2019年12月28日(土)「燃えよスーリヤ!!」

MARD KO DARD NAHI HOTA・2018・印・2時間18分(IMDbでは134分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、中沢志乃/ヒンディー語監修:藤井美佳/ビスタ・サイズ(1.85、デジタル、Arri)/ドルビーATMOS

(印UA指定)

監督・脚本:ヴァーサン・バーラー
撮影:ジャイ・I・パテール
出演:アビマニュ・ダサーニー、
   ラーディカー・マダン、
   グルシャン・デーヴァイヤー、
   マヘーシュ・マーンジュレーカル、ほか

公式サイト
http://moeyo-surya.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

インド。生まれつき痛みを感じない先天性無痛症で、脱水症になりやすいスーリヤ(アビマニュ・ダサーニー)は、まだ赤ん坊の頃、ひったくりのせいで母を失った。そのため映画好きのおじいちゃん(マヘーシュ・マーンジュレーカル)に育てられ、スーリヤも映画好きになり、中でもカンフー映画に影響され空手マンになるのが夢になった。学校へ行くようになった時、黒いゴーグルと、リュックに入れた水が欠かせなかった。そのせいでスーリヤは小学校でいじめに遭っていた。そんな時、女の子の幼なじみスプリ(ラーディカー・マダン)だけは、助けてくれた。ところが……。


74点

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 面白いが長い。ちょっと途中ダレる。危うく気を失うところ。ただ、王道のインド映画とはちょっと違って、歌と踊りは本筋にはナシ。ビデオなどのシーンで取り込んではいるが。また基本コメディなので、笑い飛ばして見て良いのだろうけれど、一歩引いて考えると、なかなか悲惨な状況。治療法がなく、いつ死んでもおかしくない先天性無痛症、ひったくりのせいで母の死亡、家庭内暴力、小学校退学、いじめ、路上誘拐、兄弟の骨肉の争い、暴力団まがいの連中との戦い……これがインドなのかなあと。ただ、それらをすべて前向きに捉え、卑屈になったり恨み言を言ったりはしていない。暗さがない。そこもまたインドなのかなあ。ちょっぴり感傷的にはなっていて、その辺のバランスで笑って言いものかどうか、迷うところはあった。

 基本、映画なので、美男美女。特に良いのが子役。正しい発音はわからないが、スーリアを演じた男の子、サルタージ・カッカルと、スプリを演じた女の子、リヴァ・アロラがいい。女の子のかわいいこと。

 ハード・アクションをこなす女優のラーディカー・マダンはもともとアクション女優なのかと思ったら、ダンスのインストラクターだったそうで、ハリウッドなどでもアクションができる女優さんはダンサーの人が多い。殺陣を覚えるのとダンスを覚えるのは似たところがあるのだろう。そして、体の切れもイイと。

 スーリヤを演じた主演のアビマニュ・ダサーニーは筋肉ムキムキで、本作が俳優デビュー作とか。なんでも両親とも役者なんだそう。驚いたのは、敵同士となる空手家兄弟はまったく似ていない感じなのに双子の設定だったらしく(字幕では兄弟としか出ない)、似ていないにもかかわらず1人の役者が二役演じていると。それがグルシャン・デーヴァイヤーという人で、凄い演技だったなあ。

 映画オタクが作った映画という感じで、たくさんのタイトルが出てくる。ヴァーサン・バーラーは映画オタクか。一番は当然ながらブルース・リーで、ジャッキー・チェンや三船敏郎のポスターも。空手だけに日本語も多く、空手マンとかサムライとかいろいろ出てきた。なかでも重要な要素となるものが「百人組手」日本語のまんま。

 銃は、「ターミネーター2」の妄想でレバー・アクションのM92らしいカービン。メインの物語ではプロップらしい黒ペイント傷だらけのベレッタ92。2挺拳銃だったのは「男たちの挽歌」的なことだったのだろうか。ラストにヒロインのスプリが持っていたベレッタ92が、傷だらけのものからグレー系のマットなきれいなものに変わっていたが、実銃だったのか、トイガンだったのか。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にエレベーターが動き出して開場。観客層は中高年というか、高齢者寄り。開いてすぐは9人くらいいて、女性が2人。昭和な劇場なので、前席に背の高い(座高の高い)男性が座り、字幕が読みにくくてストレスがたまった。スクリーンも暗めだしなあ……どうにかしてほしい。最新のゆったり見られる劇場と同じ料金なのに。最終的には224席に30〜40人くらいの入り。

 スクリーンはビスタで開いており、シネマ・チャンネルのあと半暗になり、CM・予告からマナーがあって暗くなり、足元注意と映画泥棒で本編へ。


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