを予想していて、面白そうかも。ロバート・ダウニーJr.とロバート・デュバルだし。1/17公開。 マスクが左右に広がって本編へ。 |