2015年1月11日(日)「シン・シティ 復讐の女神」

SIN CITY: A DAME TO KILL FOR・2014・米/キプロス・1時間43分(IMDbでは102分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/ビスタ・サイズ(デジタル、Arri Alexa)/ドルビー・デジタル(IMDbではドルビーSR、dts、SDDSも)

(米R指定、日R15+指定)(3D上映もあり)

公式サイト
http://sincity.gaga.ne.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ロアーク(パワーズ・ブース)が牛耳る犯罪の街シン・シティに、ジョニー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)というギャンブラーがやって来て、ロアークに勝負を挑む。同じ頃、探偵のドワイト(ジョシュ・ブローリン)は浮気調査から戻って、バーの「ケイディ」で、彼を捨て金持ちと結婚したエヴァ(エヴァ・グリーン)と再会し、夫から暴力を受けていると相談されていた。

72点

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 エロ、グロ満載。前作よりもさらにエロ度が増した分、アクションが御座なりになり、ストーリーも散漫となって、バランスが悪くなった印象。3つ(アバンも1話?)の話が、独立してくっつけられたよう。1本の映画としてどうなのか。しかも103分が長い。

 上映時間の関係で3D上映で見たが、もともとグラフィック・ノベルという2Dの世界を映画に持ち込んだものなのに、3Dにして意味があったのか。しかも効果としては、人物以外は3D-CGらしいので出しやすかったのだろうが、表現そのものが白黒2値のカットもあり、もともと2Dなので、意味がなかったかなと。冒頭、わざわざせ雪を降らしたりして立体感を出そうとしているのも悲しい。字幕の前にタバコの煙が漂ってくるのは面白かったが。

 本編上映前に2Dの予告の後、前作のまとめが流された。これは思い出す手がかりとなってくれるので、ありがたかった。

 ただ、演じているキャストが入れ替わっているキャラクターが何人かいたのはちょっと残念。クライヴ・オーウェンが演じていた探偵のドワイトはジョシュ・ブローリンに。娼婦のミホはデヴォン青木から、なんと人種が変わってジェイミー・チャンに。ハリウッドの感覚では日系アメリカ人も中国系アメリカ人も一緒なのだろう。運転手のマヌートはマイケル・クラーク・ダンカンから「24」の大統領、デニス・ヘイスバートへ。この場合は亡くなってしまったのでしようがなかったと。

 わからなかったのは、すべての登場人物がパート・カラーのモノクロで描かれているのに、2人か3人の女だけがフル・カラーだったこと。ストーリーの中で重要な人物とも思えなかったし……。まさかプロデューサーとか監督のお気に入りだったのか、などと邪推してしまう。そもそも、どの部分に色を着けているのかが不明確というか、観客にはわからない。監督が見て欲しい部分なのか、ほかの登場人物が見ている部分なのか。しかも、血は暴力を強調するためなのだろうかカラーにされているのに、あるシーンでは白になっている。どうも、これは残酷性を抑えるためなのだろう。飛び散ったり、流れ出るとき白になっていたような。そして完全に白黒2値になるのは、あるエピソードのシメのような気はした。

 ここでひと言。こいつがこの男の父って、「アイム・ユア・ファーザー」「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(Star Wars: The Empire Strikes Back・1980・米)ではないか。もうハリウッド映画は、意外そうな人物を父にするのがはやりか?

 ギャンブラーのジョニーはジョセフ・ゴードン=レヴィット。「LOOPER/ルーパー」(Looper・2012・米/中)のあとパッとした作品が無かったが、本作は存在感がある。ただあっけない。グロックで額の真ん中を撃ち抜かれる。

 クライヴ・オーウェンからバトン・タッチした探偵のドワイトはジョシュ・ブローリン。本作の前に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(Guardians of the Galaxy・2014・米/英)にサノス役で出ていたらしいがクレジット無し。その前は「オールド・ボーイ」(Oldboy・2013・米)で、結構汚れ役。使っていた銃は、前作から引き続き出てくるステンレスの1911オート。サウンド・サプレッサーもついていた。レイ・リオッタ演じる浮気男から手に入れる。

