2016年1月30日(土)「ブラック・スキャンダル」

BLACK MASS・2015・米/英・2時間03分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビー・デジタル(IMDbではDATASATも)

(米R指定、英15指定、日R15+指定)

公式サイト
https://warnerbros.co.jp/c/movies/blackmass/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1975年、ボストンの南ボストン地区(サウシー)のチンピラ・ギャングだったジェームズ・“ホワイティ”バルジャー(ジョニー・デップ)は、イタリア系のマフィアの男を殴り殺してしまう。ちょうどその頃、FBIのボストン支局にバルジャーの幼なじみジョン・コノリー(ジョエル・エルガートン)が配属されてくる。ボストン支局はボストンは殺人事件が多く、北のノースエンドを牛耳るイタリアン・マフィアを一掃せよという至上命令で、ジョン・コノリーが中心となって捜査を進めることになる。そこで、まずバルジャーの弟で、上院議員のビリー・バルジャー(ベネディクト・カンバーバッチ)に会いに行き「兄貴がヤバい」と伝えるも「私は関係ない」と一蹴され、「二度と来るな」とはねつけられる。次にジョン・コノリーは幼なじみのバルジャーを呼び出すと、殺しと麻薬以外の犯罪は見逃す代わりに、敵対関係にあるイタリアン・マフィアの情報を提供しろと提案する。

74点

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 リアルな犯罪映画。恐るべき凶悪犯を、日常生活までも描きながら、存在感のある冷血者としてじっくりと浮かび上がらせて行く。だから怖い。こういう人間が存在したことが恐ろしい。平気で人を殺す。若い女でも素手で絞め殺し、イタリアのマフィアでも殴り殺してしまう。その一方で子供をかわいがり、病で亡くし絶望に打ちひしがれる。悪魔ではなく、普通の人が行う暴力だから恐ろしい。そういう人が、こういうことをやると。圧倒的な威圧感。演技も演出もぴたりとはまっている。

 しかもこの事件が起きたのは1975年から1985年くらいで、関係者が逮捕され判決が出たのが1995年、主犯のバルジャーが逮捕されたのは2011年と、つい最近のこと。逮捕されなかったら、映画に出来なかったのかもしれない。ボクがはじめてアメリカへ行ったのが確か1983年で、この事件が進行中だったかと思うと、ボストンへ行かなくて良かったなあと。ボストンというとボクにはハーバード大、MIT、ボストン大など学園都市的なイメージがあったが……。

 こういう作品は、良くできていれば良くできているほど、気分が悪くなる。リアルな暴力。リアルな悪人。本当に嫌になる。自分の意のままにならなければ、暴力で無理やり意に沿わせてしまう。有無を言わせない。それは敵ばかりでなく、平気で身内にも向かう。口封事のために身内をも殺す。なんてヤツだ。ああ、気分悪い。最低のヤツ。

 ラスト、実際の写真や映像が出るが、なかなかみんな本物に似ている。ホントにこんな感じだったんだ。

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケカードで金曜に確保。当日は15分前くらいに開場。観客層は意外なことに、若い人から中高年まで割と幅広い。やはりジョニー・デップのおかげだろうか。女性は1/4くらい。最終的には287席に4割くらいの入り。朝早かったし、ダークな作品だからこんなものだろう。

 スクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、気になった予告編は…… 四角の枠付き「クリーピー」は、西島秀俊と香川照之の「MOZU」コンビの顔合わせ。一家失踪事件の鍵を握っているらしい藤野涼子の「あの人お父さんじゃありません」というセリフが、とても気にかかる。6/18公開。

 枠付き「レヴェナント」は新予告に。たぶん西部劇の時代のひとつ前、マウンテンマンの時代の壮絶復讐劇という感じ。すごそう。4/22公開。

 左右マスクの日本映画「あやしい彼女」はどうも韓国映画っぽい雰囲気。主演は多部未華子だが、と思って調べたら、やっぱり元ネタは「怪しい彼女」(Miss Granny・2014・韓)だった。公開されたばっかりじゃないか。それでまた4/1公開? 去年も日本のコメディが4/1に公開されていたような。

 枠付きでかなり横長の「ヘイトフル・エイト」も新予告に。密室殺人事件を描く異色のウエスタンらしい。8人が皆曲者ばかり。曲も良いなあ。監督・脚本はクエンティン・タランティーノ、プロダクション・デザイナーは種田陽平、音楽はエンニオ・モリコーネ。2/27公開。R18+指定だから、かなりどぎついのかも。ラストに一瞬だけタランティーノが出る。

 枠付き「テラフォーマーズ」は出演者のビデオ・メッセージ付き予告。「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香/英)と見まごうばかりのイントロはどうなんだろう。オマージュということなんだろうけど。4/29公開。

 左右マスクの「僕だけがいない街」は人気漫画が原作の、時間逆戻りミステリーらしい。藤原竜也と有村架純の顔合わせで、なかなか面白そうな雰囲気。3/19公開。

 暗くなって、本編へ。


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