 メイン・キャラクターのようなのが、モンスターがかっているマーヴのミッキー・ローク。特殊メイクで野獣のよう。ここのところずっと悪役ばかり。「インモータルズ -神々の戦い-」(Immortals・2011・米)以降、大作がなかった感じ。小さな作品には出ていて、日本劇場公開されていないものも。本作は久々の大作か。基本、怪力なので銃は使わない。

 前作からのとんでもない悪党、ロアークはパワーズ・ブース。最近は「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)に出ていて、やはり悪役。「24 TWENTY FOURシーズン4」(24・2007・米)では副大統領を演じていた。使っていた銃はPPKかPPK/Sとグロック。

 そして、これまたとんでもない毒婦、青いドレスの女エヴァはフランス生れのエヴァ・グリーン。全裸でがんばっている。「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royale・2006・英/チェコ/米ほか)で重要なボンド・ガールを演じ話題に。その後、残念な「300 <スリーハンドレッド>〜帝国の進撃〜」(300: Rise of an Empire・2014・米)で本作のような強烈な毒婦をエロティックに演じている。使っていた銃はM36チーフかと思ったら、もっと安価なチャーター・アームズだったらしい。

 ほかに、S&W M14かM17マスターピースの6インチっぽいリボルバーを持っているダンサーにジェシカ・アルバ、ロアークに雇われている警察官に「24」の大統領補佐官のジュード・チコレッラ、闇医者に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(Back to the Future・1985・米)のクリストファー・ロイド、ダイナーのウエイトレスにレディ・ガガらが出ている。

 銃はほかに、M92、イングラムM11、S&W M500の4インチ、コルト・マスタング380らしき小型オート、TEC-9サブマシンガン、スプリングフィールド・アーモリーかキンバーのようなシルバー・ブッシングの1911オート、パイソン4インチ、S&W M40センチニアル、ウージー、ミニ・ウージー、フランキ・スパス12などが登場。弓やボウガンも使っていた。

 原作・脚本は監督と製作総指揮も務めるフランク・ミラー。つい最近「300 <スリーハンドレッド>〜帝国の進撃〜」の製作総指揮もやっているので、エヴァ・グリーンを使ったのだろうか。

 もう1人の監督は、プロデューサーと音楽も担当しているロバート・ロドリゲス。本作の前は続編の「マチェーテ・キルズ」(Machete Kills・2013・露/米)を監督しているが、いまひとつパっとしない感じ。あまりにB級へ行き過ぎではないだろうか。本作はわりと大作風だが。

 本作はほとんどセットを作らず、グリーン・バックで撮影されたという。ただそれだけだと位置関係がわからなくなるので、セットの模型は作られたんだとか。うーむ、セットに違和感はなかったなあ。まあもともと劇画タッチで、絵画的だったわけだけど。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は3D上映だがしかたない。ムビチケカードをオンラインで3Dに変更して座席を確保。当日は13分前くらいに開場。メインは中高年だったが、本作もなぜか高寄り。女性は12〜13人中2〜3人。遅れてくるヤツが多いのでハッキリはわからないが、たぶん最終的には157席に30人くらいの入り。話題作でアクションなのに、少なっ! ここでも遅れて来たのはほとんど若い男。

 気になった予告編は…… ほとんど見慣れたものばかりで…… 中でも目立っていたのはやはり上下マスクの「マッドマックス 怒りのデス・ロード」か。画質が素晴らしく、色もきれい。構図もカッコいい。期待してしまう。6月公開。

 3D眼鏡の説明があってから、3Dで「ミュータント・タートルズ」の予告。予告はカットが速いので、まったく3Dに向かない。立体感はあったものの、気持ち悪くなりそう。目が回った。またまたマイケル・ベイのリメイクだから、ダメだろうなあ。忍者の設定で、名前はイタリア系と。そしてSFXというかビジュアルはすごい。2/7公開。


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